個人開発でLINEアプリ(LINE Messaging API)を選ぶポイント!長所・短所を考慮して選定
個人開発ではフロントエンドをどういったプラットフォームで行うかというところが最初に検討すべきポイントになります。
スマホアプリやWebアプリなど色々な選択肢がある中、日本ではLINE Messaging APIによるLINEアプリ(LINEお友だち)も有力な開発先です。
そこで、LINE Messaging APIを使って個人開発した経験から、LINEアプリ(LINEお友だちアカウント)のメリット・デメリットを紹介します。
個人開発はプラットフォームの選定が重要
個人開発をする上で、サービス内容決まった次に検討すべきは 「どのプラットフォームで個人開発サービスを展開するか?」 です。
これによってサービス設計や開発に必要となるプログラミング言語が大きく変わってきます。
スマホアプリならば、iOSアプリの場合Appleが定める厳しめのルールに従い、Swiftがプログラミング言語という選択肢です。
逆にAndroidアプリなら、Googleの定めた、Appleよりも緩めのルールになり、Kotlinが選択肢に上がります。
iOSとAndroid両方のアプリを作りたい場合は、Flutterという選択肢も出てきます。
また、Webアプリであれば、HTML/CSS/JavascriptをベースにPHP、Python、Rubyといった色々な言語が選択肢になります。
このように、どのプラットフォームで個人開発サービスを展開するかは実装に大きく影響します。
スマホアプリやWeb以外にLINEアプリも有力候補
そんな中、日本ではスマホアプリやWebアプリ以外に、LINEアプリも有力な候補に挙がります。
日本ではスマホを使っているユーザーのほとんどが利用しているため、プラットフォーム化しているためです。
残念ながら英語圏ではLINEは普及していないため、英語ユーザーを対象の場合は選択肢から除外されますが、日本人では8000万近いユーザーがいます。
LINEには公式アカウントや各種アプリ・サービスも提供されていて、メッセージングアプリ以外で利用しているユーザーも多いと思います。
そうした点から、個人開発サービスの展開先としてLINEアプリも検討すべきです。
LINEアプリはMessaging APIで開発
LINEでLINE公式アカウントなどのサービスを個人開発する場合、LINE Messaging APIを利用します。
メールアドレスを用意すれば登録でき、簡単に開発を始めることができます。
LINEビジネスアカウント登録からAPIキー発行までの手順解説↓
APIを使って開発するので、バックエンドではPythonでもなんでもOKです。
Google Apps Scriptであれば、サーバレス環境でサクッと開発できます。
瞬間Deep和訳というLINEアカウントサービスを個人開発
私事ではありますが、2022年2月1日に「瞬間Deep和訳」というLINEアプリ上で動作するLINEお友だちアカウントを開発し、リリースしました。
DeepLのAPIとGoogleの画像認識APIを利用したサービスで、LINEトークに投稿した英文画像をOCRして和訳した結果をテキストで返信します。
変な記号が入ったり、他の英語が含まれるとうまく動かないケースもありますが、翻訳したい英文のみ撮影した画像であれば、非常に正確な日本語に翻訳してくれます。
※下記のQRコードまたはリンクからLINEアプリで友達追加できます↓
瞬間Deep和訳の個人開発サービスを開発した際も、どのプラットフォームを利用しようか検討を重ねました。
その時、「個人開発でLINEお友だちアカウントを選定するメリットはなんだろう?」 と考えたので、まとめてみました。
LINEお友だちアカウントの個人開発メリット
個人開発サービスでLINEお友だちアカウントを選定するメリットには検討過程で以下の5つがあると考えました。
- LINEインストール済みが多く、使用の障壁が低い
- サービスの操作説明等も少なく済む
- LINE Messaging APIを使って無料で開発可能
- LINE Messaging APIは日本人が開発し、ドキュメントが読みやすい
- UIはLINEの形式に沿えば、デザイン負荷は小さい
①LINEインストール済みが多く、使用の障壁が低い
スマホアプリの場合、「ユーザーのインストール」という絶壁が待ち構えています。
かつては 「個人開発のBMI計算アプリでインストール数が世界3位」 というニュースもありましたが、もはや昔話です。
(この頃は私が適当に数時間で作った「両親の身長から子どもの身長を予測(計算)するアプリ」でも1000ダウンロードを超えました。)
しかし、現在は個人開発のスマホアプリはよほど告知能力があり、アイディアに優れ、継続力がなければ大ヒットは難しいです。
その点、LINEアカウントサービスの場合、すでにLINEアプリはインストールされていて、あとは友だち追加のみです。
それこそ、瞬間Deep和訳でも上で紹介したQRコードを読み取ってもらい、友だち追加ボタンを押してもらうだけで利用できるようになります。
ユーザー側の使用までの障壁が小さいのはとても大きなメリットです。
②サービスの操作説明等も少なく済む
Webアプリやスマホアプリでは、「始めてみたけど、どうやるか分からない・・・」がよく起こります。
せっかくユーザーがアクセスしてくれたのに、操作方法がわからなくて、そっと閉じられる。この機会損失は大きいです。
その点、LINEの場合、ユーザーが操作しているので、操作方法が分からないことはそんなにありません。
メッセージの応答型のLINEアプリでは「〇〇の情報(画像)を投稿してね」とあいさつメッセージを送れば、それで説明が完結します。
※もちろん、本格的なボタン配置したLINEミニアプリは説明が必要
ただ、スマホアプリやWebアプリのようにチュートリアルや説明書を作るほどではなく、サービスコアの開発に集中できます。
③LINE Messaging APIを使って無料で開発可能
LINE Messaging APIはいくつかの料金体系がありますが、無料プランも用意されています。
