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# 自治体DXの取組の一環として中小企業振興を考えてみる!

2025/01/20に公開

はじめに

これまで私が関わってきた地元自治体の中小企業振興の枠組みを、自治体DXの取り組みとして発展させることを提案したい。

私は北海道苫小牧市の中小企業振興の取り組みに約10年間携わってきた。この経験を基に、DXの観点から新たな展開を検討する。

中小企業振興条例の答申案策定から現在まで(一時期の中断はあったものの)、約10年にわたり関わってきた取り組みを整理し、市民サービスの向上を目指した中小企業振興のDX化について考察する。

現状とこれまでの経緯

令和7年1月現在、苫小牧市では「苫小牧市中小企業者サポートブック 令和6年7月(2024年度版)」をホームページ等で公開・配布している。これは中小企業が活用可能な市の施策を一覧化し、施策の概要や過年度の実施状況等を閲覧できるようにしたものである。

このサポートブックは、市の中小企業振興条例の策定に伴い、実効性を担保するためのアクションプラン(中小企業振興計画)と振興計画の進捗管理、および中小事業者への施策利用の利便性向上を目的として作成された振興計画の別冊である。

それまでは、市庁舎内に中小企業振興に関する公開可能な一覧資料は存在せず、市職員でさえ市の実施している施策の全体像を把握できていなかった。そこで、以下の視点に重点を置いた施策管理ツールを提言・作成した。

  • 主に市が主管する中小企業支援施策を受益者である中小事業者にワンストップサービスを実現するために寄与する仕組みであること。
  • 市の組織横断的な視点での施策の実行状況のマネジメントが可能となるような仕組みを有すること

上記の目的を満たすために、施策の名称、概要、主管部署、計画枠(予算)、過年度実績などを取りまとめた資料として、サポートブックの前身となる「苫小牧市中小企業振興計画別冊」が策定された。

このツールは組織内部のマネジメントツールとしては十分な機能を果たしているものの、WEBページによる窓口は整備されているものの、真のワンストップサービスとしてはさらなる改善の余地がある。そこで、AIを活用したコンシェルジュ型サービスの実現を構想するに至った。

検討の方向性

現在のサポートブックは、市が主管する施策に限定されているものの、体系的に整理された情報を提供している。

さらなる利便性向上のためには、経営課題を明確に把握できていない利用者に対しても、対話を通じて課題を整理し、適切な施策を提案できる仕組みが必要だろう。

現行のサポートブックに、中小企業の一般的な経営課題と解決のためのアプローチを追加し、利用可能な施策を提案する仕組みを構築することで、より効果的なワンストップサービスが実現できると考えられる。

以後の展開

今後、具体的なAI活用のエージェントの試作や、他の自治体でも利用可能な汎用化への検討を予定している。

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