ベンダーロックインの何がいけないのか?デメリットについて整理した
はじめに
「ベンダーロックイン」って、ベンダーから引越ししにくくなることでしょ?というようなざっくりしたイメージしかなく、具体的なデメリットを理解できていませんでした。じゃあ具体的に何がいけないのだろう?と思い、具体的なデメリットについて整理してみました。
1. まず「ベンダーロックイン」とは?
wikipediaには、以下のように記載がある。
ベンダーロックインとは、特定ベンダー(メーカー)の独自技術に大きく依存した製品、サービス、
システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換え
が困難になる現象のこと。
2. ベンダーロックインの具体的なデメリット
ITの世界でベンダーロックインに陥ると、具体的にどのようなデメリットがあるのか?
以下に、3つの主な問題点を挙げた。
デメリット①:コストの主導権を失う
これが最も直接的なデメリット。
一度、特定のベンダーの独自サービスを深く利用してシステムを構築してしまうと、他のベンダーに移行するときにシステムを大きく作りかえる必要がある。この、「システムの再構築」に多大なコストと時間がかかる。
簡単に乗り換えられないので、
- ベンダーの値上げを受け入れざるを得ない。
- よりコスト効率の良い他社サービスが登場しても、移行コストが高いため手が出せない。
という状況に陥り、コスト最適化の選択肢を自ら狭めてしまうことになる。
デメリット②:技術的な柔軟性を失う
IT業界は技術の進化が非常に速いので、現時点では最良の選択肢だったとしても、1年後には時代遅れ、、、ということになっている可能性もある。
このときにベンダーロックインされていると、
- 他社がリリースした、より高性能で画期的な新サービスを採用できない。
- 自社のビジネス要件に、よりマッチした技術が登場しても、それを利用できない。
といった事態が起こり得る。これにより、競合他社に対して技術的な優位性を失ったり、ビジネスチャンスを逃したりするリスクが高まる。
デメリット③:事業継続のリスクを抱える
頻繁に起こることではないが、最も深刻なデメリットがこれ。
- 万が一、依存している独自サービスがベンダーの都合で終了・仕様変更された場合、自分たちのシステムが動かなくなる可能性がある。
もちろん、大手クラウドベンダーが主要サービスを突然終了させる可能性は極めて低いが、特定の機能やマイナーなサービスでは十分にあり得る。
3. デメリットを理解した上での向き合い方
「便利な独自サービスは一切使うべきではない」というわけではなく、デメリットを理解した上で技術を選択することが重要。
- 標準的な技術を優先的に採用する:
MySQLやPostgreSQL、Docker、Kubernetesといった、どのクラウドでも動かせるポータビリティ(可搬性)の高い技術を積極的に選ぶ。 - 乗り換えやすい設計を意識する: システムの心臓部と、特定のクラウドサービスに依存する部分を切り離して設計する(疎結合なアーキテクチャ)。
開発のスピードやコストを下げてくれる独自機能のメリットと、ベンダーロックインによるデメリットを天秤にかけ、どこまでロックインを許容するかを判断することが大事。
まとめ
- 「ベンダーロックイン」は、単に「乗り換えられない」というだけでなく、「コスト」「技術的柔軟性」「事業継続」という具体的なビジネスリスクに直結する問題である。
- 独自機能を採用する際は、メリットに加えて、その裏にあるデメリットをしっかり理解し、将来のリスクを考慮した上で導入是非を判断する必要がある。
技術選定の際には、特に二つ目視点を忘れずにいたいな、と思いました。
Discussion