【詳細編/前編】WealthNaviのサービスを支える外部サービスについて
はじめに
ウェルスナビの開発推進チームにおりました隅田と申します。
現在はITガバナンスチームと名前が変わりました。
2023/12に、「【概要編】WealthNaviのサービスを支える外部サービスについて」という記事を公開させていただきましたが、おかげさまで当社のアドベントカレンダーの中で最も多くの「いいね」を頂くことができました。ありがとうございました。
本記事は、その際にお伝えしていた【詳細編/前編】となります。
こうして世に出せることを喜ばしく思っています。
以下、【概要編】の前置きとも被りますが、金融システムは、様々なシステムと接続して成り立つのが一般的です。例えば、銀行のシステムですと、全銀システムと接続していたり、証券会社のシステムですと、取引所のシステムと接続しているのは想像しやすい部分かと思いますが、実はこれだけではなく、もっと多くの様々なシステムと接続してサービスを成り立たせております。
当社は一般的な銀行や証券会社に比べると、接続数は多いとはいえませんが、それでもそれなりに多くのシステムと接続しています。本日その内容を紹介したいと思います。 ※ 具体的な外部サービスを提供している会社名については、控えさせていただきます。何卒ご了承ください。
WealthNaviのサービスとは
まずご存じない方のために、当社のサービスを簡単にご紹介したいと思います。
当社のウェブサイトの記載を基に解説していきます。
詳細は上記のウェブサイトをご覧いただきたいのですが、この絵に記載の通り、お客様からお預かりしたお金を基に自動的に金融商品を購入し、資産運用を行うサービスです。
この絵を見ますと、なんとなくこんな機能があるかなぁと予測できると思います。
- 入金/出金/積立の機能
- ETFの売買を行う機能
- 現状の残高を確認する機能
他にも、資産運用サービスを提供する会社ですので、「本人確認等を行い、口座開設を行う機能」や、「法的に必要な書類を交付する機能」も必要そうですね。
また、重要な機能として、金融商品は日々評価額が変化しますので、その変化を日々正確に記録したり、お客様が納税で用いる帳票や法律で定められた帳票を作成する必要もあります(こんな機能を持つシステムを「勘定系」と呼びます)。
もちろんこれだけではなく、手数料の計算や、最適なポートフォリオを計算する機能などサービスの根幹となる機能や、ログイン後のセッション管理などのウェブサービス的な機能ももちろんあるのですが、他サービスとの連携という観点ではこの辺で十分ですので割愛させていただきます。
全体像
今の話をざっと絵にまとめてみると、以下の通りです。
上段がお客様とのやり取りに関する部分で、下段がお客様に見えないところで取り扱っている部分になります。
さて、このうちどこで外部サービスを利用しているでしょうか?と言いたいところですが、もったいぶっても仕方ないので言いますとこれら全部で利用しています。
大事なことなんでもう一度言いますが
- 勘定系
- 発注
- 口座開設(eKYC)
- 入金
- 出金
これら全てで利用しています。
それぞれどんな感じか(1/2)
説明の都合上、本記事ではまず勘定系と発注といった下段のみご紹介し、残りの紹介は次回とさせていただきます。
- 勘定系
金融システムで最も重要な要素として、「時間の経過とともにデータの洗い替えが大量に発生する」ということが上げられると思います。
「金融」と言う言葉は、「お金が余っている人から、足りていない人に融通すること」が語源です。ただ融通するだけだとお金が余っている人にメリットがないので、時間の経過と共に利息が発生(銀行預金や株式の配当金)したり、不測の事態の際に多く返ってくる契約になっていたり(保険)に、余っている人側になんらかのメリットが生じる仕組みまでをセットで「金融」と呼ぶことが多いと思います。
当社を含むいわゆる証券業においては、株式や債権に配当金や利子があったり、時間の経過に伴う日々の値動きから損益が発生したりします。
ですので、極端な話、お客様のデータを値動きに応じて都度洗い替えていく必要があるのが証券システムです。値動き以外にも、配当や利子(ETFの場合は分配金となります)が発生した際にお客様の口座にお金を入金する必要がありますし、その際には税金の計算も必要になります。また、株式分割などのコーポレートアクションもありますし、特定口座では損益通算や、お客様の代わりに納税する仕組みも必要です。それらの動きに合わせてお客様に様々なフォーマットでの報告書を送付をするということも、法律で決まっていたりします。
このように、金融システムでは、お客様の操作がなくとも、時間の経過とともにデータを洗い替えなければならない部分が大量にあります。
とはいえリアルタイムでデータを更新し続けるのは無理があるので、大抵は一日に一回、その日の日中の取引が終わった段階等で、バッチ処理で全ての口座に対してその日に必要な更新を一気に掛けていくというのが一般的な作りかと思います。
そしてこの部分は、基本的に全ての証券会社でやらねばならないことですので、当社で個別にすべてを開発するのは車輪の再発明になります。
また、証券会社の勘定系ともいわれますが、証券総合バックオフィスシステムとして、パッケージやASPサービス等が世の中には存在しており、当社でも、この部分は当社で内製はしておらず、他社のASPサービスを利用しております。
なお、通常の証券勘定系システムでは、取引所への発注機能等もっと多くの機能がありますが、当社で利用している部分は非常に限定的な部分になります。
前置きが長くなりましたが、具体的には、当社で発生した入出金やETFの約定等のデータを全て日中帯に勘定系に連携し、毎朝前日時点で勘定系で計算した結果を受領し、当社のデータベースを書き換えるといったことを行っております。
- 発注
当社は資産運用の会社ですので、当然金融商品の売買を行います。
普通、金融商品を売買するときのシステムというと、東京証券取引所にあるarrowheadというシステムを思い浮かべる方は多いと思います。当社のシステムと、arrowheadを接続して、ETFの売買の注文を送信している、、、ということではありません。
当社で取り扱っている商品は海外ETFですので、NYSE(ニューヨーク証券取引所)での売買がメインの商品です。ですので、NYSEに注文を行う必要があるのですが、我々が直接NYSEに注文できるわけではなく、間に別の証券会社が存在しておりまして、当社はその証券会社のシステムと接続して、売買の注文を送信しています。
なお、勘定系の部分で紹介したいわゆる証券総合バックオフィスシステムには、発注の機能を保有しているものは多くあります。
当社は、外国ETFを購入しており、その点を機能として保有しているシステムは多くなかったので、自社で開発し発注を行っているところです。
前編のさいごに
今回の記事は以上となります。
分量の都合上前後編となってしまいましたが、次回の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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著者プロフィール
隅田(すみた)
<プロフィール>
システム統括グループ ITガバナンスチーム
前職ではSIerにて銀行の勘定系システムの開発担当として、システム更改対応、保守開発、品質管理等を経験。
金融システムに関する俯瞰的な経験を活かし2018年にWealthNaviへジョイン。当初は事業推進として事業側の経験もしていましたが、現在ITガバナンスチームとしては主に開発に関するルール作りや開発プロジェクトのPMO的な仕事をしております。
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