NginxのリバースプロキシでHTTP/2を試す
はじめに
Nginxをproxyとして使う場合にHTTPではなくHTTP/2で通信したい場合がある。
どのようにするかはNginxのconfigに http2
を追加してあげるだけですが、実際に試して動作確認できるように簡単なサンプルとその際の設定を書いていきます。
※ このサンプルはM1 Macで動作確認しています
サンプルアプリケーションを動作させる
Hello goアプリケーション
動作確認用の簡単なGoアプリケーションを用意します。
リクエストを受け取って Hello go!!
と返すだけのアプリケーションです。
package main
import (
"fmt"
"log"
"net/http"
)
func main() {
http.HandleFunc("/", handler)
log.Println("server started")
server := &http.Server{Addr: ":9000"}
if err := server.ListenAndServe(); err != nil {
log.Println(err)
}
}
func handler(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
fmt.Fprint(w, "Hello go!!")
}
docker composeで起動
NginxとGoアプリケーションを動かすためのDockerfileを用意してdocker composeでまとめて起動できるようにします。
FROM arm64v8/golang:1.17
WORKDIR /go/src/app
COPY ./main.go ./main.go
CMD ["go", "run", "main.go"]
FROM nginx
# デフォルトのnginx imageの設定を上書きする
COPY etc/go-app.conf /etc/nginx/conf.d/default.conf
server {
listen 80;
listen [::]:80;
server_name localhost;
#access_log /var/log/nginx/host.access.log main;
location / {
proxy_pass http://app:9000/;
}
error_page 500 502 503 504 /50x.html;
location = /50x.html {
root /usr/share/nginx/html;
}
}
version: '3.8'
services:
app:
build:
context: .
dockerfile: Dockerfile
ports:
- 9000:9000
nginx:
build:
context: .
dockerfile: DockerfileNginx
ports:
- 80:80
動作確認
% docker compose up -d
% docker compose ps
NAME COMMAND SERVICE STATUS PORTS
nginx-go_app_1 "go run main.go" app running 0.0.0.0:9000->9000/tcp, :::9000->9000/tcp
nginx-go_nginx_1 "/docker-entrypoint.…" nginx running 80/tcp
% curl localhost:80
Hello go!!
curlを-i
オプションで実行するとHTTP/1.1で通信していることがわかる
% curl -i localhost:80
HTTP/1.1 200 OK
自己証明書を使ってhttpsで動かす
HTTP/2自体は仕様上はHTTPSに限らずHTTPの通信にも対応していますが、主要ブラウザーがTLS拡張のみを対応するなど実際にWebサービスで使う場合はHTTPS前提になる場合がほとんどだと思います。
そのため、自己証明書を使ってHTTPSで動くようにしていきます。
証明書作成
% mdkir ./ssl
% openssl genrsa -out ssl/server.key 2048
% openssl req -new -key ssl/server.key -out ssl/server.csr
% openssl x509 -req -days 3650 -signkey ssl/server.key < ssl/server.csr > ssl/server.crt
作成した証明書をnginxで使用する
---
version: '3.8'
services:
app:
build:
context: .
dockerfile: Dockerfile
ports:
- 9000:9000
nginx:
build:
context: .
dockerfile: DockerfileNginx
ports:
+ - 443:443
+ volumes:
+ - ./ssl:/ssl
server {
+ listen 443 ssl;
+ listen [::]:443 ssl;
server_name localhost;
+ ssl_certificate /ssl/server.crt;
+ ssl_certificate_key /ssl/server.key;
location / {
proxy_pass http://app:9000/;
}
error_page 500 502 503 504 /50x.html;
location = /50x.html {
root /usr/share/nginx/html;
}
}
動作確認
% curl -k https://localhost
Hello go!!
nginxをHTTP2に対応させる
ようやく本題にたどり着きましたが、やることは以下のようにnginxのconifgファイルにhttp2を追加するだけです。
server {
+ listen 443 ssl http2;
+ listen [::]:443 ssl http2;
# 設定反映
% docker compose up --build -d
# 動作確認
% curl -k -I https://localhost
HTTP/2 200
HTTP/2で通信していることが確認できました🎉
今回curlで確認しましたが、curlのバージョンが古いなどでhttp2で通信してくれない場合もあるので注意です。
HTTP/2で通信しようとしているかは -v
オプションをつけて実行することで確認できます。
以下のように ALPN, offering h2
が表示されればHTTP/2で通信しようとしてくれています。
自分の環境だと最初はh2が出ていなかったためcurlを入れ直することで、h2が表示されレスポンスもHTTP/2と表示されるようになりました。
% curl -k -v https://localhost
* Trying 127.0.0.1:443...
* Connected to localhost (127.0.0.1) port 443 (#0)
* ALPN, offering h2
* ALPN, offering http/1.1
まとめ
nginxをproxyサーバーとしてHTTP/2で通信する方法を簡単なアプリケーションで試してみました。
設定自体はすごく簡単なものですが、試す中でHTTP/2やそのプロトコルネゴシエーションの仕様や、周辺ツールの対応状況なども知ることができてよかったです。
今回使用したコードはこちらになります。
余談:SSL/TLSなしでHTTP2を動かすことができるか
試せてはないですが SSL/TLSなしのHTTPでもHTTP/2に対応してくれるWebサーバーのリバースプロキシ に書かれているようにNginxでも direct
ネゴシエーションを使えば可能だそうです。
またhttp2-specを見れば各ツールがどんなプロトコルに対応した実装されているか確認できるのでHTTP/2を使う時に参考になりそうです。
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