Cursor 0.46版UIアップデート完全ガイド:AI開発を加速する3つのモード
Cursor 0.46版UIアップデート完全ガイド:AI開発を加速する3つのモード
はじめに:Cursorとは?
Cursorは、最先端のAIを搭載したコードエディタで、開発効率を劇的に向上させるツールです。VS Codeをベースとしながらも、AIによるコード生成や編集支援機能が深く統合されており、従来のコーディング体験を一新します。
2025年3月にリリースされた最新バージョン0.46では、UIが大幅にリニューアルされ、特に注目すべきは「Ask」「Edit」「Agent」という3つのチャットモードの導入です。この記事では、これらのモードの違いと具体的な活用法について詳しく解説します。
バージョン0.46での主な変更点
Cursor 0.46アップデートでは、以下の主要な変更が導入されました:
- チャットインターフェースの刷新:従来の「Chat」モードが「Ask」に改名され、より直感的な操作性に
- 機能の明確な分離:旧Composerモードが「Edit」と「Agent」に分割され、目的別に最適化
- シームレスな切り替え:3つのモード間をワンクリックで切り替え可能に
- 差分表示の改善:コード変更の差分表示(Diff View)がGit形式で視覚的に分かりやすく
- 思考プロセスの可視化:Agentモードでは、AIの思考過程がリアルタイムで表示され理解しやすく
3つのモードの特徴と使い分け
「Ask」モード(旧「Chat」モード)
Askモードは、コードについての質問や相談ができる対話型インターフェースです。
特徴:
- AIがコードを直接編集せず、提案や解説を行う
- 編集中のファイルやカーソル位置を自動的に参照して文脈を理解
- コードの理解を深めるための説明やアドバイスを受けられる
ベストな使用シーン:
- コードの動作原理や設計意図を理解したい時
- 「この実装アプローチはどうだろう?」といった相談
- バグの原因特定や解決方法のアドバイスが欲しい時
- 新しい技術やライブラリについて学びたい時
使用例(日本語プロンプト):
このReactコンポーネントの状態管理、何か最適化できる点はある?
このAPIエンドポイントの設計で考慮すべきセキュリティ面の注意点を教えて
このエラーメッセージの意味と解決法を説明して
「Edit」モード(旧「Composer Normal」モード)
Editモードは、AIが直接コードの編集を提案し、変更内容を視覚的に確認できるモードです。
特徴:
- 選択したコード範囲を対象に編集・書き換え提案
- 変更内容をdiff形式で表示し、適用前に確認可能
- ワンショットでコード提案を生成(中間確認なし)
- 変更の適用や破棄を簡単に選択できる
ベストな使用シーン:
- 既存コードのリファクタリングや最適化
- バグ修正や小〜中規模の機能追加
- 型定義やドキュメンテーションの追加
- テストケースの生成
使用例(日本語プロンプト):
この関数をパフォーマンス重視でリファクタリングして、Big O表記でも改善点を説明して
このコードにTypeScriptの厳格な型定義を追加して、nullセーフティも考慮して
このメソッドにユニットテストを5ケース追加して、エッジケースもカバーして
「Agent」モード(旧「Composer Agent」モード)
Agentモードは、AIが複数のツールを組み合わせて自律的にタスクを遂行するモードです。
特徴:
- コードの読み書き、検索、コマンド実行、Web検索など多様なツールを連携して使用
- 最大25ステップまでの自動アクションを連続実行
- AIの思考過程と意思決定をリアルタイムで確認可能
- 複雑な作業を自動化し、大規模な改修も自律的に実行
ベストな使用シーン:
- プロジェクト全体に関わる大規模な機能追加や改修
- 複数ファイルを横断する変更が必要な場合
- テスト駆動開発での自動バグ修正
- 新規機能やコンポーネントの一から実装
使用例(日本語プロンプト):
このプロジェクトにJWT認証を使ったログイン機能を追加して。ユーザー登録、認証、セッション管理も実装し、セキュリティテストも書いてください
このE2Eテストが失敗している原因を調査して修正してください。必要なら関連するコンポーネントも修正して
このAPIのパフォーマンスボトルネックを特定して、キャッシュ戦略を実装してください
具体的な活用シナリオ
効率的な開発ワークフロー
AIを活用した最適な開発フローは以下のようになります:
-
企画・要件整理(Askモード)
- AIに「この機能の実装アプローチを複数提案して、それぞれのメリット・デメリットも」と質問
- 設計パターンやアーキテクチャの相談をして最適解を探る
-
基本構造の構築(Agentモード)
- 「ユーザー認証システムのモデル、コントローラー、APIエンドポイントを作成して」と指示
- 複数ファイルにまたがる基本構造を自動生成させる
-
実装の詳細化(Editモード)
- 生成されたコードを「このアルゴリズムをO(n)に最適化して」などと指示して調整
