database/sqlパッケージの複数のQueryメソッドについて
database/sql
パッケージのQuery
,QueryContext
,QueryRow
,QueryRowContext
メソッドは、SQLクエリを実行するための異なる関数ですが、それぞれ使用するシナリオが異なることを意外と忘れがちなので、説明を残します。
予習
この手のメソッドを活かすためにも、context
、sql.Rows
が何なのかを理解しておくことが良いと思うので追記しておきます。
context
context
は、Go言語の標準ライブラリで提供されるパッケージで、リクエストやプロセス全体を通してデータを渡したり、実行中の操作をキャンセルしたり、タイムアウトを設定したりするための仕組みを提供します。context
をデータベースクエリに使用するメリットは以下の通りです。
- タイムアウト制御:データベース操作に時間がかかる場合、設定したタイムアウト時間が経過すると自動的にその操作を中断させることができる。これにより、システムリソースの無駄遣いを防ぎ、アプリケーションのレスポンス性を向上させることができます。
- キャンセル可能:ユーザーからの新たなリクエストや、他のイベントによって、現在実行中の操作が不要になった場合、その操作を途中でキャンセルすることができます。これにより、不要な処理を早期に終了させ、効率的なシステム運用が可能になります。
- リクエストスコープの値の受け渡し:リクエストを処理する際に、認証情報やリクエストなどの情報を
context
を通じて関数やメソッド間で簡単に受け渡すことができます。
*sql.Row & *sql.Rows
sql.Rows
は、Scan
メソッドを使用してデータベースからのクエリ結果を読み取り、変数として割り当てます。ただし、sql.Rows
は複数行の結果を取り扱うことができる点で、sql.Row
と異なります。そのため、sql.Rows
オブジェクトを使用する際は、通常結果セットを反復処理するループ内でScan
メソッドを呼び出します。
Query
Query
メソッドは、1つ以上の結果行を返すSQLクエリを実行するために使用されます。このメソッドは、*sql.Rows
を返し、この結果を通じて複数行を反復処理することができます。
rows, err := db.Query("SELECT id, name FROM users")
if err != nil {
// エラー処理
}
defer rows.Close()
for rows.Next() {
// 各行の処理
}
QueryRow
QueryRow
メソッドは、単一の行の結果のみを期待するクエリを実行する際に使用されます。このメソッドは、*sql.Row
を返し、この結果から.Scan()
を呼び出して単一の結果を取り出すことができます。
var name string
err := db.QueryRow("SELECT name FROM users WHERE id = ?", 1).Scan(&name)
if err != nil {
// エラー処理
}
QueryRowContextとQueryContext
これらの関数はそれぞれQueryRow
とQuery
のバリアントであり、追加の引数としてcontext.Context
を取ります。Context
を使用することで、リクエストのタイムアウト、キャンセル、データベース操作の実行中に追加の情報を渡すことができます。これは、長い実行時間を持つクエリや、リクエストのライフサイクルがアプリケーションの他の部分と密接に結びついている場合に有効です。
ctx, cancel := context.WithTimeout(context.Background(), 1*time.Second)
defer cancel()
var name string
err := db.QueryRowContext(ctx, "SELECT name FROM users WHERE id = ?", 1).Scan(&name)
if err != nil {
// エラー処理
}
まとめ
要約すると、Query
,QueryContext
は複数行の結果行を処理するために使用され、QueryRow
,QueryRowContext
は1行のみの結果を期待するクエリにしようされます。context
があるものは、クエリの実行にコンテキストを適用する能力が追加されています。
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