『ものづくりする金融機関』におけるエンジニア組織とは
はじめに
ウェルスナビのCTOの保科です。
ウェルスナビは『ものづくりする金融機関』をビジョンに掲げています。
ITがあらゆるものに深く関わっている現代において、「ものづくり」を成すためには、エンジニア組織が果たすべき役割は非常に大きいです。
本稿では、『ものづくりする金融機関』を目指すウェルスナビにおいて、どのように組織が変わってきたのかを振り返りつつ、今後も『ものづくりする金融機関』でありつづけるために、エンジニア組織はどうあるべきかをお話ししたいと思います。
ウェルスナビの組織の変遷
プロダクトヒストリーカンファレンス2024で、「プロダクトと組織の成長」というタイトルで登壇しました。
ここでは、「プロダクトの成長」にフォーカスして、会社や事業のフェーズに合わせて、会社全体がどう変わってきたかをお話しさせていただきました。
この資料を見ていただければ、ウェルスナビが会社や事業のフェーズに合わせて、どのように組織構成が変わってきたかを理解していただけるかと思います。
今、自分自身で資料を見返していると、資料には重要なポイントが表れていないことに気づきました。
それは、組織体制を検討する際に、その体制で『ものづくりする金融機関』であり続けられるか? という点を考慮していたことです。
『ものづくりする金融機関』とは?
ウェルスナビは、エンジニアやデザイナーがチームの約半数を占め、サービスの企画や開発を自分たち自身で行っています。
組織におけるエンジニアの数が多ければ、それは果たして「ものづくり」していると言えるのでしょうか?
数を揃えるだけではなく、エンジニアのあり方が伴ってこその「ものづくり」です。
私は「ものづくり」に重要な要素は以下と考えています。
- 提供するものに価値がある
- 提供するものを作る力がある
- 提供するものを顧客に届ける(売る)力がある
- 提供したものを継続してメンテナンスできる
エンジニアが主戦場とする領域は、「作る」と「メンテナンス」ではありますが、エンジニアが、そこにだけフォーカスしていては『ものづくりする金融機関』とは言えません。
作るものに価値があるのか?作るものを、もっと価値あるものにする方法がないのか?
作るものの魅力が顧客に伝わるのか?もっと魅力を感じてもらうための方法はないのか?
システムを作る側、運用する側だからこそ、事業側とは違った視点で見えることがあります。
その視点を活かすことで、価値あるものが提供できるのです。
エンジニアが、「作る」と「メンテナンス」だけでなく、「価値」と「届ける」も考える。そういったエンジニアで構成されることが『ものづくりする金融機関』として必須の条件です。
そのうえでマネジメントに求められること
ものづくりをより良く行うためには、マネジメントも重要です。
マネジメントをする人は、やりたいことに対してエンジニアが不足している場合、まずは採用を検討すると思います。その時に、「作る」と「メンテナンス」だけでなく、「価値」と「届ける」も考えるエンジニアを採用すれば、良いものづくりができるのでしょうか?
答えは明確にNOです。
採用などを通じて多くのエンジニアの方と言葉を交わしてきましたが、「作る」と「メンテナンス」だけでなく、「価値」と「届ける」を考えている方がほとんどでした。
ですので、多くの企業には、すでにそういった方で構成されているはずだと感じています。
では、採用ではなく、何が必要なのか?
システムを作る側、運用する側だからこそ、事業側とは違った視点で見えてくるところがあります。
その視点を活かすことで、価値あるものが提供できるのです。
そうです。「活かす」です。
『ものづくりする金融機関』であり続けるためのマネジメントに必要なことは、エンジニアが「価値」と「届ける」も考え、それを発信することが良いと思える環境を作ることです。
「価値」と「届ける」も考えよう。そう言うだけでは、ダメです。
マネジメントは、エンジニアが「価値」と「届ける」も考えた結果が、成果につながるような組織運営をする必要があります。
『ものづくりする金融機関』に求められるエンジニア組織とは、そういった組織です。
最後に
今回は、『ものづくりする金融機関』に求められるエンジニア組織について話をさせていただきました。
また機会がありましたら、具体的な組織運営の方法や考え方についてお話しできればと思います。
エンジニア組織をマネジメントしている方、所属しているエンジニア組織を変えたいと思っている方の参考になれば幸いです。
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