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AI・データ分析プロジェクトの始め方

2024/05/03に公開

はじめに

DXの推進でデータドリブンでビジネスを変革するため、多くの企業がAI・データ分析プロジェクトを立ち上げています。AI・データ分析プロジェクトで失敗しないために、考慮すべきポイントを簡単にまとめました。

プロジェクト体制

AI・データ分析は、ビジネス変革における問題の背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し検討できるビジネススキルが重要となります。そして、情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵から必要なデータの検討、解決できるスキルや、データを意味のある形に使えるようにして実装、運用できるようにするスキルが必要となり、これらは一人で対応するのはほぼ不可能です。

ポジション 職種 必要スキル
プロダクトマネージャ コンサルタント、ビジネスアナリスト ビジネス変革における問題の背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し検討、解決できるビジネススキル
データサイエンティスト 研究者、プログラマー 情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵から必要なデータの検討、解決できるスキル
データエンジニア SRE/MLエンジニア データを意味のある形に使えるようにして実装、運用できるようにするスキル

アジャイルによるシステム開発

従来のシステム開発では、全体の仕様を決めてから開発を行うウォーターフォールが一般的ですが、AI・データ分析システム開発は明確な仕様を決められません。AIは学習させるデータによって精度が変わるため、常に同じ処理で同じ結果が出せるとは限らないことが理由としてあげられます。

AI・データ分析システム開発は、ウォーターフォール開発ではなくアジャイル開発が適しています。
アジャイル開発とは、短い期間で開発とテストを繰り返し、精度を上げていく手法です。

契約形態

AI・データ分析システムは、先ほど記載したとおりデータによって精度が変わるため、100%の成果を保証できるものではありません。そのため、AI・データ分析システムの開発を外注する場合は、完成品を納品する請負契約ではなく、稼働に対して報酬が発生する準委任契約を前提としたプロジェクトになります。

AI・データ分析のゴールを決める

AI・データ分析プロジェクトを計画するには、課題の抽出や整理をする前に、分析した結果からどうしたいのか、あらかじめゴールを設定することで確認すべき課題を明確にする必要があります。ゴールの例を以下に示します。

  • アクセス数を増やして、顧客を増やしたい
  • アクセスしたユーザーによる製品購入の割合を増やしたい
  • 製品の価格を適正にしたい

経営層との期待値調整

AI・データ分析システムは、経営層から過度な期待を持たれる場合があります。例えば、過去データからの分析結果より、売上予測の範囲を提示すると、範囲ではなく値の提示を求められ、その売上予測値より実績値が下振れした場合、調整が大変です。

AI・データ分析プロジェクトでは、ボトムアップで経営層との期待値調整が重要となります。

クラウドサービスのデータ基盤

データ分析を行うためのデータ基盤を用意するにはかなりのコストがかかるため、フルマネージドサービスを提供するAzure、AWS、GCPのデータ分析サービスを以下に紹介します。

クラウドサービス 主なサービス 課金
Azure Microsoft Fabric 動かした時間とストレージ容量に応じた課金
AWS RedShift 動かした時間に応じた時間課金
GCP BigQuery データスキャン量に応じた従量課金

おわりに

データ分析の基盤が構築できるSIベンダーだけではなく、ITスキルとは異なるビジネスアナリストや統計学など学術的な分野とコラボレーションしなければ、AI・データ分析プロジェクトは成功しないと理解しました。ビジネスアナリストを担うプロダクトマネージャには、自社内の利害関係者から選出してアサインし、その他のデータサイエンティストやデータエンジニアは外注するのが理想的な体制だと考えます。

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