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Google Cloudまとめ、AWS / Azureとの違い

2024/02/07に公開

はじめに

Google Cloud(以下、GC)の記事投稿キャンペーンに乗っかって、GCに関する基本的な内容とGC以外のクラウドサービスであるAWS、Azureとの違いなどをまとめました。
どういうことができるのか?どういうサービスに適しているか?などについても記載しています。
是非、ご覧ください。

Google Cloudとは...?

Google Cloudは、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。
GCは、仮想マシンからデータストレージ、機械学習、ビッグデータ処理など、さまざまなクラウドベースのサービスを提供しています。

以降でGCでどのようなことができるのかや特徴をまとめていきます。

コンピューティングサービス

仮想マシン(Google Compute Engine)をはじめとするコンピューティングリソースが提供されます。これにより、アプリケーションの実行や開発環境の構築が柔軟に行えます。
異なるサイズやタイプのマシンの選択ができるため、スケーラビリティに優れ、異なるオペレーティングシステムをサポートします。

データストレージ

クラウドベースのデータストレージサービスも提供しています。
例えば、Cloud Storageはオブジェクトストレージで、データの安全な保存や共有が可能です。
Cloud Storageは高い耐久性を備えたオブジェクトストレージであり、大容量のデータやメディアファイルを保存し、簡単にアクセス・共有が可能になっています。

データベース

Cloud SQLCloud Firestoreなど、さまざまなデータベースサービスがあります。
これにより、データの管理や処理が容易に行えます。
Cloud SQLでは、MySQLやPostgreSQLなどのリレーショナルデータベースを提供しています。
管理が容易でスケーラブルであることが特徴です。
Cloud FirestoreNoSQL型のドキュメントデータベースで、リアルタイムでのデータ同期が可能で、モバイルアプリケーション向けに効果的です。

機械学習

機械学習にも強力なサポートを提供しており、TensorFlowAutoMLなどのツールやサービスを通じて、機械学習モデルの構築やトレーニングが可能です。
TensorFlowを使用して、GC上でトレーニングや推論を行うことができます。
また、AutoMLという機械学習モデルを簡単に構築できる自動機械学習サービスを提供しており、開発者が専門的な知識なしに機械学習を利用できます。

ビッグデータとアナリティクス

BigQueryDataflowなどのサービスが組み込まれており、大規模なデータ処理やリアルタイムデータ分析が行えます。
BigQueryというペタバイト単位のデータをリアルタイムにクエリできるサーバーレスデータウェアハウスを提供していつるため、高速なデータ分析が可能。
また、Dataflowというストリームやバッチデータ処理をサポートする分散型データ処理サービスも存在する。

ネットワーキング

GCは、柔軟でスケーラブルなネットワーキングサービスを提供しており、仮想プライベートクラウド(VPC)やLoad Balancerなどが利用可能です。
VPCにより、カスタマイズ可能なネットワーク環境を提供でき、プライベートIPアドレス範囲やファイアウォールなどを設定することが可能。
また、Load Balancerも提供しているため、通信などのトラフィックを分散し、冗長性を持たせることができます。

セキュリティ

高いセキュリティ基準を備えており、データの暗号化、アクセス制御、監査などのセキュリティ機能が提供されています。
精密なアクセス制御を提供し、プロジェクト内のリソースへのアクセスを管理できます。
Key Management Serviceという暗号化鍵を簡単に管理するサービスもあり、セキュリティを向上できます。

サーバーレスコンピューティング

Cloud Functionsなどのサーバーレスコンピューティングサービスも用意されており、アプリケーションのスケーラビリティを向上させることができます。
Cloud Functionsというイベントトリガーで実行されるサーバーレス関数を使用することでコードを管理せず、スケーリングも自動で行うことができます。

上記で紹介したサービスは、異なる用途やニーズに対応するため、開発者は柔軟に利用することができます。
クラウド上でアプリケーションを構築・展開し、データを効果的に管理・分析するための包括的なプラットフォームとなっています。

デメリットは...?