無料プランの場合、全体に送信するプッシュメッセージの送信数が1000件という制約があり、ここは後述のデメリットに関わってくるポイントです。
しかし、スマホアプリはiOSアプリは年会費(99ドル)、Androidでも登録費(25ドル)が発生するので、無料なのはありがたいです。
さらに、Google Apps Scriptを使えば、バックエンド側も無料でできて、完全無料もできます。
④LINE Messaging APIは日本人が開発し、ドキュメントが読みやすい
個人的に大きいなと思ったメリットです。
LINE Messaging APIは日本で開発されていることもあり、ドキュメントが読みやすいです。
デフォルトは英語モードになっていますが、日本語に切り替えると、自然なドキュメントが表示されます。
もちろん、「エンジニアたるもの、英語ドキュメントを読めないでどうする!」 という声が聞こえそうですが、わかりやすいは正義です。
ドキュメントを読みきれなかったばかりに開発が進まず挫折するよりも、読みやすいドキュメントで完成までもっていったほうが価値があると思っています。
⑤LINEの形式に沿うことで、デザイン負荷は小さい
LINE上でミニアプリを作ることができますが、あくまでメインは「メッセージングアプリ」です。
基本的な動作は以下に集約されます。
1.ユーザーアクション(テキスト+メディア投稿)
2.LINEアカウントサービスからのレスポンス
それゆえ、デザインが必要となる部分が少なく、デザイン性0でも乗り切ることができます。
Webアプリやスマホアプリもデザイン沼にハマると、気になって仕方がなくなる中、LINEではやれることが制限されているゆえにデザイン沼にハマりにくいです。
といった以上5つがLINE Messaging APIを使ったLINEアカウントサービスで個人開発するメリットと捉えています。
LINEお友だちアカウントの個人開発デメリット
メリットがあればデメリットもあります。私がLINEアカウントサービスで個人開発する際にデメリットと感じたのは、以下4点です。
- 実装面での自由度が小さい
- プッシュメッセージ利用はすぐに課金必要
- マネタイズできるところまで作り込むのは大変
- なんとなくスマホアプリやWebアプリのほうが凄そう
①実装面での自由度が小さい
これはメリット⑤の裏返しとも言えるデメリットです。
あくまでLINEはメッセージングアプリのため、なんでもできるわけではありません。
むしろできることは基本的にユーザーからの情報を受付けて応答するに集約されます。
はっきり言ってリアルタイム性を求めるものは不可能で、ゲームなどは大きく制約を受けます。
しりとりとかターン制とかのゲームであれば作れそうですが、デザイン可能な領域は少ないです。
②プッシュメッセージ利用はすぐに課金必要
LINE Messaging APIは無料で始められると言いましたが、フリープランにはプッシュメッセージは月1000件という制約があります。
これはLINEもよく考えているなと思い、個人や小規模なら大丈夫ですが、本格的なサービスに移行するには無料では困難というポイントになっています。
無料で多くのユーザーを抱えるには、基本的なやり取りはユーザー投稿を受けたリプライメッセージのみにする必要があります。
③マネタイズできるところまで作り込むのは大変
LINEアカウントサービスでマネタイズをどうやるか考えましたが、まったく浮かびませんでした。
LINE友だち数が増えても、プッシュメッセージは1000件しか送信できません。
スマホアプリやWebアプリのマネタイズの代表格はAdMobやAdsenseですが、こうしたサービスも利用不可です。
アフィリエイト広告を送ってみるという選択肢ですが、CVRが0.1%と仮定すると、友だち1000人で1人しか収益が出ません。
仮に1000人友だちがいても月1回しか送れず、有料版に移行しても、費用分(ライトプランは1通5円)に見合う収益を得るモデルは思いつきませんでした。
※さらにプッシュメッセージを送ると、ブロックや友だち削除が起きるデメリットも
④なんとなくスマホアプリやWebアプリのほうが凄そう
「個人開発でスマホアプリを作っています!」
「Webサービスを個人開発しています。」
「個人開発でLINEアカウントを開発しています…」
なんとなくLINEアカウント開発に比べると、スマホアプリやWebアプリのほうが凄そうなイメージを感じます。
こうしたなんとなくのイメージはデメリットにはなるものの、気にする必要はありません。
大事なのは、 ユーザーにとって役立つサービスかどうか です。
誰からも登録されないスマホアプリや、誰からも投稿されないWebサービスよりも友だちが追加があるLINEアカウントのほうがユーザーに役立っています。
そのため、LINEアカウントを個人開発することはあくまで手段なので、引け目に感じる必要はありません。
終わりに
今回、個人開発でLINEお友だちアプリ(LINE Messaging API)を開発するメリットとデメリットを紹介しました。
日本ではLINEがメッセージングアプリとしてインフラレベルに普及しているので、スマホアプリやWebアプリと同等にLINEアカウントが個人開発の展開先として有力です。
LINEアカウントサービスを個人開発するのは、ユーザーの導入障壁が小さいことや無料で開発できること、ドキュメントが読みやすいなど色々あります。
もちろんデメリットもあり、LINEアカウントサービスは拡張性がアプリやWebに比べ低く、マネタイズの障壁もあります。
ただ、大切なのはターゲットや目指すポイントから個人開発のプラットフォームを適切に選ぶことです。
要件的にLINEアカウントで問題なく、LINEアプリ上で稼働するメリットがあるならば、個人開発サービスとして、LINE Messaging API利用はむしろ選定すべきです。
サービスのコンセプトを考えた上で、特定のプラットフォームにこだわらず、最適なものを選びましょう!
【告知】LINEでお手軽かつ高性能で英文画像をOCR和訳できる「瞬間Deep和訳」をぜひ使ってみてください!
※下記のQRコードまたはリンクから、瞬間Deep和訳の友だち追加お願いします!
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