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金融業界未経験エンジニアの奮闘記 – 転職して感じた「難しさ」と「面白さ」

2025/04/04に公開

1. はじめに

はじめまして、システム基盤グループの久慈です。2024年7月に ウェルスナビ株式会社SRE として入社しました。それまでは SES → スタートアップ → 大手通信キャリア というキャリアを歩んできましたが、金融業界は未経験の業界でした。転職して約9ヶ月が経過し、ようやく業務にも慣れてきたので、エンジニア視点で感じた「難しさ」と「面白さ」を振り返ってみたいと思います。


2. ウェルスナビを選んだ理由

数ある選択肢の中で、なぜウェルスナビを選んだのか?そこにはいくつかの理由がありました。

  • 「働く世代に豊かさを」 というミッションに共感できたから
  • 経験の無い金融業界 で、新しい挑戦をしたかったから
  • 「ものづくりする金融機関」 で、技術的な成長が期待できたから
  • 金融業界での経験はエンジニアとしてのキャリアにプラスになる と思ったから

技術者として、プロダクトの成長を支えるだけでなく 「お金の課題を解決する」 という意義のある事業に携われるのは大きな魅力でした。


3. 入社当初の期待と不安

新天地でのチャレンジは期待もありましたが、不安もありました。

期待

  • 未経験の金融業界 に飛び込むことで、新しい知識・技術を身につけられる
  • AWSを本格的に活用する環境 で、クラウド技術のスキルを高められる

不安

  • 金融業界ならではの難しさ(高いセキュリティ要件、厳格な監査ルール)
  • 個人情報の取り扱い に関する細かい規制とその影響
  • 技術のキャッチアップのスピード(未経験、経験の浅い技術のキャッチアップ)

4. 金融業界の難しさ

入社して徐々に業務に慣れてくると金融機関特有の難しさを感じる場面も出てきました。

① 厳しい要件の中でシステムの構築、運用

ウェルスナビでは AWSを基盤 にシステムを構築していますが、これまでのキャリアではAWSに深く触れる機会が少なく、入社当初は サービスの選定基準や運用ルールを理解するのに苦労 しました。
また個人情報の取り扱い、脆弱性対応、厳格なアカウント管理やログのトレーサビリティ等のセキュリティ要件は想像以上に難易度が高く、意識を改める必要がありました。

特に、IAM(アクセス管理)やネットワーク構成、監査ログの管理 など、金融業界ならではの厳格な要件が求められる部分は、独学ではなかなか得られない知識でした。

② セキュリティと監査の壁

金融業界では 何をするにも「セキュリティ」と「監査」を意識する必要がある ことが最大の違いでした。
例えば:

  • 本番の変更作業1つをとっても、「変更管理」「証跡」「承認プロセス」 などが必須
  • 個人情報の取り扱いに厳格なルール があるため、アクセス権限は最小限に設計
  • セキュリティの強化だけでなく、「説明責任」を果たせる仕組み作り が求められる

これまでのスタートアップや通信キャリアとは全く異なるルールに、最初は 「自由度が低い」と感じる場面 もありました。しかし、それが 金融業界における「信用の基盤」 であり、単なる制約ではなく「信頼を築く仕組み」だと理解できるようになりました。


5. だからこそ面白い!金融業界の技術的な魅力

難しさはあるものの、だからこそ面白いと感じられる場面も多くなってきました。

① 技術のスペシャリストが集まる環境

社内には AWSに詳しいエンジニアが多く、設計思想や運用のベストプラクティスを学ぶ機会が豊富でした。例えば、

  • AWS OrganizationsやControl Towerを活用したマルチアカウント管理
  • ECS、EKSを使用したコンテナ実行基盤の構築、運用
  • datadogを使用したログ管理、サービス監視基盤

など、 金融レベルの堅牢なシステムをどう実装するか? を実践的に学べる環境は大きな魅力でした。

② セキュリティ要件の高さ=品質の高さ

最初は難易度が高いと感じた セキュリティ要件 ですが、見方を変えると 「高品質なシステムを作る機会」 でもありました。
例えば:

  • 「最小権限の原則」 を守ることで、セキュアなシステム設計の重要性を学べる
  • 「監査ログの厳格な管理」 を通じて、トレーサビリティの高いシステム運用を理解できる
  • 「高可用性設計」 の基準が厳しい分、AWSのベストプラクティスを深く学べる

「制約があるからこそ、技術力が磨かれる」 というのは、金融業界ならではの醍醐味だと思います。

またCIT・コーポレートセキュリティチームやサイバーセキュリティチーム、情報・システム統制チームなどの各分野のスペシャリストが組織体制として身近に存在し、困ったらすぐに相談できる環境が整っているというのも大きな魅力だと感じました。


6. まとめ

未経験の金融業界に飛び込んでみて、正直なところ 最初は大変でした
ただ、その分 学べることが多く、エンジニアとしての成長を強く実感 できる環境でもあります。

金融業界のエンジニアは「制約との戦い」ではなく「信頼を支える技術者」 です。
技術的な成長だけでなく、「世の中に価値を提供する」という実感を持ちながら働けるのが、金融×エンジニアの面白さだと感じています。

これからも試行錯誤しながら成長していきたいと思います!
金融業界への転職を考えているエンジニアの方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。

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