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AWS Route53からCloudflareへのドメイン移行完全ガイド
はじめに
AWS Route53で管理していたドメインをCloudflareに移行しました。この記事では、移行の理由から具体的な手順、注意点までを詳しく解説します。
なぜCloudflareに移行したのか
移行を決めた主な理由は以下の通りです:
- コスト削減: Route53のホストゾーン料金($0.50/月)と比較して、Cloudflareの基本的なDNS機能は無料
- CDN・セキュリティ機能: CloudflareのCDN、DDoS対策、SSL証明書などの機能を活用したい
- 管理の一元化: 他のドメインもCloudflareで管理しており、統一したかった
移行前の準備
1. 現在のDNSレコードの確認
まず、Route53の現在の設定を確認し、バックアップを取ります。
# AWS CLIを使用してDNSレコードをエクスポート
aws route53 list-resource-record-sets \
--hosted-zone-id YOUR_HOSTED_ZONE_ID \
> route53-backup.json
2. TTLの短縮
移行の数日前から、重要なレコードのTTLを短く設定(300秒程度)しておきます。これにより、移行時の切り替えが速やかに反映されます。
移行手順
1. Cloudflareアカウントの準備
- Cloudflareにアカウントを作成
- ダッシュボードから「サイトを追加」をクリック
- ドメイン名を入力
2. DNSレコードの移行
Cloudflareが自動的に既存のDNSレコードをスキャンしますが、完全ではない場合があります。
重要なレコードの手動確認
以下のレコードは特に注意して移行します:
- Aレコード: ウェブサイトのIPアドレス
- CNAMEレコード: サブドメインの設定
- MXレコード: メール配信に必須
- TXTレコード: SPF、DKIM、ドメイン検証など
Route53特有のレコードの処理
Route53のエイリアスレコードは、Cloudflareでは通常のCNAMEレコードとして設定します。
# Route53のエイリアス
example.com A ALIAS d123456.cloudfront.net
# Cloudflareでの設定
example.com CNAME d123456.cloudfront.net
3. ネームサーバーの変更
Cloudflareから提供されるネームサーバーをメモします:
xxx.ns.cloudflare.com
yyy.ns.cloudflare.com
ドメインレジストラでの変更
ドメインレジストラ(お名前.com、Google Domains等)の管理画面で:
- ドメインの詳細設定を開く
- ネームサーバーの変更を選択
- CloudflareのネームサーバーをRoute53のものと置き換える
4. 移行の確認
DNSの伝播確認
# ネームサーバーの確認
dig NS example.com
# 特定のレコードの確認
dig A example.com
dig MX example.com
オンラインツールでの確認
移行後の作業
1. Cloudflareの機能設定
SSL/TLS設定
- SSL/TLS暗号化モードを「フル」または「フル(厳密)」に設定
- 必要に応じてOrigin Certificateを発行
パフォーマンス最適化
- Auto Minifyの有効化
- Brotli圧縮の有効化
- Caching Levelの調整
セキュリティ設定
- ファイアウォールルールの設定
- Rate Limitingの設定
- Bot対策の有効化
2. Route53のクリーンアップ
移行が完全に完了し、問題がないことを確認したら:
- Route53のホストゾーンを削除
- 不要なIAMポリシーやロールの削除
# ホストゾーンの削除
aws route53 delete-hosted-zone --id YOUR_HOSTED_ZONE_ID
トラブルシューティング
よくある問題と対処法
1. メールが届かない
- MXレコードが正しく設定されているか確認
- SPFレコードが更新されているか確認
2. サブドメインが解決されない
- ワイルドカードレコード(*.example.com)の設定を確認
- Cloudflareのプロキシ設定(オレンジ雲)を確認
3. API呼び出しでエラー
- CloudflareのSSL設定が「フル(厳密)」の場合、Origin Serverの証明書を確認
- Cloudflareのプロキシを一時的に無効化して切り分け
まとめ
AWS Route53からCloudflareへの移行は、適切な準備と手順を踏めば安全に実行できます。移行により、コスト削減だけでなく、Cloudflareの豊富な機能を活用できるようになりました。
移行のポイント
- 事前のバックアップと計画が重要
- TTLを短くしてダウンタイムを最小化
- 段階的な移行と確認で安全性を確保
- Cloudflareの付加機能で価値を最大化
この記事が、同じような移行を検討している方の参考になれば幸いです。
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