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【変数管理】グローバル、コロケーション、モジュールの使い分け

2025/02/25に公開

はじめに

私はこれまでのプロジェクトを進める中で、変数や定数をどのように管理するかで迷うことがありました。例えば、スクリプトの冒頭でグローバル変数を定義して使うべきか、それとも必要箇所の近くで定義するコロケーションの方式を採用すべきか、さらにはモジュール化して別ファイルに管理するべきか、といった疑問がありました。
本記事では、プログラミングにおける変数の取り扱いに関する3つの概念(グローバル、コロケーション、モジュール)を、それぞれの特徴、利点・欠点を比較します。

1. グローバル

特徴

グローバル変数やグローバル定数、グローバルスコープは、スクリプト全体で参照可能な定義を指します。
例えば、スクリプトの冒頭でグローバル定数を定義することにより、定数の全体像が見えて分かりやすく、コードのどこからでも同じ変数や関数を利用できるため、単純なプロジェクトでは管理がしやすくなります。

利点

  • 利便性: どこでも使用できるため、簡単に値を共有可能。
  • 導入のしやすさ: 小規模スクリプトでは実装が簡単。

欠点

  • 衝突リスク: 同じ名前の変数が他のコードやライブラリと競合する可能性。
  • スコープが広い分、追跡が困難: 変更箇所が多くなり、デバッグやメンテナンスが大変。
  • 可読性と保守性の低下: グローバル変数はどこからでも変更できるため、コードの可読性が低下し、コードの保守性が損なわれる可能性があります。
  • セキュリティリスク: グローバル変数が不正に変更されると、予期しない挙動を引き起こし、セキュリティホールを作成する可能性があります。特に、ウェブアプリケーションなどのセキュリティに敏感な環境では、慎重に扱う必要があります。

具体例

// グローバル定数のエラーメッセージ
const ERROR_MESSAGE = "Error occurred";

function fetchData() {
  // 失敗時にグローバル定数のエラーメッセージを使用
  throw new Error(ERROR_MESSAGE);
}

function postData(data) {
  // POST処理が失敗した場合のエラーとして使用
  throw new Error(ERROR_MESSAGE);
}
  • ポイント: グローバルに定義することで、複数の関数で同じエラーメッセージを使い回せます。

2. コロケーション

特徴

コロケーションは、関連するコードを物理的に近い場所にまとめておく手法です。たとえば、特定のコンポーネントが使用するスタイルや定数を、そのコンポーネントの近くに配置することです。

利点

  • 関連性が明確: コードの流れや依存関係が分かりやすくなる。
  • 簡単な変更: 修正が必要な際に影響範囲を特定しやすい。

欠点

  • 複数箇所で重複の可能性: 似たようなコードや定義が複数箇所に分散してしまう。
  • プロジェクト規模が拡大すると管理が難しくなる: 統一されたルールがない場合、混乱が生じる。

具体例

ComponentA.js
const ERROR_MESSAGE = "ComponentA error";

function ComponentA() {
  // 失敗時にエラーメッセージを使用
  throw new Error(ERROR_MESSAGE);
}
  • ポイント: このエラーメッセージは特定のコンポーネントに密接に関連しており、コロケーションによりその関係が明確になります。

3. モジュール

特徴

モジュールとは、特定の機能やロジックを独立したファイルや関数に分割することで、再利用性や管理性を高める設計手法を指します。

利点

  • 再利用性: ひとたび作ったモジュールを、複数プロジェクトで使い回せる。
  • 管理しやすい: コードが明確な単位に分かれるため、変更や拡張が容易。

欠点

  • 導入コスト: 初期設定やディレクトリ構造の構築に時間がかかる場合がある。
  • 学習コスト: キャッチアップに一定の時間が必要。

具体例

errors.js
export const GENERIC_ERROR_MESSAGE = "Error";
export const NETWORK_ERROR_MESSAGE = "Network error";
main.js
import { GENERIC_ERROR_MESSAGE } from './errors';

function fetchWithRetry() {
  // 通信失敗時にエラーメッセージを使用
  throw new Error(GENERIC_ERROR_MESSAGE);
}
  • ポイント: モジュールに切り出すことで、エラーメッセージを再利用しやすくなります。

4. プロジェクト規模に応じた選び方

プロジェクト規模に応じた選び方については、一般的には以下のような考慮が重要です。
また、選び方はプロジェクトの規模だけでなく、開発チームの規模やコードの予想される成長も考慮する必要があります。

プロジェクト規模 推奨される手法
小規模プロジェクト グローバル
中規模プロジェクト コロケーション
大規模プロジェクト モジュール
  • 小規模プロジェクト: グローバル定義で簡単に始める。必要に応じてコロケーションを考慮する。
  • 中規模プロジェクト: コロケーションを重視しつつ、共通するロジックはモジュール化して整備。
  • 大規模プロジェクト: モジュール化を徹底し、コードベースの複雑さを管理。グローバルスコープの使用は極力避ける。

おわりに

プログラミングにおける変数の取り扱いに関する3つの概念について、それぞれの特徴、利点・欠点を比較し、プロジェクト規模に応じた選び方を解説しました。これにより、どの方法を選べば適切かを判断しやすくなると思いますので、ぜひ本記事を参考にしながら、自分のプロジェクトに合った手法を見つけてください!


株式会社ONE WEDGE

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