上記で紹介したサービスにもデメリットは存在します。
一概にデメリットと決めつけるのもあれですが、基本的には具体的な利用ケースや要件によって異なります。
使用前に十分な調査と評価が必要にはなってくるでしょう。
もし、デメリットになる場合はそれらを許容できるかどうかもGCを利用する要素になると考えています。
(※あくまでも個人的な意見のため、そうではないと言う方もいるかもしれませんのでご了承ください)

コンピューティングサービス

インフラストラクチャの管理が必要で、初期設定がやや複雑。
また、サーバーレスアーキテクチャに比べてスケーラビリティがやや制限されることがあります。

データストレージ

Cloud Storageの場合、レイテンシー(遅延時間)が他のデータベースサービスよりも高い場合があり、リアルタイムな処理には適さないこともある。

データベース

Cloud Storageは水平方向のスケーリングが制限されることがあり、大規模なトラフィックには向かない場合があります。
Cloud Firestoreは複雑なクエリやトランザクションのサポートが一部制限されています。

機械学習

TensorFlowは、初心者には学習コストが高く、モデルのトレーニングには多くの計算リソースが必要です。
AutoMLはカスタマイズが難しく、柔軟性が一部制限されることがあります。

ビッグデータとアナリティクス:

BigQueryは、クエリ実行にコストがかかることがあり、大規模なデータセットの処理には工夫が必要になる時がある。
Dataflowは、インフラストラクチャの管理が必要で、初期設定が複雑な場合があります。

ネットワーキング

VPCでは、設定が複雑で、初心者には理解が難しいことがあります。
Load Balancerで高トラフィックに対処するためには、追加の構成やコストがかかることがあります。

セキュリティ

細かい権限設定が必要となり、誤った設定がセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。
Key Management Serviceの鍵管理に関する追加のコストや管理の難しさがあることがあります。

サーバーレスコンピューティング:

Cloud Functionsでは、長時間の実行や大規模なリソースの利用には向かないことがあり、複雑なアプリケーションには不十分な場合があります。

GC vs AWS vs Azure

GCは他の主要なクラウドサービスプロバイダーと比較して、上記のような特徴や強みがあります。
ここでは、主なクラウドサービスプロバイダーであるAWS(Amazon Web Services)、Azure(Microsoft Azure)と比較してそれらの違いを紹介していきます。
(※ここでも一部私の感覚が含まれていますのでご了承ください)

データセンターの分布

サービス 特徴
GC Googleのグローバルネットワークを利用して世界中にデータセンターを展開しており、低遅延でのサービス提供が可能。
AWS Amazonが世界中に広がる複数のリージョンを提供しており、多岐にわたる地域に対応。
Azure Microsoftも世界中にデータセンターを展開し、AWSに次ぐ規模の地域数を持つ。

ネットワーキングとパフォーマンス

サービス 特徴
GC Googleのネットワークは高性能で低遅延での通信が可能。特に大規模なデータ転送において強力。
AWS AWSも広範で信頼性が高いが、Googleと同程度の低遅延ネットワークは提供しているとは言いにくい。
Azure データセンターの位置によってはパフォーマンスの差が出ることがありますが、Microsoftのグローバルネットワークを活かすことで低遅延を実現している。

機械学習と人工知能

サービス 特徴
GC TensorFlowなどのオープンソース機械学習フレームワークの開発しており、機械学習と人工知能の領域で強みがある。
AWS SageMakerDeepLensなど、機械学習ツールやサービスを提供しており、多くの機能を提供。
Azure Azure Machine Learningなど、企業向けの機械学習サービスを展開しており、企業統合が得意。

