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AzureとAWSのCAFを比較してみた - その2 -

2024/04/25に公開

はじめに

前回「AzureとAWSのCAFを比較してみた」の記事で、"概念の比較"と"クラウド移行計画の比較"を行い評価をしました。今回は、クラウドトランスフォーメーションを行うチームと、クラウドを利用するために必要な最小限の環境について比較してみました。

クラウドトランスフォーメーションを行うチーム

Azureの場合

スピードとコントロールのバランスを取るためにMicrosoftは、クラウド導入時に少なくとも、"クラウド導入"と"クラウドガバナンス"に対して説明責任を持つ人材を用意することを推奨しています。これは、それぞれの領域または機能の責任を共有する人々から成る 1 つのチームである可能性があります。

https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cloud-adoption-framework/plan/initial-org-alignment

AWSの場合

「ピザ2枚では足りない大きさのチームを編成すべきではない」という原則のもと、8~10人以下の小規模なチームを組織することを推奨しています。市場投入時間を短縮するには作業をできるだけ速く行う必要があります。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/aws-caf-business-perspective/product-management.html

比較評価

いずれもまずは小規模なチームを組織することに触れていて、主にAzureでは推進する責任者について言及し、AWSではコラボレーションの質について言及しています。本質的な部分においては変わりませんが、AWSのピザを使った表現がとてもユニークで印象的です。

クラウド環境の最小構成

Azureの場合

顧客のニーズに仮説を立て、アプリケーションに十分な価値の可能性が仮説にあることが検証されたら構築プロセスを開始します。イノベーションを成功させるには、市場投入までの時間が非常に重要です。実用最小限の製品(MVP)とは、フィードバックを収集し、正しい方向に進んでいるかどうかを確認するのに十分な機能を提供する、新しい機能の予備バージョンです。

https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cloud-adoption-framework/innovate/

AWSの場合

長い納品サイクルを通じて、組織は顧客のニーズに合わない製品を納品する可能性があります。反復プロセスにより、リリースを分割し、「Minimum Lovable Products」(MLP)と呼ぶ形式で段階的な製品価値を提供します。MLPをリリースするたびに、組織は資金ニーズと将来の反復を正当化するためにビジネス価値を測定します。

https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-caf-business-perspective/product-management.html

比較評価

用語 略語 概要
Minimum Viable Products MVP クラウド環境を利活用するためのセキュリティ、ガバナンス、管理を最適化する実用最小限の製品のことを指し、安価でより早く市場に投入できるといったメリットがあります。
Minimum Lovable Products MLP UIにもっと注力し、問題解決だけではなく顧客に喜んでもらえるよう考慮した製品のことを指し、これはスタートアップが本当に目立ちたいのであれば、代わりに最低限の愛すべき製品を作るといったものになります。

いずれも市場投入までの時間を短縮するため、最小限の製品でクラウド環境を構成し、機能拡張していくといった考えは同じですが、Azureは合理的、AWSはユーザーライクな印象です。

おわりに

どちらが良い、悪いといったことはなく、合理的な考えだったり、顧客目線な考えだったりとどちらもよく考えられた内容だとあらためて感心しました。
クラウドサービスならではの機敏性を考慮したチーム編成や製品構成で、クラウドトランスフォーメーションを進めるには技術だけではなく組織、リーダー、アジャイル的な思考が重要になるのだと理解しました。

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