- 「このクラスにバリデーションと例外処理を追加して」で堅牢性を向上
-
テストとデバッグ(Agent + Askモード)
- 「このユニットテストが失敗する原因を特定して修正して」とAgentに指示
- 「このバグが発生するロジックを詳しく説明して」とAskで理解を深める
- 「この機能のエッジケースを考慮したテストケースを追加して」で品質向上
YOLOモードの活用と設定
Agentモードには「YOLOモード」という強力な機能があります。これを有効にすると、AIが事前承認なしでターミナルコマンドを実行できるようになり、開発プロセスが劇的に加速します。
YOLOモードの活用例:
- テスト駆動開発:「このテスト仕様を満たすコードを書いて、テストが全て通るまで修正し続けて」
- パフォーマンス最適化:「このコードのプロファイリングを実行して、ボトルネックを特定して改善して」
- デプロイ自動化:「この変更をテスト環境にデプロイして、スモークテストも実行して」
安全なYOLOモード設定:
# YOLOモード設定のポイント
✓ 確認なしでコマンド実行やファイル書き込みをAIに許可する
## YOLOプロンプト例
「ビルド、テスト実行、lintチェックなどの安全なコマンドのみ実行してください。デプロイや削除操作は避けてください」
## コマンド許可リストの例
- npm test
- npm run build
- npm run lint
- pytest
- go test
## コマンド拒否リストの例
- rm -rf
- git push
- npm publish
- deploy
## 必須の保護設定
✓ ファイル削除保護(ONにするとAIによるファイル削除を防止)
✓ MCPツール保護(ONにするとAIによるMCPツール実行を防止)
日本語でのAI活用のコツ
Cursorは日本語でのコミュニケーションも優れていますが、より効果的に活用するためのコツがあります:
- 初期設定のカスタマイズ:グローバル設定で「回答は日本語で」と指定しておくと常に日本語でレスポンスを得られます
- 専門用語の表記:技術用語は日英併記すると誤解が減ります(例:「依存性注入(Dependency Injection)パターンを実装して」)
- 日本語コメント:「コードのコメントは日本語で詳しく書いて、特に複雑なロジックには理由も説明して」と指定すると、メンテナンス性が向上します
- 段階的な指示:複雑なタスクは「まず〜して、次に〜して」と段階的に指示すると理解されやすくなります
- フィードバックループ:「これいいね!でもここをもう少し〜して」のように会話的に修正指示を出すと精度が上がります
使ってみた感想
モデル切り替えの活用
Cursorでは使用するAIモデルを切り替えられます。
以下のような使い分けが良いのかなと思ってます。
- 複雑な設計相談:Claude-3.7-Sonnetは論理的思考に優れており、アーキテクチャ設計に最適
- コード生成:GPT-4.5-Turboは多様なコード生成が得意で、特に最新のライブラリにも対応
- 高速レスポンス:Claude-3.5-Sonnet(Fast)は簡単な質問や小規模な編集で素早い対応が可能
キーボードショートカットの活用
効率を極限まで高めるキーボードショートカット:
-
Ctrl+Shift+L
:Ask/Edit/Agentモード切り替え -
Ctrl+I
:選択範囲に対してEditモード起動 -
Ctrl+Shift+I
:カーソル位置からAskモード起動 -
Alt+A
:Agentモードで最後の指示を継続実行
まとめと今後の展望
Cursor 0.46のUIアップデートは、単なる見た目の変更以上に、AIとの効果的な協業方法を根本から再設計したものです。3つのモードを状況に応じて使い分けることで、開発プロセスのあらゆる側面が効率化されます。
最新のAIモデル(Claude-3.7-SonnetやGPT-4.5)を搭載したCursorは、コードの生成だけでなく、設計の相談相手、デバッグのサポート役、さらには教育ツールとしても機能します。
プログラミング初心者にとっては学習の加速器となり、熟練開発者にとっては創造的な思考に集中するための強力な支援ツールとなるでしょう。
まずはAskモードで質問することから始めて、慣れてきたらEdit、最終的にAgentと段階的に機能を広げていくと、自然とAI開発ツールが自分のワークフローに溶け込んでいきます。
Cursorを使いこなすことで、AIとの共創を通じてコーディングスキルも向上します。AIの提案を理解し、評価し、適用する過程で、より良いコード設計やパターンへの洞察が得られるのです。
未来の開発は、人間とAIの強みを組み合わせた協業がスタンダードになるでしょう。Cursorはその先駆けとなるツールであり、今こそ試してみる価値があります。
あなたの開発体験が一変するはずです!
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