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[Docker] MongoDB接続がタイムアウトする場合の対処法

2023/10/01に公開

[Docker] MongoDB接続がタイムアウトする場合の対処法

追記(2023年10月5日)

私のUbuntuシステム上のDockerがネットワーク接続の問題を起こすことが分かりました。特に、システムがスリープから復帰した後にDockerのブリッジインターフェイスがダウンします。
この問題は、以下のコマンドを使用してシステムのネットワーク設定を確認できます。

参考文献
https://qiita.com/etaroid/items/88ec3a0e2d80d7cdf87a#ネットワークの管理コマンド

問題を確認する作業

  1. ルーティングテーブルの確認:
    ルーティングテーブルを確認し、必要なルートが存在しているかどうかを確認します。

    route -n
    

    →Dockerコンテナに割り振っていたmy_networkのIPアドレスが表示されませんでした。

  2. ネットワークインターフェイスの確認:
    各ネットワークインターフェイスの状態を確認し、Dockerのブリッジインターフェイスがアクティブであることを確認します。

    ip addr
    

    →Dockerのブリッジインターフェイスがダウンしていることが確認されました。

    ip addr
      1: (省略)
      4: docker0: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,UP> mtu 1500 qdisc noqueue state **DOWN** group default 
          link/ether ******
      15: br-f94f9f11b616: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noqueue state **DOWN** group default 
          link/ether ******
    
  3. Dockerブリッジインターフェイスの起動:
    Dockerのブリッジインターフェイスがダウンしている場合、以下のコマンドを使用して手動で起動します。

    sudo ip link set docker0 up
    sudo ip link set br-f94f9f11b616 up
    

    →Dockerのブリッジインターフェイス起動しませんでした。

  4. システムログの確認:
    システムログを確認して、Dockerやネットワーク関連のエラーや警告がないか確認します。

    dmesg | grep docker
    

    dmesgの出力から、いくつかのdocker0インターフェイスに関連するエントリが表示されました。これらのエントリは、Dockerがコンテナを作成および削除するとき、またはネットワーク設定が変更されたときに生成されます。特に、いくつかのveth(Virtual Ethernet)デバイスが作成され、状態が変更されていました。これらのvethデバイスは、ホストシステムとDockerコンテナ間のネットワーク接続を管理するために使用されるそうです。

  5. Dockerネットワークの確認:
    Dockerのネットワーク設定を確認し、カスタムネットワークが正しく設定されていることを確認します。

    docker network ls
    docker network inspect [your_network_name]
    

    →カスタムネットワークが正しく設定されていることが確認されました。

  6. Dockerデーモンの状態確認と再起動:
    Dockerデーモンの状態を確認し、正常に稼働していることを確認します。

    sudo systemctl status docker
    

    →Dockerデーモンは正常可動しており、これを再起動しても問題は解決しませんでした。

私のケースでは、ルーティングテーブルやネットワークインターフェイスの状態が期待通りでないことが確認されましたが、問題の根本原因はまだ明確には特定できていません。

ワークアラウンド

MongoDBのデータのバックアップを作成する

まず、MongoDBのデータをバックアップします。これは、MongoDBのデータをホストマシンにエクスポートすることで実現できます。
(省略)
続く「カスタムネットワークの削除」をすると、コンテナが起動しなくなるので注意して下さい。

Dockerネットワークの再作成

現在のカスタムネットワークを削除し、新しいネットワークを作成して、コンテナをその新しいネットワークに接続します。

docker network rm my_network
docker network create --driver bridge my_new_network
docker network connect my_new_network my-mongodb-new
$ route -n
カーネルIP経路テーブル
受信先サイト    ゲートウェイ    ネットマスク   フラグ Metric Ref 使用数 インタフェース
(省略)
172.18.0.0      0.0.0.0         255.255.0.0     U     0      0        0 br-97fa3f93d0bc
192.168.65.0    0.0.0.0         255.255.255.0   U     100    0        0 enp6s0

コンテナとカスタムネットワークを接続する

  1. 最初に、コンテナを新しいネットワークに接続します:
docker network connect my_new_network my-mongodb-new
  1. そして、コンテナを起動します:
docker start my-mongodb-new

[追記終わり]

はじめに

Dockerを使用してMongoDBコンテナを構築しました。構築から時間が経つと、接続がタイムアウトする問題に直面しました。
具体的には

client = MongoClient('mongodb://localhost:27019/')

のように、localhost文字列を使用した場合、接続ができませんでした。(当たり前のような気もしますし、自分でもあいまいです。)
最終的には、以下のように、MongoDBコンテナのIPアドレスを使用することで、接続できるようになりました。

client = MongoClient('mongodb://172.18.0.2:27017/')

