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WordPressのWeb制作を取り巻くライセンスの話

2021/11/21に公開

Web制作をやっていく上で避けて通れないのが、ライセンスに関するあれこれ。
わたしの観測範囲でも、よくわからないので適当にという風になっている例もちらほら見られる。
ないがしろにしていい部分ではないので、わたしがクライアントワークでいつも注意している部分を紹介する。

最初に結論

Webサイトを制作する上で、ライセンスというのは切っても切れないところにある。
WordPressを利用するのであればなおさらだ。

Webサイトの保守を請け負わない限り、Webサイトに利用するもののライセンスは、運営者(クライアント)に帰属するように取り計らわなければならない。

そもそも何にライセンスが?

あまり意識していないと気にすらしないかもしれないが、WordPressをはじめとしたオープンソースや便利なスクリプト、フォント、画像に至るまで、何らかのライセンスで管理されている。

「商用利用もできますよ自由に使ってください」というものや「このライセンスでは1サイトまでです」のように制限してあるものもある。

これらは開発者・クリエイターの利益を守るためのものなので、しっかりと確認した上でライセンスを守りつつありがたく利用させていただくようにしよう。

WordPressのライセンスとは

WordPressはGPLv2というライセンスを採用している。詳細な条項は公式サイトを見てほしい。
WordPress のライセンス – GNU General Public License –

と、紹介してみたものの、読んでもよくわからないというのが本音だろう。
すごく噛み砕くと、GPLは「自由に使っていいよ、ただし派生するプログラムは同じライセンスにしてね」ということだ。

WordPressにおいて派生するプログラムというと、プラグインやテーマが一般的なところである。少なくとも「配布」の範囲にあたる、公開・販売されているプラグインやテーマはGPLを採用しなければならないのだ。

Web制作における納品物(クライアントしか利用しないもの)に関しては、公開する必要はない。これは「配布」のは範囲に当たらないと解釈されるためだ。
もちろん、クライアントがそのテーマを売るというようなことをするのであれば、GPLを適用しなければならない。

有料プラグインやテーマのライセンスは?

WordPressの有料プラグインやテーマというのも存在する。
これらは基本的にGPLを守りつつ、最新版へのアップデートやサポートの権利をライセンスとして販売しているのである。

正直、それGPL違反してない?改変の自由とか?みたいなものもあったりするので、利用規約などは注意深く確認するといい。

WordPressコミュニティではそういうプロダクトを紹介しないように「100%GPL」の推奨をしている。
「100% GPL」とは - WordPress.org

詳しくはリンク先の公式サイトを見てほしいのだが、スプリットライセンスというものもある。
WordPressに帰属するPHPのみGPLであり、それ以外の部分は別のライセンスが採用されますよというものである。

これ自体は法律的に問題があるものではないが、コミュニティとしてはWordPressを広く便利に利用してほしいという観点から推奨はしていない。

個人的には、ここ最近のWordPressの進化を見ている限り、JavaScriptやCSSなどに関してもWordPressの独自の実装であるところもあり、プロダクトの範囲内であると考えられなくもないような気はしている。

それ以外に気をつけなければならないこと

Web制作をおこなっているとフォントや画像など、外部のものを読み込むようなケースがある。このような場合、ライセンスが誰に許可されたものなのかを確認しておく必要がある。
購入者のみ利用可能ということもあり、注意しなければならないのだ。

また、サイト数で許可されますよというようなライセンスでWeb制作会社が管理しているような場合、必ず保守契約は結ばなければならない。
売り切りだと、Web制作の事業者がライセンスを更新しなかったら、不正利用かそもそも利用ができなくなってしまう。

このようなことを避けるためにも、有料ライセンスの何かを利用するような場合は、運営者がライセンス管理をすることをおすすめする。

著者にもリニューアル案件で前のサイトと同じ動きを再現してほしいという依頼があり、実装部分を見たところ有料のスクリプトで制御されていたという経験がある。
もちろんクライアントはその部分に有料のものが利用されているとはしらず、代替のものを利用して実装し直したということがあったのだ。

気がついて良かった部分ではあるが、このような際にも注意深く見ていく必要があることを忘れてはいけない。

クライアントワークでのライセンスに関すること(2023/07/10追記)

WordPressの案件に限るが、個人的には「100%GPL」プロダクトを推奨している。
そのことに関しては、実例も含めたかったので自分のサイトでの公開とした。
気になる方は参考にしていただければと思う。

まとめ

Web制作をやっていると必ず関わってくるライセンスだが、結構適当に管理されてしまっている。
Web制作会社であっても、実装者個人が購入したライセンスで実装してしまっているというような例もあったりする。

セキュリティと同様「動けばいいや」で実装してしまうと、クライアントの不利益が生じてしまうこともあるので、注意しなければならない。

また、WordPressに関していえば、テーマやプラグインのライセンスは結構怪しいものも多いので、Web制作を依頼する側も注意深くチェックする必要があるのだ。
個人的には「100%GPL」であるものをおすすめする。

少なくとも、これを読んで「やっべ、なんにも気にしたことなかった」というひとは、自分が利用しているテーマやプラグイン、スクリプトなどのライセンスを調べてみるといいだろう。

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