サーバーレスコンピューティング

サービス 特徴
GC Cloud Functionsを提供し、サーバーレスコンピューティングにおいても競争力がある。
AWS AWS Lambdaは最初に登場したサーバーレスプラットフォームの一つであり、多くのユーザーに利用。
Azure Azure Functionsと呼ばれるサーバーレスプラットフォームを提供しており、他のAzureサービスとの統合が強み。

価格モデル

サービス 特徴
GC 継続利用割引やプリエンプティブル インスタンスなど、独自の価格モデルを提供しており、比較的安価にサービスを利用できる。
AWS オンデマンド、リザーブド、スポットなど様々なインスタンス料金オプションがある。
Azure Reserved InstancesやAzure Hybrid Benefitなど、クラウドとオンプレミスの利用を組み合わせた柔軟な価格モデルがある。

利用するサービスによって価格の上下はあるが、全体的な価格イメージとしては以下。

  • (安い) GC < AWS < Azure (高い)

どれを選べば良い...?

一概に「これが良い」とは言えないが、GC、AWS、およびAzureのクラウドプロバイダーを選ぶ際には、それぞれの特徴を考慮する必要があります。
以下に、それぞれのプロバイダーの主なメリットとデメリットを挙げてみます。
(※最初の方に記載した内容と重複するところもございます)

GC

  • メリット
    • 高性能ネットワーク: Googleのグローバルネットワークは低遅延で高性能な通信を提供します。
    • 機械学習とデータ解析: TensorFlowなどのツールを活かした機械学習とデータ解析の強力なサポート。
    • サーバーレスコンピューティング: Cloud Functionsを提供し、サーバーレスアーキテクチャのサポートが強力。
  • デメリット
    • マーケットシェアの低さ: AWSやAzureに比べてマーケットシェアが低いため、一部のエコシステムやツールが他のプロバイダーよりも限定的かもしれません。
    • 特定の地域のデータセンター不足: 一部の地域において他のプロバイダーよりもデータセンターの提供がやや限定的。

AWS

  • メリット
    • 幅広いサービス: 200以上ものサービスを提供し、包括的なクラウドソリューションを提供しています。
    • 豊富な経験と安定性: クラウドサービスの先駆者であり、多くの大規模企業がAWSを採用しています。
    • グローバルなデータセンターの展開: 世界中に広がる多数のリージョンを提供し、地域ごとの高い可用性を実現。
  • デメリット
    • 料金の複雑性: サービスの種類が多いため、料金体系が複雑で理解が難しいことがあります。
    • 初期設定の複雑性: 初期設定や構成が複雑な場合があり、学習コストが高いことがあります。

Azure

  • メリット
    • 統合されたエンタープライズソリューション: Microsoftのエンタープライズ向けのツールやサービスとの連携が強力。
    • Hybrid Cloudのサポート: オンプレミスとの統合が得意で、Hybrid Cloud戦略を推進できます。
    • Windows環境への適応性: Windowsベースのアプリケーションやサービスに対する最適なサポート。
  • デメリット
    • ネットワークのパフォーマンス: GoogleやAWSと比較してネットワークのパフォーマンスがやや低いことが報告されています。
    • サービスの遅れ: 新しいサービスや機能がAWSやGCPに比べて遅れて導入されることがあります。

共通のデメリット:

  • セキュリティ懸念: どのプロバイダーもセキュリティは重要視していますが、データセキュリティやコンプライアンスに関する懸念がある場合があります。
  • 料金: 利用量やサービスの種類によって料金が変動するため、予算管理が重要です。

GCを利用することによる業務改善

最後になりますが、GCを利用することによる業務改善の点を少し記載しようと思います。
GCを利用した具体的な業務改善の例は多岐にわたります。

データアナリティクスの最適化

  • 改善点
    • 企業はBigQueryを使用して大量のデータをリアルタイムでクエリし、ビジネスインサイトを獲得することができます。
  • 効果
    • データ分析のスピードが向上し、意思決定プロセスが迅速化されます。
    • これにより、迅速な市場への適応や競合他社の動向への対応が可能になります。

