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システムアーキテクト午後Ⅱ論文試験のネタ探し方法

2023/07/02に公開

先日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より、令和5年度春期試験 高度試験の結果が発表されました。

今回、自分は初めての論文タイプの高度試験だったのですが、なんとか無事合格することができました。

https://twitter.com/yankee_sns/status/1674348804596977664

しかし、初めての論文試験と言うことも有り、学習方法に苦労したことも多かったので、
記憶が新しい内に試験対策(午後Ⅱ試験に限って)について書き留めておこうと思います。

簡単なプロフィール

情報処理に関する知識・スキルに関する自分のプロフィールを簡単にリスト化するとこんな感じです。

  • プログラミング経験はあるが、組込み系がベース
  • IoTの絡みでネットワークやセキュリティ、バックエンド系も少し勉強した
  • SEやSIerの経験は無い
  • 基幹システムや情報システムの導入・設計経験も無い
  • IPA高度試験のES、SC、NWは合格済み
  • 高度試験の論文試験は初受験

といった感じで、いわゆる上流工程をちゃんと経験したことはありません
IPAの試験勉強などを通じて、全体の雰囲気
(戦略策定⏩企画⏩要件定義⏩設計⏩実装⏩テスト⏩運用)
は何となく理解しているレベルです。

IPA試験区分

IPAのサイトにも区分が記載されていますが、高度試験枠は全部で9試験あり、その内5つの試験の午後Ⅱ試験が論文試験になります。

システムアーキテクト試験について

試験の概要

こちらもIPAサイトに記載がありますが、システムアーキテクト試験は以下のような方を対象としています。

システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、
業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、
上級エンジニアを目指す方に最適です。

1.対象者像
高度IT人材として確立した専門分野をもち、ITストラテジストによる提案を受けて、
情報システム又は組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、
それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する者

といった記載が以下のIPAページに載っています。

ここにも記載があるように、システムアーキテクト試験は上流工程を担う人向けの試験になるかと思います。

午後Ⅱ試験について

令和5年度までは、午後Ⅱ試験は3問の内、1問を選択し回答する形でした。
3問の内訳は、2問が情報システム関係、1問が組込み・IoTシステム関係の設問です。
ただし、令和6年度からは出題の形が少し変わります。

このため、今後は情報システム関係の問題のみが出題される形になりますのでご注意ください。

論文の書き方対策

根本的な論文の書き方については参考書で学習を行いました。
書き方の作法が結構ありそうなので、論文試験初挑戦の方は参考書や対策動画などで
一度は対策を勉強しておいた方がいいと思います。

ちなみに、自分が購入した本は以下2冊です。
どちらの書籍も、設問のどういった箇所に着目すべきかなど記載があって参考になりました。

また、普段パソコンでの作業が多い方は、過去問に取り組む際も時間を絞って本番と同じ筆記用具で書くことを推奨します。
自分の場合、

  • 漢字が思い出せない
  • 文字の書くスピードが遅い(時間内に書き切れない)
  • 制限時間の終盤、腕が疲れる

といった問題が中々最後まで解消できませんでした。
試験本番は慎重になりがちのため、練習時より解答用紙への記入に時間が掛かることを想定し、
過去問をやる際は時間内に書き切って、全体をゆっくり確認し直せる位まで余裕が持てることが望ましいです。

論文のネタ集め

ここが一番の鬼門でした。
実際にシステム導入の経験が無いため、ある程度想像で書く必要がありますが、
まったく馴染みのないシステムの導入について書くのは難しいです。

なお、自分は午後Ⅱは当初組込み系の設問を選ぶ予定でしたが、設問内容によっては論文作成が難しいテーマもあったため、情報システムについても事前にいくつか準備はしておきました。
そして、実際に試験では情報システムの設問を選択するハメになりました。

そこで、以下のような方針で論文のネタ探し&論文作成練習を行いました。

🤖職場で導入されたシステムをベースにネタ作り

1つ目は、職場でのシステム導入例を参考にする方法です。
企業規模や業種にもよりますが、何かしらの情報システムを導入している場合も多いと思います。
例を挙げると以下のようなものです。

