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公開鍵回転寿司方式

2023/02/01に公開

【発明の名称】 安全な寿司伝送手段

【課題】

不特定多数に公開された伝送路を用いて寿司を伝送する場合、第三者による盗み食い等の被害を防止する。

【解決手段】

客は自身が解毒剤を有する毒 A の名前を店員に伝える、または毒 A そのものを店員に渡す。店員はその客からの注文に対して毒 A で寿司を汚染し伝送路上に流す。伝送路上で他の客の寿司を盗み食いしたり舐めて汚染しようとした者を死に至らしめる一方で、正規の手段で寿司を入手し解毒剤とともに寿司を食べる一般的な客は通常通りに食事を楽しむことができる。

【備考】

伝送路上で悪意のある中間者により毒 A とは異なる毒 B によって寿司が汚染されるような攻撃に対処できないという指摘があるが、かかる攻撃に対し図左の一家は2回まで伝送路が危険であることを検知することが可能であるため問題はない。

【ちょっとだけ解説】

公開鍵暗号方式とは公開鍵によって平文を暗号化し、秘密鍵によって暗号文を復号するような暗号方式です。

公開鍵は平文の暗号化のみが可能であり、公開鍵から秘密鍵を推測することは難しいので、公開鍵は文字通り公開されていても(相手や第三者に見られても)構いません。

一方で秘密鍵は誰にも見られてはいけません。秘密鍵は対応する公開鍵で暗号化された暗号文(つまり自分宛の暗号化された手紙)を復号できてしまいます。公開鍵は公開されているので、秘密鍵を見られてしまうと、中身を盗み見たあとで改竄し、再び公開鍵で暗号化して何事もなかったかのように見せかけることもできてしまいます。

まだ想像がつかないようであれば鍵穴が2個ついた宝箱を想像してください。2つの鍵穴はそれぞれ

  1. 宝箱を施錠するための鍵と鍵穴
  2. 宝箱を解錠するための鍵と鍵穴

であり、そのどちらかの用途にしか使うことができません。何か秘密のやりとりをしたいときは、宝箱と一緒に施錠用の鍵を相手に渡せば、相手は秘密の手紙を宝箱に入れて施錠してこちらに安全に手紙を送ることができます。自分は解錠用の鍵で宝箱を開ければその中身を見ることができます。

これを数学的に実現したのが公開鍵暗号方式です。素因数分解が難しいことを利用した RSA 暗号方式は公開鍵暗号方式の中でも分かりやすいので興味があったら調べてみるとよいでしょう。

【個人的な見解】

最近は誹謗中傷をリツイートしただけでも名誉毀損になる判例がありますので、炎上動画だからといってお祭り気分で RT するのはやめたほうがよいと思われます。

今回の件では愚かな人物がある形態で寿司を提供する飲食店の信頼性を貶めるような動画を投稿したことが事の発端ではありましたが、拡散したりせず店舗に通報するという対処法を取るなど、我々が節度を持って SNS を利用していれば一部の会社が大きな経済的被害を被るといった事態にまでは至らなかったはずです。

したがって店舗の評判を貶める動画を拡散することと会社が経済的な被害を被ったことには因果関係が成立しえますので、動画を拡散した人も民事訴訟で損害賠償を請求される可能性が将来的にはありえるかもしれません。まして SNS 上で影響力のある人(フォロワーが多い人など)が動画付きで「もう回転寿司には行けない」などとツイートした日には被害を被った会社から目をつけられて訴訟のリストに加えられる可能性が高くなります

方々で指摘されている通り、誰かを雇って意図的に炎上動画を投稿させながら株を空売りしておいて儲けを得るという手法が成立しうるのであり、可能である攻撃手法は実践されます。もしそのような行為が実践されれば世にある企業は然るべき対象に制裁を加えるという方向で動くでしょう。

同様の攻撃が繰り返されてカモにされないためにも一度に大きな抑止力を与えることと、動画を投稿した個人のみから得られる損害賠償ではまったく割に合わないことを考えても、複数の被告人を立てる可能性が高いと思います。そのときに「悪意をもって拡散した人」と「面白半分に拡散した人」を区別するでしょうか? 炎上動画を投稿した彼らも悪意というよりは面白半分に投稿していたのだと思いますが、だからといって企業側が許すでしょうか。

わざわざ技術系記事に投稿してあるこの記事を読みにいらっしゃる方は IT リテラシーが高い方々だと思いますので、一般の方々に先駆けた SNS 運用を心がけましょう。

【参考文献】

本記事はバズ記念のネタ記事です。
https://twitter.com/wsuzume/status/1620411460093612032?s=20&t=mENlqhQuXOu-HFiYneB_tg

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