サーバーレスアーキテクチャの採用

  • 改善点
    • Cloud FunctionsApp Engineを使用して、サーバーレスなアーキテクチャに移行することで、アプリケーションのスケーラビリティを向上させ、運用コストを削減します。
  • 効果
    • トラフィックの変動に柔軟に対応し、無駄なリソースの使用を抑えつつ、サービスの高可用性を確保します。

機械学習の活用

  • 改善点
    • Vertex AIAutoMLを使用して、機械学習モデルを構築し、顧客行動の予測や製品の品質管理などに活用します。
  • 効果
    • 予測精度が向上し、生産プロセスの最適化やカスタマーエクスペリエンスの向上が実現されます。

セキュリティの向上

  • 改善点
    • セキュリティポリシーを強化し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減します。
  • 効果
    • データの機密性が向上し、法的コンプライアンスに適合することができます。

コラボレーションと効率の向上

  • 改善点
    • G Suiteとの統合や、Google Workspaceを活用して、リアルタイムでのドキュメント編集やチームコラボレーションを強化します。
  • 効果
    • チームワークが向上し、プロジェクトの進捗がスムーズになります。

実際の話

いくつかGCを使用した企業の例を記載ようと思います。

某不動産会社

某不動産会社では、GCのAIツールやBigQueryを使用することで、年間約4万2,000時間ほどの工数削減に成功したとのことです。
AIツールで物件資料のオビ付け(仲介物件の概要や間取り、条件などが記載された物件資料のオビ部分を、自社の連絡先情報に差し替える作業)を自動化することが削減の要因につながったようです。
少ないエンジニアでの機械学習の導入にはハードルが高そうであると言う懸念はあったものの、既存の機械学習アルゴリズムと社内で抽出した学習データで業務ニーズを機能面、精度面で満たすことが確認できれば実装はそれほど難しくなかったようです。

また、データ分析基盤としてBigQueryを活用し、日々のトランザクションデータから広告、ウェブ履歴、地理情報などに関する多様なデータを格納したDWHを構築している。
大量のデータを持っているがレスポンスがかなり早く、機械学習のモデルを何度も試行を重ねて構築することができたとのこと。
(元々はRDBMSが使われていましたが、たとえば、データベースを全件参照すると、時間がかかりすぎるため、地域などの条件による絞り込みをした参照が必要となるなど、パフォーマンス上の限界に課題を感じていたようだった)

某航空会社

某航空会社では、GCのAI翻訳サービスであるCloud Translation APIを利用しています。
翻訳作業を自動化することで業務を効率化することに加え、高精度な翻訳を実施することでユーザーの意見をより効率よく吸い上げることが可能になったとのこと。

サービス品質向上の取り組みの一環として ご意見箱のようなサービスを運営しているが、寄せられる客の声は国内はもちろん、海外からも届くため、海外の空港に関する改善要望があった場合、その国の空港に情報共有する必要がある。このとき、まずは日本語でレポートを作成する方針だが、英語でも共有が必要となり、翻訳ができるスタッフに集中して負荷がかかることや、翻訳会社に依頼する場合、時間とコストがかかるため、情報をタイムリーに現地スタッフに共有できないことが課題だったようである。

翻訳精度の向上で課題となったのは、航空会社には略語などの専門用語が多いこと。たとえば、それらの専門用語を翻訳すると不自然な表現になり、文章として成立しませんが。GCでは、専門用語を登録するための単語辞書の仕組みの実現など、カスタマイズにも柔軟に対応できることができ、その課題も無事クリアできたとのこと。

まとめ

本記事では、GCに関する内容とそれに付随して、他のクラウドサービスであるAWSやAzureとの比較をまとめました。
中には自分の感覚で記載しているところもありますが、大体のイメージは合っていると思います。
是非、あなたに合ったクラウドサービスを利用して、業務改善につながればと思います。

参考

Discussion