歴史的農業環境閲覧システムのこれまでと、これからについて
この記事は、History Tech Advent Calendar 2024、12月8日分の記事になります。はい、8日に一生懸命書いてますw
ただ、すみません、ちゃんと記事を書こうとすると結構考え込んでしまうので、思い出話をつらつら書いていこうと思います。
まずは、歴史的農業環境閲覧システムと迅速測図について。こちらは、「地図とか路線図とか」出版記念イベントで、発表させて頂いた時の資料が、作った当時の話と、現状を含めてわかりやすいかなと思います。
ここで書いているように、主なコンテツンとしては、迅速測図を閲覧できるWebサイト、迅速測図の図郭の外に書いてある視図や断面図をGoogle Earth上で表示するためのKMZファイル、それから、100mグリッドで迅速測図の土地利用を読み取った、明治時代初期土地利用・被覆デジタルデータベースになります(そのWeb表示)。
最初のWeb版が公開されたのは、2008年4月21日でした。当時のプレスリリースとか、Internet Watchの記事を見ると、随分懐かしく思います
研究としての中身は、FOSS4Gを用いた歴史的農業環境閲覧システムの構築を見ていただければと。当時はまだ、個人(といっても、研究でしたが)でこうしたWeb Mapサービスを作ること自体が珍しく、そうした意味でも、先駆的(技術的には、先進的ではないw)なものだったと思います。過去の地形図をWebで見られるようにしたという意味でも、今昔地図に次ぐものだったかなと、思います。
旧版地形図については、日本版 Map Warperさまでスタンフォード大学の旧版地形図が幾何補正されましたし、閲覧のみとはいえ、国土地理院の地形図・地勢図図歴で閲覧が可能になったので、随分と変わってきたなぁ、と思います。
また、個人がWeb地図サービスを作るという点では、歴史からは離れてしまいますが、Ground Interfaceさんの川だけ地図、ひなたGISとopen hinata、全国Q地図と、沢山のサービスが、出てきました。
私が、OpenLayersのコードを見様見真似で書いたのと違って、ちゃんとした技術を持っている方が、ちゃんとWeb Mapとして提供してもらえるようになったのは、とてもありがたいです。ええ、特にopen hinataは講義でもがっつり使わせていただいておりますw
最後にちょっと、今後について。
一つは、せっかく鳥取、というか中国地方に来たので、こちらをフィールドとしてなにかできないかなとは、思ってます。前述の100mグリッドは、日本全国を概ね100mグリッドでカバーできるように作ってあるので、ぜひこれの中国地方版を作れればとw(野望は壮大w)
もう一つは、データの今後です。
私自身も前職を退職し、大学に移ったわけですが、元々のデータをCC BY 2.1 JPで公開していたので、引き続き使用することができます。個人でやった作業とはいえ、業務としての研究の一環ですので、無断に使用することはできません。オープンデータとして公開することを認めてくれた、農環研には感謝するばかりです。
また、最近、若くして他界してしまったという悲しい知らせを聞くことも増えました。実際に、亡くなってしまった方々のコンテンツを、どう引き継ぐかという課題も生まれています。
システムは10年、データは100年と、尊敬する方が仰ってました。私も迅速測図を使わせてもらいましたが、140年前の地図です。これからは、自分がいなくなったあとも、データを使ってもらえるようにしておくことが重要なのではないかと、思っています。
そんなこといって、そういうのに限って長生きするとは思いますがw
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