Gemini CLI を導入してみよう:Google が提供するターミナルAI活用術
1. Gemini CLIとは何か
Googleが公開した Gemini CLI は、従来のLLMツールとは一線を画す、開発者向けのコマンドライン統合型エージェントです。
特筆すべきはその開放性と太っ腹な利用条件。
例えば Claude Code が従量課金もしくは有料プランを前提とする一方で、Gemini CLIはGoogleアカウントさえあれば完全無料で利用可能。
しかもクレジットカードの登録すら不要で、毎分60回、1日最大1,000回のリクエスト制限が設けられており、軽〜中程度の開発用途であれば十分すぎるほどのボリュームです。
ただのチャットボットではなく、以下のような高度な機能を備えた、本格的かつ拡張可能なCopilotとして設計されています。
以下が特徴
- コード理解と編集:100万トークン以上の文脈ウィンドウで巨大なコードベースにも対応
- PDFやスケッチからのアプリ生成:Geminiのマルチモーダル能力を活用
- Git操作の自動化:Pull Requestの要約、rebase支援などの運用自動化
- MCPによるツール拡張:ローカルツールや画像生成AI(Imagen/Veo)と連携可能
- Google検索統合:リアルタイム情報をプロンプトに組み込める
2. インストール手順
前提条件
-
Node.js v18以上がインストールされていること
確認コマンド:
node -v
インストール方法
- 一時的に試す場合:
npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
- グローバルに導入する場合:
npm install -g @google/gemini-cli
gemini
初回起動時にテーマカラーの選択とGoogleアカウントでの認証が求められます。
完了したら、以下のような入力欄が見えます。これだけで、Gemini 2.5 Proが無料で使える環境が整います。
3. コマンドの使い方
公式のドキュメントはこちらより確認してください。
/
スラッシュコマンド(CLI操作・会話管理)
CLIの設定やメモリ管理、会話履歴の保存・復元などを行う。
例:/help
、/chat save
、/memory show
、/quit
@
アットコマンド(ファイルの読み込み)
ファイルやフォルダの内容をプロンプトに注入し、コードや文書をAIに渡せる。
例:@README.md
、@src/
!
エクスクラメーションコマンド(シェル操作)
シェルコマンドをそのまま実行できる。
例:!ls
、!git status
、!
でシェルモードに切り替え可能(色が変わりましたね!)
4. MCP Serverの接続
Gemini CLI では、MCP(Model Context Protocol)を使って外部ツールと連携することができます。ここでは、Markdown要約や変換ツールを提供する「markitdown MCP」を例に、接続手順を紹介します。
👉 MCPの概要および
👉 使ってみた例については、
以上のリンク先の記事にて詳しく紹介しています。ぜひ一読いただければ幸いです。
MCPサーバーをDockerでビルド
まずは markitdown MCP のイメージをビルドします(Dockerfile
がある場合)。
docker build -t markitdown-mcp .
これで markitdown-mcp:latest
というローカルイメージが作成されます。
.gemini/settings.json
を作成
プロジェクトのルートディレクトリにて、以下のコマンドを実行します:
mkdir -p .gemini
touch .gemini/settings.json
以下のいずれかのエディタで .gemini/settings.json
を開きます:
nano .gemini/settings.json
.gemini/settings.json
に以下の内容を記述します:
{
"mcpServers": {
"markitdown": {
"command": "docker",
"args": [
"run",
"-i",
"--rm",
"markitdown-mcp:latest"
]
}
}
}
以上の設定により、CLI が markitdown MCP のツールを呼び出すタイミングでdocker run
を実行し、MCP server が一時的に立ち上がる仕組みです。タスクが完了すれば--rm
によりコンテナも自動で終了・削除されます。
Gemini CLI を起動し、MCPを確認
gemini
CLIを起動後、以下のコマンドで接続状況を確認します:
/mcp
正常に接続されていれば、以下のような画面が見えます。
5. VS Code と CLI、シームレスに繋がる AI 体験
Google は公式に、Gemini CLI と VS Code の Gemini Code Assist が同じ基盤技術で構築されていることを明言しています。つまり、VS Code のチャット機能で体験できる「エージェント的なAIアシスタント」と、Gemini CLI 上の対話は本質的に同じ能力を共有しているのです。
複雑な編集は VS Code(Gemini Code Assist)で、軽量なタスク実行は Gemini CLI で行うことで、開発者はどの作業環境にいても一貫性のある AI 支援を受けられるようになります。
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