Closed9
全方位木dpの学習
できること
- すべての頂点を根としたとき、ある種の計算を
で実行する。(N) - ナイーブには
かかるO(N^2)
手順
- ある頂点を根として木dp
- 頂点を1つずつずらして差分を計算
制約
- 差分計算を効率的に(=累積的に)行うために、モノイド(結合律・単位元の存在)が対象。
- ちなみに、単位元は初期化に必要。結合律は、左右からの累積和を結合するときに必要。
題材
太郎君は、各頂点を白または黒で塗ることにしました。 このとき、どの黒い頂点からどの黒い頂点へも、黒い頂点のみを辿って到達できるようにします。
正整数
頂点
補足
- 単にモノクロに塗り分ける方法は
通りあるので、剰余をとるのは合理的2^N 1≤N≤10^5
入力
use proconio::{input, marker::Usize1};
fn main() {
input! { n: usize, m: u32 }
let edge = {
let mut edge = vec![Vec::new(); n];
for _ in 1..n {
input! { x: Usize1, y: Usize1 }
edge[x].push(y);
edge[y].push(x);
}
edge
};
// rerooting
}
考察
どの黒い頂点からどの黒い頂点へも、黒い頂点のみを辿って到達できる
- 黒い頂点のみを取り出した部分グラフは、木でなければならない。
- 結局、各ノードについて、それを親とする部分木であるもの数を求めればよい。
- ノード
を根とする部分木の総数は、その子を頂点とする部分木の数を0 とおくとd_i とかける。\prod_i (d_i+1)
累積的な計算
- 各ノードについて、子を一列に並べたときに左右から行う
注意事項
- 順序を考えるのは大変そうなので、可換モノイドに限定して考える。つまり、
の性質を利用する。割り算や文字列の結合では成り立たない。a\times b=b\times a - モジュラ逆数が存在しない場合があるため、割り算は実質的に使用できない。逆に割り算が使用できる場合、「累積的な計算」で手抜き(=総積を一度だけとる)ができた。
- MIN・MAXはいつもさぼれない
- ADDはいつでもさぼれる
- ADD・MUL・MAX・MINはどれも可換だから楽できる。
0 について計算
step1:ノード DFSで実行できる。コンパイル言語でも再帰よりループの方が速いと信じてる。
// DFS starting at the node 0
let mut dp = vec![0; n];
let mut stack = Vec::with_capacity(n);
stack.push(0);
let mut is_visited_once = vec![false; n];
while let Some(&i) = stack.last() {
if is_visited_once[i] {
// postorder
is_visited_once[i] = false;
stack.pop();
dp[i] = edge[i]
.iter()
.filter(|&&j| !is_visited_once[j])
.fold(1, |acc, &j| acc * (dp[j] + 1) % m);
} else {
// preorder
is_visited_once[i] = true;
for &j in edge[i].iter().filter(|&&j| !is_visited_once[j]) {
stack.push(j)
}
}
}
println!("0: {}", dp[0]);
step2:差分計算
- 累積積の再利用を考えるとBFSがよい。メモすると不要なメモリを使用する。
- 計算の順序が大事
- 先ず、累積積を左右から計算する。
- 次に、
dp
を書き換える。
-
dp[i]
はノードi
が黒であることを仮定しているので、必要なら白の場合を追加する。
// Rerooting: BFS starting at the node 0
let mut deque = VecDeque::with_capacity(n);
deque.push_back((0, 1));
let mut is_visited = vec![false; n];
while let Some((i, left)) = deque.pop_front() {
is_visited[i] = true;
let children = Vec::from_iter(edge[i].iter().filter(|&&j| !is_visited[j]).copied());
// println!("children: {:?}", children);
let mut acc_l = vec![1; children.len()];
for i in 1..children.len() {
acc_l[i] = acc_l[i - 1] * (dp[children[i - 1]] + 1) % m
}
let mut acc_r = vec![1; children.len()];
for i in (1..children.len()).rev() {
acc_r[i - 1] = acc_r[i] * (dp[children[i]] + 1) % m
}
// println!("{:?}\n{:?}", acc_l, acc_r);
for (i, c) in children.into_iter().enumerate() {
let left = acc_l[i] * acc_r[i] * left + 1;
dp[c] = (dp[c] * left) % m;
deque.push_back((c, left))
}
// println!("{:?}\n", dp)
}
println!("{}", dp.into_iter().join("\n"))
修正
上記step2はオーバーフローすることがある。
- let left = acc_l[i] * acc_r[i] * left + 1;
+ let left = acc_l[i] * acc_r[i] % m * left % m + 1;
完全版
投稿時点でRust言語最速、メモリ使用量3位。
感想
- 書き出しながら学ぶと理解がはかどる。実際、初めて全方位木DP理解した。
- 再帰でなくループを使ったからこそ高速かつ省メモリな実装になったと(盲目的に)信じてる。再帰って、それ以前の情報を保持するのにコストかかってそうだし。
- DFSの帰りがけ順にソートしても解けそう。step1のついでにできて、step2で
is_visited
しなくてよいし、累積積もうまく管理できそう。
課題
- 今回は掛け算(可換な演算)だから簡単だった。可換でない演算についてもできるらしいが...?
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