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仕事は自分ひとりでやらない 〜PdM経験から得た協働の3つの考え方〜

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はじめに

みなさん、こんにちは。
ウェルスナビでAndroidエンジニアを担当している梅津です。
前職ではエンジニア、ウェルスナビ入社後はプロダクトマネージャー(以下、PdM)を経て再びエンジニアに戻りました。

この記事では、「仕事は自分ひとりでやらなきゃ」と抱え込んでいた私が、「仕事は自分ひとりでやらない」とチームで協働するマインドに変わるきっかけとなった考え方を共有します。テックブログではありますが、テック系の職種に限らずチームで働くすべての人に役立つ考え方だと思っておりますので、様々な職種で同じ悩みを持つ方の参考になれば幸いです。

タイトルは小田木 朝子さんの著書「仕事は自分ひとりでやらない」をリスペクトして拝借させていただきました。内容には触れませんが、同じ悩みを抱える方におすすめです。

プレッシャーで人を頼れなかった

私は、仕事を任されるたびに「自分ひとりでやらなきゃ」と強いプレッシャーを感じていました。そう感じるたびに、人に相談しづらく、ひとりで抱え込み、思うように仕事が進められませんでした。ウェルスナビでPdMになった当初は、PdMの仕事柄ひとりで完結しない業務が増えたにも関わらず、この思い込みで人に頼ることに二の足を踏んでいました。

そんな私ですが、約6年に渡るPdMでの業務経験や人に頼ることで得た成功体験を通じて、「仕事は自分ひとりでやらない」というマインドに変わることができました。ここからは、私のマインド変化のきっかけとなった3つの考え方をご紹介します。

マインド変化に繋がる3つの考え方

①期待は「個人の努力」ではなく「チームの成果」

1つ目は、組織で働く上でより期待されるのは、個人が努力することよりも、チームで成果をあげることだという考え方です。

これまでの私は、仕事を任されたからにはその信頼に応えなくてはならない、人を頼ることは責任放棄と同義だと考えていました。その結果、目的が「仕事の成果を出すこと」から「一人でやりきること」にすり替わっていました。目的がすり替わった結果、他者の知見やリソースを活用せずに仕事をするようになり、品質やスピードが落ちて結果的に自分自身をどんどん追い込むことになっていきました。

以前私は、ライフステージの変化に伴いどうしてもひとりで仕事が捌ききれない状況に追い込まれたことがありました。そんな折、当時の上長との1on1で「個人の努力よりもチームの成果を期待しているよ。(もちろん、個人的に期待している部分もあるよ。)」と言われ、自身に掛けられていると思っていた期待と、上長(および会社)から求められている期待とのギャップに気付きました。本当に期待されていたのは、私個人の努力ではなく、その仕事で成果を最大化することだったんだと。そして、成果を最大化するためには、必要に応じて他者と協力しながら全体最適で考えることも選択肢の1つだったんだと。

この経験以降、チームの成果を最大化するために必要なことを意識して働くようになり、人に頼ることも選択肢の1つとして捉えることができるようになりました。

②正解は「自分の中」ではなく「ステークホルダーの間」

2つ目は、様々なステークホルダーが取り巻く環境下で、正解が自分の中にあることはごく稀だという考え方です。

これまでの私は、何事も自分ひとりで答えを出そうとしていました。そこには、時間と労力を掛ければいつしか答えを導き出せるという自分への淡い期待があったと思います。しかし、自分で答えを出すことに固執するあまり、他者の意見を受け入れ難くなり相談の選択肢が生まれず、結果的にコストばかり掛けて答えにも辿り着けない状況に陥っていました。

PdMとして開発案件を担当する際、自身のエンジニアバックグラウンドを活かしてビジネス仕様の作成と合わせて実装方針も私自身で考えることがありました。それがエンジニア組織の意向と合致することもありましたが、多くの場合は専門的な知識を有するエンジニアメンバーと一緒に考えた方が関係者の納得を得られる方針を導き出せることがほとんどでした。
また、ある案件でユーザーテストを実施した際には、自身が当初考えていた価値とは別の観点でプロダクトに価値を感じるユーザーの存在を目の当たりにすることがありました。

このような経験から、正解を見つけるにあたっては、(言葉が悪いかもしれませんが)「自分ひとりではどうにもならない」という一種の諦めを抱き、「自分ひとりでできる」という驕りや慢心を捨てるようになりました。正解は自分ひとりだけではなくステークホルダーを巻き込んだ外の世界に見つけにいく必要があるのだと考えるようになりました。

③衝突は「避ける」ではなく「早く起こす」

最後の3つ目は、意見の衝突は避けるのではなく、可能な限り早く起こすという考え方です。

これまでの私は、前述の通り正解は自分の中にあると誤解していたため、自分と異なる意見との衝突に強い恐怖を感じ、心配事や違和感があっても相談に二の足を踏んでいました。「心配事の9割は起きない」という言葉に倣ってなんとかなるかなと考えることもありましたが、私の個人的な経験上、私が静観する心配事の9割は必ずどこかで顕在化していました。心配事が顕在化せずに進んでいる時は一見して順風満帆に見えますが、私の場合は気付かぬうちに間違った方向に進んでいることの裏返しでした。

PdMの仕事柄、複数のステークホルダーとやりとりする立場であったため、資料作成やミーティング実施など様々な工夫をしてみましたが、考え方・バックグラウンド・所属組織・仕事の仕方など多くのことが違うメンバーで仕事をする以上、衝突は避けようがないと考えるようになりました。これも一種の諦めや、驕りや慢心を捨てた状態に近いかもしれません。

このような経験から、いつしか「どうせ避けられないのなら、衝突は早い方がいい」と考えるようになりました。何故なら、「早期の衝突」は「早期の軌道修正」と同義であり、道を間違えた時のリカバリーは早ければ早いほどコストを抑えられ、メリットしかないからです。
また、意見の衝突を何度も経験することで、私が当初考えていたほど衝突は怖いものではないと思えるようになりました。自分の殻にこもっていた時は異なる意見は受け入れ難い対象でしたが、外の世界に目を向け始めてからは異なる意見を「仕事の成果を最大化するチャンス」と捉えられるようになりました。お互いの意見をテーブルに並べてフラットに全体最適を考えるというシンプルな行為には、恐怖という感情を介入させる必要性が一切ないことに気付き、衝突は早期に起こそうと考えるようになりました。

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
まとめとして、今回ご紹介した3つの考え方を「誤解」と「本質」という2軸で整理してみました。

項目 誤解 本質
①期待 個人の努力 チームの成果
②正解 自分の中 ステークホルダーの間
③衝突 避ける 早く起こす

最後になりますが、私自身はこの考え方を業務で活かしてきたことで、自身に過度なプレッシャーを与えることなく、他者とも柔軟に対話することができるようになったため、自分自身の仕事に対する気持ちがスッと楽になりました。ひとりよがりに仕事を進めていたころは「仕事って辛いな」「話を前に進めるのって難しいな」と悩むこともありましたが、その全ては自分自身の考え方に由来していたのだと、今なら思えます。
また、この考え方を身に付けてからは、ありがたいことにステークホルダーの皆様からもポジティブな評価をいただくことが増えてきたように思います。

この記事が、みなさんの悩みを解消するきっかけになれば幸いです。
以上、ご精読ありがとうございました。

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