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WordPressのWeb制作においてサーバーをどう考えるか

2021/11/17に公開

インストール型のWordPressを利用する上で必要不可欠なのが、サーバーである。
動作の土台であり、適切に選択・利用することができないと、運用上問題になることも少なくはない。

しかし、Web制作を行っている事業者がこのサーバーに関して一様に技術や知見を持ち合わせているかというと甚だ疑問である。

という現状もあるため、「なんとなく」「ほかでもそうしていたので」で済ませるようなことなく、WordPressでのWeb制作におけるサーバーの選択や利用をできるだけ適切なものにするように、わたしの考え方を紹介する。

最初に結論

Webサイトの規模や機能、今後の展望に応じて適宜選択していく。
ただし、管理側の技術や知識がない場合は、レンタルサーバーかSaas型のサービスを利用するのがいい。

まずサーバーの役割とはなにか

サーバーはWebサイトを表示させるための土台みたいなもので、画像やプログラムなどの必要なファイルを格納したり、そのプログラムの処理を行うという役割を持っている。
そのため、その処理能力はWebサイトの表示に大きな影響を与える。

また、WordPressを利用する際は推奨環境というものが存在する。
アップデートに関する記事でも紹介したが、要は「この環境で動かすことを前提にしてチェックやテストをしているので、できればこの環境で動かしてくださいね」というものだ。

WordPressにまつわる『アップデート』の話
WordPress要件 - WordPress.org

この環境またはこの環境に近しい環境が利用できるのかはサーバー選択の際に非常に重要なのである。

基本的なサーバーの種類

基本的にサーバーはレンタルサーバーとクラウドサーバーとオンプレミスの自前のサーバーに分けられると思う。
オンプレミスに関しては特段の事情がない限り、新たに選択するということは考えにくいし、おすすめもしない。Webサーバーに関してはオンプレの環境持っていたとしても別管理してもいいくらいだ。

レンタルサーバーはサーバーインフラをホスティング会社が設定・管理しユーザーはWebサイトに関わる部分のみ設定を行う形のサービスである。
リソース共用型のものとリソース専有型のものがあり、共用型は同じサーバー内に他の契約者のWebサイトもホスティングされるため、その影響を受けることもある。

クラウドサーバーは仮想的に専用のサーバーを利用できるというサービスだ。基本的には自分でサーバーの構築を行う必要があり、メンテナンスも契約者が行わなくてはならない。
適切な運営を行うにはそれだけの知識と技術が必要になるのだ。
その分、リソースは専有することができ、スペックを変更することや複数台での構成を行うこともできるため、システムや規模に応じて柔軟に構成を変えることもできる。

レンタルサーバーを利用する場合の所感

基本的にはコーポレートサイトや初期段階のオウンドメディアなどはレンタルサーバーで問題ない。最近のレンタルサーバーは処理能力も表示速度も上がり、リソースの専有が出いるサービスを選べば、ちょっとやそっと処理が増えたところで特に問題はない。

しっかりWordPressに対して対応をおこなってくれているホスティング会社もあり、推奨環境やそれ以上の環境が利用できるようにしてくれているサービスもある。

たしかに昔はWordPressを利用するともっさり感が否めなかったレンタルサーバーも、今ではかなり快適に利用することができるようになっているのだ。
古くからWebに携わっている人はその先入観を捨てて利用するようにすればいいだろう。

場合によってはCDNなどと組み合わせることもできるため、本当に特殊な機能が必要な場合やアクセスが多すぎるような場合を除いて、WordPressで実装されるWebサイトの範囲ではレンタルサーバーで問題はないと言える。

クラウドサーバーを利用する場合の所感

ECサイトのように同時に複数の処理を行わなくてはならないような場合や、単純にアクセスが多くレンタルサーバーでは処理しきれなくなったような場合にクラウドサーバーを利用するのがいいだろう。

正直なところ、あえてWordPressで構築したいという強い要望がない限り、ECサイトはSaasを利用してWordPressと組み合わせるような設計にしたほうがいいと著者は考えてはいる。

また、クラウドサーバーを利用する場合はサーバーの利用料金とは別に、メンテンナスをおこなってくれる業者への支払いも考慮する必要がある。
自分のところでそういう技術者がいればいいのだが、都合よくそういう技術者はいない。

自分で構築やメンテナンスを行わなくてはならないため、定期的なアップデートや設定の変更なども予算を確保できるような体制が必要になる。
ここに予算が割けないということであれば、クラウドサーバーは利用すべきではない。

これを一切考慮せずにクラウドサーバーを利用し、一切のアップデートが行われず放置されているという例は非常に多い。

そもそもWordPressに適切な形に構築できる業者もそう多くはないため、見極めが必要になる。一般的なWeb制作会社や事業者はここの知識を一切持っていないことも多いため、クラウドを利用したい場合は気をつけなくてはならない。

Web制作会社が気をつけなければならないこと

レンタルサーバーにしてもクラウドサーバーにしても、自社が契約したサーバーを自社のサーバーサービスとしてクライアントに貸し出す際には、「電気通信事業者の届け出」が必要になる。

これをおこなっていない場合は、クライアントに直接契約をおこなってもらうほうが懸命だ。
そもそも、メールの扱いや契約の変更の際の手間を考慮すると、クライアントに直接契約をしてもらったほうが健全ではある。

また、クラウドやVPSの知識がないのに「なんとなく他でもやっているので」みたいな理由で導入するのはやめるべきだ。それはクライアントの運用なんてどうでもいいという意思表示に他ならない。
適切に対応できる会社を紹介するか依頼をすることをおすすめする。

そもそもサーバーを利用する必要があるのか

WordPressを利用するのにインストール型のものを利用する以外の選択肢もある。もちろん機能に制限はあったりするが、Saas型のWordPressのホスティングサービスを利用することもできる。
WordPress.com や Shifter などがそのサービスに当たるので、気になる場合は調べてみるといい。

また、他にも先ほども述べたように一部の機能のみSaasを利用するという手もある。
Shopify や Stripe はWordPresと組み合わせることとも積極的で、ドキュメントもプラグインも用意されている。
フォームなどもCRMと連動させたい場合、CRM側のフォームを埋め込むということも考慮に入れたいところだ。

まとめ

少なくとも、Web制作を生業にしている人は「なんとなく選んだ」ということがないようにしたいところだ。
途中で乗り換えるということも念頭に入れ、サービスの選択をしたい。

また、わからないので古いサービスを使い続けるというのも避けたいところではある。サービスの変遷や情報を収集し適宜適切なものを選択できるように心がけたいところである。

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