🙌

AWSのリージョン、AZ、エッジロケーション…様々な「場所」の違いと関係性を整理してみた

に公開

最近AWSを学び始めたのですが、リージョン、AZ、エッジロケーション、、、など、いろいろな「場所」を表す言葉が出てきて、それぞれがどう違うのか分からなくなったので、これまで出てきた「場所」関係の言葉を整理しました。

1. リージョンとAZ

① リージョン (Region)

  • リージョンとは?: 東京、大阪、米国東部など、世界中の主要な地理的エリアに設置された、完全に独立したAWSの拠点のこと。物理的に何千キロも離れており、あるリージョンで大規模な災害が起きても、他のリージョンには一切影響がないように設計されている。
    • AWSを使い始めるとき、まず「どのリージョンでサービスを動かすか」を自分で選ぶ。日本のユーザー向けなら東京リージョン、といったように。近いリージョンのほうがレスポンスが早いので、ユーザーの居場所を考慮してリージョンを選ぶとよい。
    • 東京リージョンで作ったEC2インスタンスは、大阪リージョンからは見えないなど、サービスもデータもリージョン単位で完全に分離されている。

② アベイラビリティゾーン (AZ)

  • AZとは?: 1つのリージョン内にある、物理的に独立したデータセンター群のこと。1つのリージョンは、必ず2つ以上のAZで構成されている。
    • 各AZは、それぞれ独立した電源、冷却設備、ネットワークを持ち、数キロ離れた場所に設置されている。これにより、火災や停電といった災害が1つのAZで起きても、同じリージョン内の他のAZは影響を受けない仕組みになっている。
    • 複数のAZにシステムを分散させる「マルチAZ構成」が、AWSにおける耐障害性の基本。

【リージョンとAZの関係性】 リージョンが親、AZが子という「親子関係」にある。この階層構造が、AWSの耐障害性の基盤となっている。アプリケーションはAZをまたいで可用性を高め、リージョンをまたいでDR(災害復旧)対策を行う、という使い分けが基本。

2. エッジロケーションの階層

① PoPエッジロケーション

  • PoPエッジロケーションとは: 一般的に「エッジロケーション」と呼ばれるもので、正式には「PoP (Point of Presence) エッジロケーション」という。世界中の主要都市に数百カ所も設置されており、ユーザーからのリクエストを最初に受け取る、最前線のキャッシュサーバー
  • ユーザーに最も近い拠点が応答することで、通信の遅延(レイテンシ)を最小限に抑えるのが目的。。

② リージョナルエッジキャッシュ

  • リージョナルエッジキャッシュとは?: PoPエッジロケーションと、大元のデータがあるオリジンサーバー(例: S3)の中間に位置する、より大きなキャッシュサーバー。PoPよりも数は少なく、世界に十数カ所設置されている。
    もしPoPにキャッシュがなかった場合、PoPはオリジンに直接行かず、まずこのリージョナルエッジキャッシュに問い合わせる。

【エッジロケーションの関係性】 ユーザーからのリクエストは、まず① PoPが受け、なければ② リージョナルエッジキャッシュに聞きに行き、そこにもなければ初めて③ オリジンにデータを取りに行く、という流れ。この2段階のキャッシュが、高速化と負荷軽減を両立させている。

3. 超低遅延を実現する拠点

特定の用途のために、リージョンの機能をユーザーのすぐ近くまで拡張する拠点がある。

① ローカルゾーン (Local Zone)

  • ローカルゾーンとは?: 大都市圏のユーザーに対して、動画編集やリアルタイムゲームなど、1桁ミリ秒台の超低遅延が求められるサービスを提供するための、リージョンの拡張拠点。
    リージョン本体から少し離れた「出島」のようなイメージで、EC2やVPCなど主要なサービスが利用できる。

② Wavelength Zone

  • Wavelength Zoneとは?: 5Gネットワークの通信事業者の設備内にAWSインフラを設置し、モバイルデバイスに対して超低遅延を実現する拠点。
    AR/VRやスマート工場など、5Gの高速通信を活かした最先端のアプリなどで使われる。5G網のすぐそばで処理を行うため、遅延が極めて小さくなる。

4. Direct Connectロケーション

  • Direct Connectロケーションとは: 会社のデータセンター(オンプレミス)とAWSを、インターネットを介さずに専用線で接続するための物理的な接続ポイント
    世界中の主要なデータセンターに設置されていて、ここを経由することで、安全で安定した高速なプライベート接続が実現できる。

まとめ

AWSの各ロケーションは、それぞれの役割を持って連携している。
それぞれの違いを表に整理すると以下のようになる。

名称 目的 場所 主なサービス
リージョン サービスの本体を動かす地理的拠点 世界の主要エリア ほぼ全てのAWSサービス
AZ リージョン内の耐障害性を確保する拠点 リージョン内に複数 ほぼ全てのAWSサービス
PoPエッジロケーション 最前線でのコンテンツ高速化(キャッシュ) 世界中に数百カ所 CloudFront, Route 53
リージョナルエッジキャッシュ 中間でのキャッシュとオリジン負荷軽減 世界に十数カ所 CloudFront
ローカルゾーン 特定都市のユーザーへの超低遅延 リージョン近郊の大都市 EC2, EBS, VPCなど
Wavelength Zone 5Gデバイスへの超低遅延 通信事業者の5G網内 EC2, EBS, VPCなど
Direct Connectロケーション オンプレミスとの専用線接続 主要データセンター Direct Connect

Discussion