この記事では、そのような状況での対処法を詳しく解説します。

注意

Dockerのネットワークについて、本来適切な方法・手順があるかもしれません。この記事では、私が試行錯誤して解決した方法を紹介しています。

Dockerのネットワークについては、日本語のチュートリアルが存在します。以下のチュートリアルを参考にしてください。

環境

pymongoのバージョンは4.5.0です。

>>> import pymongo
>>> print(pymongo.__version__)
4.5.0

dockerのバージョンは24.0.6です。

docker --version
Docker version 24.0.6, build ed223bc

MongoDBのバージョンは7.0.1です。
Mongoshのバージョンは1.10.6です。

NOTE:
MongoshはMongoDBの公式シェルです。以前はmongoコマンドを使用されていましたので、ググると普通にmongoコマンドを使用した記事が出てきます。mongoコマンドは非推奨(というかDockerコンテナ内にない)ですので、Mongoshを使用してください。

$ docker ps
CONTAINER ID   IMAGE     COMMAND                   CREATED       STATUS       PORTS                                           NAMES
6cf444d25f06   mongo     "docker-entrypoint.s…"   5 hours ago   Up 5 hours   0.0.0.0:27017->27017/tcp, :::27017->27017/tcp   my-mongodb

$ docker exec -it my-mongodb mongosh
Current Mongosh Log ID:	651966a2a13f95aebb001e3d
Connecting to:		mongodb://127.0.0.1:27017/?directConnection=true&serverSelectionTimeoutMS=2000&appName=mongosh+1.10.6
Using MongoDB:		7.0.1
Using Mongosh:		1.10.6

For mongosh info see: https://docs.mongodb.com/mongodb-shell/

------
   The server generated these startup warnings when booting
   2023-10-01T07:57:57.556+00:00: Using the XFS filesystem is strongly recommended with the WiredTiger storage engine. See http://dochub.mongodb.org/core/prodnotes-filesystem
   2023-10-01T07:57:58.534+00:00: Access control is not enabled for the database. Read and write access to data and configuration is unrestricted
   2023-10-01T07:57:58.534+00:00: vm.max_map_count is too low
------

test> db.version()
7.0.1

Ubuntuのバージョンは20.04 LTSです。

$ uname -a
Linux terms 5.15.0-84-generic #93~20.04.1-Ubuntu SMP Wed Sep 6 16:15:40 UTC 2023 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux

MongoDBと繋がらなくなった時、調べるべき手順のリスト

  1. ufw設定の確認: sudo ufw status コマンドを使用して、ホストマシンのファイアウォール設定がMongoDBのポートを許可しているか確認します。
  2. mongosh コマンドの使用: mongosh コマンドを使用して手動でMongoDBに接続し、動作を確認します。
  3. MongoDBの設定確認: コンテナ内で mongod.conf ファイルを探し、bindIp オプションが適切に設定されているか確認します。
  4. ポートマッピングの確認: docker ps コマンドで、ホストとコンテナのポートが正しくマッピングされているか確認します。
  5. Dockerのネットワークモード確認: docker inspect <コンテナIDまたはコンテナ名> | grep NetworkMode コマンドで、Dockerコンテナのネットワークモードを確認します。

他に考慮すべき点は、以下の通りです。
6. MongoDBのログ確認: MongoDBのログを確認して、エラーメッセージや警告がないかチェックします。
7. telnetまたはncでの接続テスト: telnetnc コマンドを使用して、MongoDBに接続できるかテストします。
8. MongoDBのプロセス確認: ps aux | grep mongod コマンドで、MongoDBのプロセスが正常に動作しているか確認します。
9. Dockerコンテナのリスタート: 問題が解決しない場合、Dockerコンテナをリスタートしてみます。

解法

ホストのファイアーウォール設定

ufw(Uncomplicated Firewall)をファイアウォールとして使用している場合、Dockerはホストマシンのネットワークを使用するため、ufwの設定がDockerコンテナの通信を遮断する可能性があります。

sudo ufw allow from 127.0.0.1 to any port 27019 proto tcp  # ローカルホストからの通信だけを許可

この設定により、127.0.0.1(localhost)からの27019ポートへのTCP通信だけが許可されます。

設定が完了したら、ufwの設定を再読み込みして有効にしてください。

sudo ufw reload

そして、sudo ufw statusで設定が反映されているか確認してください。

sudo ufw status
状態: アクティブ

To                         Action      From
--                         ------      ----
(省略)
27019/tcp                  ALLOW       127.0.0.1

mongoshコマンドの使用

mongoshコマンドを使用して、手動でMongoDBに接続し、動作を確認します。

docker exec -it my-mongodb mongosh
Current Mongosh Log ID:	6519285a2cf91dd0da5bb580
Connecting to:		mongodb://127.0.0.1:27017/?directConnection=true&serverSelectionTimeoutMS=2000&appName=mongosh+1.10.6
Using MongoDB:		7.0.1
Using Mongosh:		1.10.6

For mongosh info see: https://docs.mongodb.com/mongodb-shell/


To help improve our products, anonymous usage data is collected and sent to MongoDB periodically (https://www.mongodb.com/legal/privacy-policy).
You can opt-out by running the disableTelemetry() command.

