CloudNative Days Winter 2025 に参加してきました
はじめに
こんにちは、システム基盤チームでSREをしている安藤と申します。新規プロダクトのインフラ構築、開発者プラットフォーム改善、社内向けAIサービスの構築やAIを活用した業務改善に取り組んでいます。
今回は11/18(火) ~ 19(水)にかけて開催されたCloudNative Days Winter 2025の1日目に参加してきましたので、その参加レポートとなります。
CloudNative Daysとは?
CloudNative Days はコミュニティ、企業、技術者が一堂に会し、クラウドネイティブムーブメントを牽引することを目的としたテックカンファレンスです。
最新の活用事例や先進的なアーキテクチャを学べるのはもちろん、ナレッジの共有やディスカッションの場を通じて登壇者と参加者、参加者同士の繋がりを深め、初心者から熟練者までが共に成長できる機会を提供します。
皆様がクラウドネイティブ技術を適切に選択し、活用し、次のステップに進む手助けになることを願っています。
クラウドネイティブで、未来を共に創造しましょう。
最新のクラウドネイティブ技術を学べるだけでなく、現場での知見を共有し合うことでエンジニア同士が刺激を受け合うことができる非常に有意義なイベントです。
弊社もCloudNative Days Winter 2025にスポンサードしました。
セッション
ECSで満足していたのに、なぜEKSへ?:事例で学ぶ設計と運用
スポンサーセッションでは、弊社システム基盤チームのマネージャー和田が登壇しました!

セッションではEKSを採用した背景をはじめ、オブザーバビリティやCI/CDといった複数のSRE的観点から、ECSと比較しつつどのようにEKSを選定したのかを紹介しました。
EKSは自由度が高い一方で、設計・運用における特有の落とし穴も存在します。
EKSならではのハマりポイントと、実際の現場でどのように対策しながら安定運用を実現しているのかについても具体的に取り上げました。

EKSはそのカスタマイズ性の高さが大きな強みだと改めて感じました。
一方で、それをそのまま使うと運用が複雑になりがちなので、シンプルさを取り戻す工夫が必要です。
例えば、Fargateを使えばノード管理のオーバーヘッドを抑えられ、Helmチャートを使ってインフラを抽象化すれば、Kubernetesの複雑さをある程度簡単に扱うことができます。
またArgoCDのようなGitOpsツールやArgoCD Image Updaterのような拡張ツールを導入することで運用を楽にすることができます。
柔軟さとシンプルさのバランスを取ることが、EKSを運用する上での重要な考え方であると学びました。
運用の詳細については私が過去に執筆した記事に詳しくまとめているので、興味があればご覧ください。
モビリティプラットフォームの未来を築くクラウド基盤 ― 非機能要求を満たし続けるための設計と運用の進化

KINTOテクノロジーズ株式会社さんから
委託先のプライベートデータセンターでサービスを運用していたフェーズから、わずか6年でクラウドネイティブな構成へと内製移行してきた壮大な技術変遷が語られました。
特に印象的だったのは、頻出するインフラ構成をライブラリ化しスピーディーに構築できるようにした話でした。
もともと平均3週間かかっていた初期構築が最短で30分で構築できるようになったのは驚きです。これにより多くのサービスをより高速に立ち上げられるようになったとのことでした。

また、中央集権型の組織体制を維持しながら、監査ログ基盤や期限付きユーザー作成/削除によるDBアクセスツールなどを積極的に取り入れている点には強く共感しました。
トヨタ自動車グループの一員として一定基準以上のセキュリティ要件を満たしつつ、高い技術を両立させる姿勢は、金融サービスを提供する弊社としても共感する部分が多かったです。

アラートだけでここまで分析できるの?AI Agentで切り開くアラート対応の新時代
写真を撮り忘れてしまいましたがこちらもKINTOテクノロジーズ株式会社さんから。
我々もアラートの対応手順をSlack Botに提示してもらう取り組みを行っているので開催前から非常に興味深いテーマでした。
監視ツールのSlack通知機能は使わず、Webhook方式を使ってLambdaで通知しているのが印象的でした。これによりJSONデータとして連携されるため、データの抽出が簡単にできると言うのは新たな気づきとなりました。

またVector StoreとしてBedrock KnowledgeBaseを使用した点で、あえてチャンキングは行わずIncident情報を一つのチャンクとして保存しているというのが斬新なアプローチだと思いました。
1つのチャンクとして扱うことで不完全なデータが含まれず関連性の低いものが検索される可能性も低くできるそうです。
分割すると逆に処理タイミングや整合性がずれるリスクもあるため、このアプローチは非常に学びが多いものでした。

会場の様子
4つのルームでセッションが行われたほか、スポンサーブースも充実していました。
各社の事業紹介や実際に使っているツールや技術選定の背景、セッションでは聞けなかった苦労話などを聞くことができ非常に有意義な場でした。


私は自動化至上主義を選びました
懇親会
セッション終了後は会場の4階で懇親会が行われました。
豪華食事とともに、参加者の方々とざっくばらんに意見交換できる時間や豪華景品が当たる抽選イベントなどが開催され、とても活気に満ちていました。
クラウドネイティブな基盤を現場へ浸透させていく難しさはどの会社も共通しており、
負担を増やさずに新しい仕組みや運用を受け入れてもらうにはどうしたら良いかや
伴走期間を経て、いかに自走できる状態まで持っていくかなど、各社のリアルを共有することができました。

まとめ
CloudNative Days Winter 2025の参加レポートを書かせていただきました。
各社がどのように課題へ向き合い、組織や基盤・技術をどのように進化させているのかを直接聞けたことで、多くの刺激と学びを得ることができました。
今回得られた知見を、当社の基盤や開発者体験の改善にもしっかり活かしていきたいと思います。
著者プロフィール
システム基盤グループ システム基盤チーム
安藤(あんどう)
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