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Create React App の非推奨化について
Create React App(CRA)とは
Create React App(CRA)は、2016年にMeta(旧Facebook)によって開発されたReactアプリケーションの開発環境を迅速にセットアップするためのツールチェーンです。
webpackやBabelなどの複雑な設定を隠蔽し、開発者が即座にReactの開発を始められるように設計されていました。
% npx create-react-app my-app
% cd my-app
% npm start
このシンプルなコマンドで、本格的なReactアプリケーションの開発環境が整う手軽さから、多くの初心者から上級者まで幅広く利用されてきました。
非推奨化の背景
2025年2月14日、React公式ブログにてCreate React Appの非推奨化が正式に発表されました。
主な理由は以下の通りです:
1. メンテナンスの困難さ
- 複雑なビルドチェーンの抽象化により、内部の問題解決が困難
- webpackやBabelのアップデートに追随するのが困難
- セキュリティパッチの適用に時間がかかる状況
2. 現代的な開発ニーズとの乖離
- Server-Side Rendering(SSR)やStatic Site Generation(SSG)への対応不足
- モダンなJavaScript機能への対応の遅れ
- TypeScriptサポートの限界
3. エコシステムの進化
- より高性能で柔軟性の高い代替ツールの台頭
- 開発者のニーズの多様化
- ビルドツールの高速化技術の進歩
推奨される代替ツール
Reactチームが推奨する代替ツールは以下の通りです:
1. Next.js
npx create-next-app@latest my-app
2. Remix
npx create-remix@latest my-app
3. Vite + React
npm create vite@latest my-app -- --template react
4. Gatsby
npm init gatsby
既存プロジェクトの移行ガイド
1. Next.jsへの移行
- 新しいNext.jsプロジェクトの作成
npx create-next-app@latest my-new-app
- ファイル構造の調整
-
src/pages/
ディレクトリにコンポーネントを移行 -
public/
ディレクトリの静的ファイルをコピー
- ルーティングの変更
- React Routerからファイルベースルーティングへ移行
2. Viteへの移行
- 依存関係の更新
npm install vite @vitejs/plugin-react
- 設定ファイルの作成
// vite.config.js
import { defineConfig } from 'vite'
import react from '@vitejs/plugin-react'
export default defineConfig({
plugins: [react()],
})
- package.jsonスクリプトの更新
{
"scripts": {
"dev": "vite",
"build": "vite build",
"preview": "vite preview"
}
}
注意点とベストプラクティス
移行時の注意点
-
環境変数の命名規則変更: Next.jsでは
NEXT_PUBLIC_
、ViteではVITE_
プレフィックスが必要 - 絶対インポートの設定: プロジェクトごとに設定方法が異なる
- ビルド出力の違い: 各ツールで出力形式やディレクトリ構造が異なる
新規プロジェクトでの選択指針
- 本格的なWebアプリケーション: Next.js
- シンプルなSPA: Vite + React
- 静的サイト: Gatsby
- Web標準重視: Remix
まとめ
Create React Appの非推奨化は、Reactエコシステムの成熟と進化を示す重要な転換点です。
より高性能で柔軟性の高い代替ツールが豊富に存在する現在、プロジェクトの要件に応じて最適なツールを選択することが重要です。
既存のCRAプロジェクトは引き続き動作しますが、セキュリティアップデートやバグ修正は期待できないため、早期の移行を検討することを強く推奨します。
移行は一見複雑に見えますが、各ツールが提供する豊富なドキュメントとコミュニティサポートを活用すれば、スムーズに進めることができるでしょう。
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