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アドベントカレンダーをLLMで書くくらいなら何も書かない方がいい。

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はじめに

これから話すのは地雷の話で、踏むまではそれを知らない人もいるが一発の被弾が致命傷になる話だ。

誰も話してくれないが、静かに起こっているアウトプットへの変化、そのムードについて書く。

ムードなので定量的な話ではないが、その辺は差し引いて意見の一つとして読んで欲しい。

「アウトプット最高!」の時代

Qiita、はてなブログ、Zennなどに書くのが当たり前の時代。書けば書くほど褒められる、というのが当たり前だった。量的な物の代表格として一人アドベントカレンダーという、12月に25本連続で記事を書くものを称賛する空気もあった。

アウトプットの質自体を問われることは実はなかった。初心者も入れるように裾野を広げることは正しいし、内容のレベルによる足切りにはムーブメントを盛り下げるデメリットしかなかった。

みんなで書けば所属企業のプレゼンス向上にも繋がるとして企業主導のテックブログが盛り上がり、技術広報などの概念も今では当たり前になった。

LLMによる量的ハック

この「レベルを問わない量的な世界」をLLMでは簡単にハックできてしまう。実のところハックできること自体は検索の邪魔になるだけなのだが、致命的な問題は以下の2点だ。

  1. 大量の文章を読まされた割に観点がまばらで抽象的で、得られる内容が少なく「読んでも仕方なかったな。」という感想を読み手が持つこと。

  2. ナレッジカットオフ時期などの理由で誤った内容が含まれているものの、文章の体裁が整っておりファクトチェックが難しく読み手に実害を与えてしまうこと、または有識者が見れば「尤もらしいウソを書いている」と一目瞭然に思われること。

量的ハックは結果として、読み手たちへ「LLM臭い文章はクソだ」というバイアスを強化した。LLMで書かれた文章であると気づかれる(それが本当にそうでないのに!)と、あなたの文章は何もしていないのに質が低いとみなされ、あろうことか書き手側の「質」までも落とされてしまう。

「質」を上げようとならない理由

量的ハックと戦うには質を上げればよく、質の低いものを糾弾すればいい。とはならない。当たり前だ。初心者が来れば来るほどアウトプットの輪が広がり、技術コミュニティは勢力を拡大し、企業は自社の技術力をアピールでき、転職エージェントも業務情報以外での評価軸で売り込める。そもそも個人の著作を指して指摘すれば、最悪の場合、誹謗中傷としての訴訟リスクが残る。そうでなくても不要な戦い、またはそのきっかけとなるようなトリガーは無くそうというのが近代的な価値観であり、世界は基本的に綺麗になっている。地雷は埋まったまま。

なぜLLMでの執筆が地雷になり得るのか

当たり前だがLLMを使ったから品質が低い、ということにはならない。私も積極的に使うべきだと思っているし、結果として質が良ければ手段などどうでもいいと思っている。思っているが、LLMでのミスは過剰に指摘されるのが2025年の現実だ。まっとうに読んでいる、あるいは書いているという矜持を持つ者からしてみたら腹が立つ、という心の動きについてはどうしようもならないのだろう。

ちなみにこの地雷について大きな組織、例えば採用・広報・各種プラットフォームから個人に対し、指摘や言及がなされることはしばらく無いだろう。理由は各自で考えて欲しいが、要は書き手側で身を守るしかないのである。

結論をいうと「LLMでのミス」を避けることで、個人のキャリアを守ることが出来る。一番シンプルな対策はレビューや調査にのみ使い、執筆には使わない。ただそれだけだ。大抵の人間は文体や語彙、論理展開を自在に調整することはできない。魔女狩りのようで不愉快ではあるが、しばらくはワークアラウンドとして受け入れるしかないだろう。

ガイドライン例

あなたがもし、誰かに記事を書かせる側の立場にいる場合、周りのメンバにこのような内容を伝えても良いかもしれない。5分で書いたので人に向ける表現でないものが混じっています。LLMを使って柔らかい表現に置き換えてください。

直接AIを用いた執筆は原則しないでください。

- 主な理由として、ファクトチェックが未検証の誤った内容が出力されるリスクがあり、また過剰な文章量で読み手に負荷をかけ反感を買う恐れもあります。
- 文章量や件数稼ぎに使うのはマイナスポイントにしかなりません。書かない方がマシです。AIが使える「だけ」なら当たり前のスキルなので何のアピールにもなりません。
- どんなに適切な文章に見えても、日常的にweb上の文章を読んでいるユーザからするとわかる癖があります。その癖を理解して回避していると強く言い切れるまでは、原則的に利用しないことを推奨します。
- 定量的な話ではなく恐縮ですが、AIで書かれていると読み手に感じられると評価が下がる傾向にあります。

まとめ

「書けば偉いの時代は静かに終わっていて、LLMの臭いをさせた時には対象を糾弾してよい。」これが今のルールだ。好む好まないとは関わらず、ルールなのだから仕方がない。むろん私は、このルールが嫌いだ。

Discussion

Rё∀Lβios(アルビオン)Rё∀Lβios(アルビオン)

毎日、何が入っているかというワクワク感を楽しむのが醍醐味って、いうのがアドベントカレンダーの意義であって、
それはつまり、新しい知見や既存でも異なった見識など、新たなものに出会うきっかけのイベントでしかないから、「似たり寄ったりな文章をずらずら長々と書かれても誰も見向きもしないよ」ってことでしょうね。
ただ、伝え方や文の体裁、表現方法として、AIによる提案を受けるまではアリ位な感覚で。