初めてのメンターを経験して身についた心構え
はじめに
こんにちは、バックエンドエンジニアの大谷です。
私は2024年に新卒一期生として入社し、今年で2年目となりました。
今回、私は初めて「新卒メンバーのメンター」を担当しました。
きっかけは、「新しい役割に挑戦することで、自分の成長にも繋がるかな」と、比較的軽い気持ちで手を挙げたことでした。
この記事では、エンジニア経験「一年ちょっと」の私が新卒メンターを約半年間経験し、そこで得た等身大の気づきや学びを共有します。
これからメンターに挑戦する方や、今の役割に不安を感じている方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。
メンターを担当する上で考えたこと
皆さんが想像するメンターは、経験や知識を活かして後輩や新人をサポートする役割で、業務に関するアドバイスだけでなく、職場での悩みやキャリア形成など幅広い相談に乗る存在ではないでしょうか。
そのため、メンターを引き受けた当初、私がまず感じたのは「経験の浅い自分が何を教えられるのか」という不安でした。「メンターはある程度の経験をしている人が担当するものだ」という認識があったからです。
そこで、高度な技術的指導は他のチームメンバーにサポートを仰ぎつつ、自分は「環境に慣れるためのサポート」や「メンティが困った時に気軽に相談できる一時受けの窓口」に徹しよう。そう決めて、メンター生活をスタートしました。
タスク管理で苦労したメンター生活
メンターとして、私が最も苦労したのは自身の業務と、メンティのタスク管理を両立させることでした。
メンティがスムーズにチームでの開発に加われるよう、まずは私が適切な業務を割り振り、道筋を作ろうと考えました。
しかし、自分の業務に集中すると、新卒への対応が疎かになり、その結果、二つの問題を引き起こしました。
一つは、自身の業務を優先したことで、タスク振りが疎かになり新卒のやることがなくなってしまうという問題に直面しました。
もう一つは、手持ち無沙汰を避けるためにタスクを振ったその反動で起きた「タスクのブラックボックス化」です。手持ち無沙汰の状態を解消するため、私以外の先輩やプロジェクトメンバーからも積極的にタスクをもらうよう促しました。
これにより、メンティが手持ち無沙汰になる状態は解消されましたが、それらのタスクの進捗状況を私が把握しきれなくなりました。
その結果、上長からタスクの詳細について問われた際、何も答えられないという事態が発生しました。さらに、メンティの負荷が過剰になっていないかどうかも確認できず、タスク過多になってしまった時もありました。
この課題を解消するため、私は1on1ミーティングにおけるタスク管理の徹底を試みました。毎週の1on1ミーティングで、必ずメンティが私や他のメンバーから依頼されたものを含め、今持っている全てのタスクを確認する時間を設けました。その上で、メンティと一緒に優先順位と期限を確認することでメンティのタスクを把握し、必要があれば期限や量を調整することで、タスク過多とタスクについて答えられない状況を解消していきました。
一年しか経験はないが、一年分の経験はある
今回の経験を通じて得られた大きな気づきは、「一年程度の経験」と思っていたが、新卒にとっては価値ある「一年分の経験」であるという点です。
メンターを任された当初は、「まだ二年目で経験も浅く、新卒に教えられることは少ないのではないか」という不安がありました。実際に新卒と向き合ってみると、技術的な知識のレベルには大きな差は感じませんでした。一方で、業務を進める上で必要な基礎的な部分では「一年分の経験」に大きな差を感じました。
具体的には、「技術的に行き詰まった時の効率的な調べ方」や、「状況を整理して先輩に相談する質問の仕方」といった、地道だが重要な基礎の部分です。私はつい一年前、同じように悩み、苦労しながらこれらのスキルを身につけました。そのため、新卒がどこで躓きやすいのか、どのような言葉で伝えれば理解しやすいのかを具体的に把握できていました。
また、一年目の漠然とした不安に共感し、同じ悩みを持った、もしくは持っている者として、それらとどのように向き合ったかを等身大でサポートできたと感じています。
例えば、「こんなことを聞いてもいいのか」という不安に対しては「自分も同じようなことでつまずいた」と伝えて安心感を与えることや、「今後のキャリアにとって今の自分が成長できているのか」という悩みに対して、今の自分もまだ模索中であることを伝えるようにしました。
この経験の近さのおかげで、メンティの抱える不安や疑問に寄り添い、アドバイスを伝えることができたと感じています。
技術的な部分については、他の先輩やチームメンバーを頼り、基礎的な部分や精神的な部分を中心にサポートをしていくことに徹することで「困ったらとりあえず相談できるメンター」となることができました。直近の一年間の経験は、私が実現しようとしたメンターとしての役割を果たす上で、不可欠なものだったと認識しています。
さいごに
この記事では、エンジニア二年目の私が約半年間のメンター経験で得た、タスク管理の失敗談や、一年という経験の価値についての気づきを共有させていただきました。
メンターを始めた当初は、「何を教えればいいのだろう」「自分に務まるのだろうか」という不安ばかりでした。しかし、実際にメンティと向き合い、試行錯誤する中で、自分にしかできない役割があることを発見できました。
技術レベルは近くても、「調べ方」「質問の仕方」といった業務の基礎や、「働き方」「今後のキャリア」といった一年目の漠然とした不安への共感といった精神的なサポートは、直近で似たような経験を持つ二年目だからこそ、等身大で寄り添える部分だったからです。
今回のメンター生活は、チームメンバーからのサポートも多くあり必ずしも自分の力だけではない要因も多かったと思っています。
しかし、去年までは自分の仕事だけをやっていればよかったところから、メンティの進捗状況を見て優先順位を考える経験ができたことで、自身のタスクの進捗や状況を客観的にみる力を培うことができました。
これからメンターに挑戦される方、あるいは同じように経験の浅さに不安を感じている方にとって、この記事が「豊富な経験や知識がなくても、自分にできるサポートは必ずある」という自信につながるヒントとなれば幸いです。
著者プロフィール
サービス基盤グループ ソフトウェアエンジニアリング(SWE)チーム
バックエンドエンジニア
大谷 幹仁
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