------
   The server generated these startup warnings when booting
   2023-10-01T07:57:57.556+00:00: Using the XFS filesystem is strongly recommended with the WiredTiger storage engine. See http://dochub.mongodb.org/core/prodnotes-filesystem
   2023-10-01T07:57:58.534+00:00: Access control is not enabled for the database. Read and write access to data and configuration is unrestricted
   2023-10-01T07:57:58.534+00:00: vm.max_map_count is too low
------

test> exit

MongoDBの設定確認

設定ファイルの確認: MongoDBの設定ファイル(通常はmongod.conf)で、bindIp オプションが適切に設定されているか確認します。

mongod.confファイルで、どのIPアドレスからの接続を許可するかが制限されていないか確認するのですが、Docker内にはmongod.conf.origファイルはあるものの、mongod.confファイルはありませんでした。

このように設定ファイルがない場合、ps aux | grep mongodで確認を行います。

docker exec -it mongodb-1 /bin/bash
root@b87f6a0ab623:/#  ps aux | grep mongod
mongodb        1  0.3  0.9 2666480 149804 ?      Ssl  08:18   0:37 mongod --bind_ip_all
root          80  0.0  0.0   3468  1640 pts/0    S+   11:00   0:00 grep mongod

この出力から、MongoDBは--bind_ip_allオプションで起動していることがわかります。このオプションは、MongoDBがすべてのIPアドレスからの接続を許可するように設定されていることを意味します。この設定はセキュリティ上のリスクがありますが、今回のように、ローカルネットワーク内での使用やテスト環境であれば問題ない場合もあります。

Dockerのネットワーク

Dockerにユーザー定義のネットワーク(my_network)を作成します。

NOTE:
本来ならbridgeから接続できるはずですが、この環境ではbridgeへ接続できませんでした。

docker network create my_network

ネットワークが作成されたら、新しいコンテナを作成する際や既存のコンテナを起動する際に、--networkオプションを使用してこのネットワークに接続できます。

既存のコンテナに新しいネットワークを接続するには、以下のコマンドを使用します。

docker network connect my_network my-mongodb

このコマンドで、my-mongodbという名前のコンテナがmy_networkというネットワークに接続されます。

docker network inspect my_network コマンドを使用して、my_networkという名前のネットワークの詳細情報を表示できます。このコマンドの出力には、そのネットワークに接続されているすべてのコンテナとそのIPアドレスが含まれます。

コマンドを実行すると、以下のような形式で情報が表示されるはずです。

$ docker network inspect my_network
[
    {
        "Name": "my_network",
        "Id": "8672d61a39617cd6388c42dad055528e1f1d049d90b9b59b0af98010db79806c",
        "Created": "2023-10-01T14:43:54.96084477+09:00",
        "Scope": "local",
        "Driver": "bridge",
        "EnableIPv6": false,
        "IPAM": {
            "Driver": "default",
            "Options": {},
            "Config": [
                {
                    "Subnet": "172.18.0.0/16",
                    "Gateway": "172.18.0.1"
                }
            ]
        },
        "Internal": false,
        "Attachable": false,
        "Ingress": false,
        "ConfigFrom": {
            "Network": ""
        },
        "ConfigOnly": false,
        "Containers": {
            "6cf444d25f06f338d16160cd143ff3437ea1a2447305d4a903a0a415b3b57c36": {
                "Name": "my-mongodb",
                "EndpointID": "189238e17c2cf137b7a325ccb9d917d0daa32f6f09fec178d120ca0bdd3aa0f9",
                "MacAddress": "02:42:ac:12:00:02",
                "IPv4Address": "172.18.0.2/16",  # この行が重要
                "IPv6Address": ""
            }
        },
        "Options": {},
        "Labels": {}
    }
]

Dockerネットワークの情報から、MongoDBコンテナ(my-mongodb)のIPv4アドレスが172.18.0.2であることがわかります。この情報を使用して、PythonからMongoDBに接続できます。

Pythonインタラクティブシェルで以下のコードを実行します。

from pymongo import MongoClient
# MongoDBコンテナのIPアドレスとポートを使用して接続
client = MongoClient('mongodb://172.18.0.2:27017/')
print(client.list_database_names())

この設定でPythonがMongoDBに接続できました。

Pythonのインタラクティブシェルでは、以下のように接続を確認できます。

>>> from pymongo import MongoClient
>>> client = MongoClient('mongodb://172.18.0.2:27017/')
>>> print(client.list_database_names())
['admin', 'config', 'local', 'my_database']
>>> 

まとめ

この記事では、Dockerを使用して構築したMongoDBコンテナとの接続がタイムアウトする問題に対する対処法を詳細に解説しました。ufwの設定、mongoshの使用、MongoDBの設定確認、Dockerのネットワーク設定など、多角的な視点から問題を解決する方法を模索しました。

また、docker network inspectコマンドを使用して、コンテナの内部IPアドレスを確認することで、Pythonからの接続もスムーズに行えました。

Dockerのユーザー定義ネットワークを作成して、そのネットワークにMongoDBコンテナを接続する方法は、本来の運用(設定)方法とは違うかもしれません。その点はご留意下さい。

何らかの接続問題に直面した際には、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

以上です。ありがとうございました。

参考文献

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