Kestrel (試作)というキーボード設計しました(というお話)
なぜつくったのか?
人生初の完全自作キーボードは憧れの40%キーボードでした。
当時、自分の気に入った40%はなく、どれもこれもキーが少なすぎる(主に右側)ため、記号を多く打つプログラミングに向いていないのではないか、そして記号位置が変則的で移行するのが大変なのではないか、、 と思って手を出せずにいました。
そこでこれらの不満を解消すべく自分のための(仕事の道具としての)キーボードを作り始めました。
すっきりとした外観に長いスペースバー、これこそが求めていたかっこよくて使いやすいキーボードだ!と思っていました。
ところが使い込んでいくと気になる部分が出てきました。
数字を打つためのLowerキー、記号を打つためのRaiseキーが押しにくいのです。長いスペースバーに邪魔されて左右の離れた位置にいるので親指で押すには少々窮屈でした。
そして、数字行がなくなって指の稼働範囲が狭くなったので、これまでと同じ位置にいるはずの右上のキーが遠すぎる感覚が出てきました。右上にはDeleteキーがありますが、薬指で押すにしても手首が辛い角度になります。(小指は届かない)
手首をパームレストにしっかり着けてキーを打つスタイルのため、指が動いて届く範囲以外は手首ごと回すか浮かせて手を動かす必要があり、これがなかなか負担に感じてきていました。
10年以上HHKBを使ってきて、自作キーボードに目覚めてからは左右分割を使って肩こりが解消! その勢いでCorne(コルネ)という超小型のColumn-Staggardのキーボードも作って試しました。
そしてそれに飽き足らず設計からやって作ったのに!・・・あと少し何かが足りない・・・まだ足りない・・・
→ここまでにタイプの違う6つのキーボードの基板を試作設計していました
そんなあと少しを求めて作ったのが、Kestrel(ケストレル)という分割型の40%キーボードです。
さて、前置きはこれくらいにして(長い)、このキーボードの特徴をいくつか説明していきたいと思います。
主な特徴
- 基板をケースに固定しないフローティング型のサンドイッチマウント方式
- ケースの固定ネジを最小限に抑えてできるだけしなやかな鍵打感を追求
- 普通のキーボードからも移行しやすいRow-Staggardの左右分割型
- 親指の運指が苦しくならないように中央のキーを短めに設定
- 左右別基板なので組み立て時に裏表を間違えない
- 2Uキーはあえてスタビレス(鍵打感優先)
- Mid-heightキースイッチにも対応(実験的)
入手できるキットやGBでいくつかの魅力的な40%キーボードはあったものの、どうしてもキーレイアウトだけはなじまないものばかりでした。特にプログラムを書くことを仕事にしていると、よく使う記号は1キーで入力できたらうれしいものもあります。また、これまで使い慣れてきたHHKBからの移行やMacbookとの併用も考えると、移行コストはできるだけ低くしておきたいと考えました。
これを満足してかつ満足度の高いかっこいいキーボードがほしい!
現在市販されていませんがCocoa40というHHKBの40%版といえるキーボードがあります。超Coolで最高にかっこいいキーボードなのですが、なかなか入手できるものではないので残念無念・・・・
作っていくと、ここはあれに似ているなとか、同じになってしまった・・みたいなことに何度か遭遇して、みんな通る道は同じなのかなと思いながら、真似しているわけでもないのに車輪の再発明に近いキーボードになってきていますが、そのほんのちょっと違う部分がこだわりポイントでもあるので、何か少しでも伝わったらいいなぁと思っています。
設計思想
- 道具としてのシンプルさと使いやすさを追求
- Enterキーを親指にすることで他の分割キーボードとも仲良くなれる
- どうしてもColumn-Staggardに慣れなかったが左右分割にはしたい人に優しい
- 左右を繋いで一体型としても運用可能
キーボードは作って終わりではなく、手に馴染むまで使い込んだりチューニングすることや、キースイッチを変えてみたりキーキャップを変えてみたり、楽しみは広がるばかりです。
次回はどんなふうに作ったのか書いていこうと思います
#自作キーボード
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