SIerからウェルスナビに転職して感じたこと
はじめに
こんにちは。金融システム開発チーム所属の室井です。
2024年5月にウェルスナビに入社しました。現在は、社内や提携先で利用する業務システムの開発・運用を行っています。
ウェルスナビでは、「ものづくり」する金融機関として、社内システムを含め、システムの内製化を行なっています。金融機関で内製化を行なっている企業はあまり多くないと思います。
前職では、SIerに所属しており、他社の業務システムの開発に従事していました。
キャリアを進めていくにつれ、システム開発自体をビジネスとしているSIerではなく、システム開発以外のビジネスを手がけている会社で、開発したいと思うようになりました。
なんらかの社会問題の解決に貢献したいという気持ちや、FinTech業界への興味もあり、ウェルスナビへ転職を決めました。
今回は、SIerから事業会社のエンジニアへと転職した観点から、ウェルスナビに入社して感じたことをお伝えしたいと思います。
(SIerといっても色々な会社があり、さまざまな風土や慣習があると思います。あくまで、私の属していた会社での経験をもとに記載しています。)
SIerに所属している方や、転職を考えている方の参考にもなったら幸いです。
半年間働いてみて
ウェルスナビにジョインして、当たり前ですが環境が大きく変わりました。前職では中途採用の人がほとんどおらず、新卒から働き続けている人が多い環境でしたが、ウェルスナビではほとんどの人が中途採用で、さまざまなバックグラウンドを持った人がたくさんいます。
開発手法の面でも、前職ではウォーターフォールモデルを採用し、一つ一つの工程をしっかりと実施していくという考え方でしたが、ウェルスナビでは、スプリントでのリリースやスクラム開発の導入など、スピード感を維持するために柔軟に開発を行っています。
ここから、ウェルスナビで半年間業務を行なってきて感じたことをお伝えします。
目標やゴールの違い
SIerで行う事業では、定められた契約に則り、クライアントに納品物を提供することが基本的なビジネスモデルです。
最終的なゴールは、契約内容を確実に遂行することであり、何らかの意思決定もこの目標に基づいて行われます。例えば技術やツールの選定の場面では、納期を厳守するため、リスクを最小限に抑えるために、前例のある技術やツールが優先されることがあります。
何よりもプロジェクトを完遂することが重要であると考えられます。
一方で、ウェルスナビのような事業会社で開発を行う際は、その視点とは異なります。
SIerで仕事をしていたよりも、より長期的に使い続けることを見据えて設計・開発をしていこうという意識が強いと感じています。
例えば、NISA制度の変更など、社会的にインパクトの大きい制度変更が、システムに多大な影響を及ぼすことは、容易に想像いただけると思います。
このような、法令や制度、市場の変化に柔軟に対応できる必要があります。
これをその場しのぎの対応をしてしまうと、システムが複雑になり、将来的に運用や保守が難しくなる恐れがあります。そのため、システム開発の際は拡張性や保守性を十分に考慮する必要があります。
単にプロジェクトを終わらせることや目先の納期、コストだけでなく、将来の運用のしやすさや変更に強い設計を優先する意思決定が重要だと感じました。
アウトプットへの意識
SIerで行なっている事業は、システムの開発・運用自体であることに対して、ウェルスナビの事業は、顧客の資産運用のサポートです。
単にシステムを開発すれば良いということではなく、その事業自体にどれだけ影響を与えられるかが重要になります。
WealthNaviの口座開設機能の開発を例にとると、単に口座開設機能を実現するだけではなく、事業へどれだけ貢献できるかを考慮します。
例えば、Wealthnaviの口座開設申込から、口座開設が完了するまでの期間が早ければ、それだけ入金率を高めることができ、事業の成長に貢献することができます。もちろんエンドユーザーにとっても、早く資産運用を開始できるというメリットもあります。そのため、口座開設業務をスムーズに行うことができるシステム開発を行っていく必要があります。
単に、機能を作り上げるだけではなく、エンドユーザないしは、その事業自体に思いを巡らせることが重要となります。
このあたりのアウトプットに対する意識の違いは、転職時に早く対応しなければならないと思ったことを覚えています。同時に、前職でもここまで考えて仕事ができていればなと反省しました。
また、作成するドキュメントも考え方が変わってきます。
これまではシステム内部を知らない顧客向けに作成するため、統一化されたレイアウトや、網羅性などを重要視してきました。
一方で現在は社内の開発者や未来の自分向けにドキュメントを作成することが主なので、実用性を重視した、よりリアリティのあるアウトプットが求められます。ただ情報をまとめるだけではなくその背景や意図、その時考えていたことを表現することが重要であると実感しています。
社内へのナレッジの蓄積
冒頭でウェルスナビでは、社内の業務システムを含め内製化を行なっているとお伝えしました。この内製化によって得られるメリットはたくさんあると思います。その中で私が入社以来一番に感じているメリットが、社内へのナレッジの蓄積です。
内製化を行なっていることで、業務プロセスやシステムの仕様に対する深い理解が組織内に蓄積されます。これは単にドキュメントやマニュアルとしての形だけではなく、実際にシステムを開発・運用する中で得られる知見やノウハウが、個人やチーム、さらには会社全体に共有されていくことを意味します。
たとえば新しい機能を追加する際に、外部ベンダーに依頼する場合は、要件や仕様の整理で多くの時間を費やすことになります。一方、内製化であれば、既存のシステム構成や課題点を既に把握しているため、迅速に対応できます。また、トラブルが発生した場合も、原因究明や修正が迅速かつ的確に行えることができます。
もちろん、内製化には課題も伴います(リソースの確保等)。しかし、こうした環境があるからこそ、迅速で柔軟な開発が可能になり、会社全体の成長にもつながっているのだと思います。
余談ですが、ウェルスナビに入社して驚いたことの一つとして、開発組織外のメンバーがBigQueryを駆使していることです。開発と直接関係のないメンバーがデータを取得して業務改善を行っていることは、全社的にドメイン知識が根付いていることの裏付けになっていると考えられます。システムの内製化もそうですが、この辺りもウェルスナビの風土の現れかと思いました。
終わりに
ウェルスナビに入社して約半年で感じたことを紹介してみました。
前職とは異なる環境や考え方に触れ、多くの学びと発見がありました。特に、事業会社ならではの視点や内製化の醍醐味、アウトプットへの意識の変化など、新たな経験が自分のスキルや考え方に良い影響を与えていてくれていると実感しています。
この記事が、同じように転職やキャリアチェンジを検討されている方々にとって少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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