オンライン手話通訳のための Zoom の設定と Tips
Zoom に手話通訳のための機能(手話通訳ビュー)が搭載されていることをご存知でしょうか?先日、聴覚障害のあるユーザーさんへのインタビューの際に利用したところ、スムーズに実施することができました。使用にあたってはやや煩雑な設定が必要となるため、ぜひこの記事をお役立て頂ければと思います。
手話通訳ビューとは
Zoom には手話通訳者用のフローティングウインドウを常時表示する機能があります。この機能のことを「手話通訳ビュー」といいます。
本稿ではこの手話通訳ビューの設定手順を記述します。
参考:ミーティングまたはウェビナーでの手話通訳の使用 - Zoom カスタマーサポート
手話通訳ビューを利用するための条件
手話通訳ビューの利用にはいくつかの条件があります。
参考:手話通訳ビューを有効にする - Zoom カスタマーサポート
ホストが Zoom アカウントを保有していること
ミーティングのホストが Zoom アカウントを保有している必要があります。
手話通訳ビューが有効になっていること
設定により手話通訳ビューが有効になっている必要があります(後述)。
Zoom クライアントのバージョン
以下の環境およびバージョンの Zoom クライアントが必要です。
- デスクトップ
- Windows:5.11.3 以上
- macOS:5.11.3 以上
- モバイル
- Android: 5.12.0 以上
- iOS: 5.12.0 以上
- ウェブ版
※ミーティングまたはウェビナーの全ユーザー(ホスト、参加者、手話通訳者を含む)には最小バージョンが適用されます。できる限り全ユーザーのクライアントバージョンを最新に揃えるようにしてください。
留意事項
- 手話通訳者が提供される機能ではありません
- パーソナルミーティング ID では使用できません。 手話通訳ビューを含めるには、ミーティング ID またはウェビナー ID を自動生成する必要があります。
- ホストは Zoom デスクトップ クライアントから、ミーティング / ウェビナーに参加して通訳を管理および開始する必要があります。 別のクライアント(Zoom モバイルアプリやウェブ クライアントなど)から参加することはできません。
- ミーティングまたはウェビナーのスケジュール時にこの機能が選択されている必要があります。インスタントミーティングには使用できません。
- 通訳者が複数人割り当てられている場合、通訳者 1 のビデオが、割り当てを受けたほかの通訳者のビデオを常に上書きします。 Zoom は通訳者の皆様に、自分がアクティブな手話通訳者であるとき以外は自分のビデオを無効にするよう推奨します。
Zoom での設定手順
Zoom で手話通訳を有効化し利用するための設定手順は以下のとおりです。
ウェブポータルで手話通訳の設定をオンにする
- https://zoom.us/ja/signin#/login から Zoom ウェブポータルにサインインします
- 左メニューから「設定」をクリックします
- 設定項目の中から「手話通訳ビュー」を探し、トグルをオンにします
ミーティング作成時の設定
Zoom デスクトップアプリ、もしくはウェブポータルから新規ミーティングを作成します。
作成画面を下部までスクロールして「通訳」の項目を探し、チェックボックスをオンにします。
あらかじめ通訳者の Zoom アカウントに紐付くメールアドレスが分かっている場合は入力し、対応する言語の手話(日本手話)をドロップダウンメニューから選択します。
複数の手話通訳者を指定する場合は「手話通訳者を追加」をクリックして適宜追加します。
ミーティング中の設定
通訳機能が有効化された状態でミーティングを開始すると、ツールバーに「通訳」ボタンが表示されます。
ボタンを押すとポップアップで有効な言語が表示されます。希望する言語を選択すると手話通訳ビューがフローティングウインドウとして表示されます。
手話通訳ビューを表示した状態
手話通訳を伴うミーティングの Tips
口元がはっきりと画面に映るようにしましょう
聴覚障害者の中にとって口の動きは重要な情報源になることが多くあります。そのため、以下のようなことは避けることが望ましいでしょう。
- マスクを付けたまま発言する
- ビデオをオフにして発言する
- 口元を手で覆ったまま発言する
- 口元が画面から見切れたまま発言する
適切な手話通訳環境を用意する
手話通訳が最大限機能するために、以下のような適切な環境の構築がもっとも重要です。
- 映像がクリアに伝わるよう、十分な回線速度を確保する
- 通訳者の顔が映るように端末を設置する
- 手話がはっきりと視認できるよう濃い色の背景を用意する
- フレアや逆光が入り込まないよう照明環境を考慮する
- カメラが動かないよう設置する
- 複数の手話通訳者が交代しやすい配置を行う
- 可能であれば、事前に当日使用する資料を共有しておく
- 特に難しい専門用語等があれば、リスト化して相談しておく
上記を基本として、参加頂く通訳者の方と相談しながら適切な環境を用意してください。
Discussion