  • グループウェア
  • 勤怠管理システム
  • 会計管理システム
  • 名刺管理システム
  • ワークフローシステム

特に、最近システムの導入を行っていれば、
導入に至った経緯などもわかりやすいため、問題点等の記入もしやすいかと思います。

導入の経緯が不明の場合でもシステム導入前後を把握しているため、

  • システム導入前に不便と感じた点
  • システム導入後に効率化された点
  • システム導入直後に戸惑った点

などを膨らませることで論文の構成が作りやすくなります。

例えば、勤怠管理システムを導入した例を以下に挙げてみます。


<従来>

  • 社員の勤怠管理を紙式のタイムカードで実施

<環境の変化>

  • 働き方改革によるリモートワーク、フレックス勤務の導入

<従来の問題点>

  • 紙タイプのため、リモートワーク勤務者はタイムカードで出退勤処理できない
    そのため、出勤連絡を受けた上司が手作業で代わりにタイムカードを切っていた
  • フレックス勤務により、勤務時間・給与計算に手間が掛かるようになった

<導入システムの概要>

  • 何社かで比較検討を行った結果、A社のSaaS型の勤怠管理システムを導入

<導入時に発生した問題>

  • 職場内でデジタルツールの習熟度に差があり、全員が使いこなすのに期間を要した

<新システム導入による効果>

  • 経理部門の労務担当者の給与計算処理の効率化など

ここに挙げたのはあくまで例ですが、こんな感じで整理しておくと実際に論文を書く際、
書き始めるまでの時間短縮につながります。

📋職場のアナログな仕組みをシステム化した場合を仮定してネタ作り

2つ目は、実際にはシステム化されていないアナログな仕組みをベースにする方法です。
中々、身の回りでシステム導入の実績が無い場合、逆にアナログなまま残っている仕組みを
最新のデジタルツールなどを導入することでどう効率化できるかを推測してネタを考えていくのも一つの手です。

先ほどの例で言うと、「会社は未だにタイムカードだが、勤怠管理システムを導入する」ことでどういう効果が得られそうかなどでも良いと思います。

他にも、例えば自社の承認システムが紙によるはんこリレー方式だとした場合、以下のようなシステムを仮定します。


<従来>

  • 紙ベースの稟議書による承認方式

<従来の問題点>

  • 承認者が複数いる場合、現在どこまで稟議書が進んでいるか分からない
  • 上司が出張等で不在の場合、承認が進まない
  • 過去の稟議書を探すのに手間が掛かる

<導入システムの概要>

  • 電子承認システムを備えたグループウェア

<導入時に発生した問題>

  • 出張先で管理職が電子承認システムの確認を怠る場面があったため、社内研修等で周知徹底した

<新システム導入による効果>

  • 導入したグループウェアのリマインド機能を活用することで、申請から期間が経過した申請に対して通知ができ、承認忘れがなくなった

この場合、どんなシステムを入れるかは想像の世界になるため、各社のどんなサービスがあるかを調べておくとネタ出しがしやすいです。
特に、各社のHPでは自社サービスを導入することによる効果などが掲載されているため、この部分と自社の現状を紐付けることで、システム導入効果の想像がしやすくなると思います。

🎓そもそも社会人として働いていない場合(学生さんなど)

最後おまけですが、特に学生さんなど社会人経験がない場合については、
会社内で使われるツールやシステムなどのイメージがつきにくいと思います。
その場合は、無理に会社内で使われるシステムを取り上げるのではなく、
自分の身の回りにあるシステムを題材にする形も有りだと思います。

例えば、大学生などでは、

  • 履修登録システム
  • 受講管理システム
  • 食券管理システム

などはまだ想像がしやすいと思います。

逆に、今でも受講管理がアナログなままであれば、先ほど同様、仮に受講管理システムを導入したことを想定してネタ出しをしてみるという形でもいいと思います。

実際に過去問を見てもらえば分かりますが、システムアーキテクト試験の場合、導入したシステムの規模感や工数を最初に記入する箇所があります。
これらの項目もある程度の整合性・妥当性が必要かと思いますので、やはり自分のイメージがつきやすい内容をベースにネタ出しをしておいた方が論文を書きやすくなるのではと思います。

用意するネタの数について

実際の論文の設問では、システム化の中でも更に深掘りしたテーマ(DX、UX、システム移行、システム運用、要件定義など・・・)について出題されます。
そのため、ネタを1つに絞るとどうやっても上手く設問に当て込めない場合も出てきます。
したがって、論文のネタになるシステムについては複数用意しておくことが望ましいです。

おわりに

今回、自分はこんなやり方で合格できたわけですが、実際問題、設問の運も合ったと思います。
もしかしたらギリギリ60点のA評価の可能性もありますが
(論文試験はABCD評価のため点数までは分からない)、
自分の勉強方法がこれからシステムアーキテクト試験を目指す方の一助になれば幸いです。

🔚

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