米国ブレークイーブンインフレ率と戯れる
きっかけ
強Botterよしそさんによると、ブレークイーブンインフレ率というのがBTC価格に影響を与えているかもしれないらしいです。今まで使おうと思って手をだしていなかったpandas_datareaderの練習がてら、確認してみることにしました。
ところでブレークイーブンインフレ率ってなんですか
困った時はWikipediaを読むのがよいですね。
ブレーク・イーブン・インフレ率 = 国債の利回り - インフレ連動国債の利回り
例えば、10年後1万円が返済される長期債が6139円で取引されていたとする。この場合、名目金利は年率は5%となる。一方で、10年後の返済額が「インフレ調整現在価値で1万円」であるインフレ連動債が7441円で取引されていたとする。この場合、実質金利は年率3%となる。この5%と3%の差は2%(実際は除算なので1.94%だが、減算でも近似値が出る)となる。つまり、金融市場は10年間の間に年平均2%のインフレが起きると想定していることになる。
このようにして、金融市場から得られる情報により、インフレ率に対応するための適切な金融政策を採用できる。
なるほど。期待インフレ率は消費者にアンケートを取って集計した将来のインフレ率予想、ブレークイーブンインフレ率は、債券取引をしているプロによる将来のインフレ率予想ということですね。なんかこっちのほうが精度高そうです。
やること
- pandas_datareaderを使って10年ブレークイーブンインフレ率の日次推移をダウンロードします
- ブレークイーブンインフレ率とBinanceのBTCUSDT永久先物のクローズ価格を時系列でプロットして様子を見ます。
- ブレークイーブンインフレ率の差分系列と、BinanceのBTCUSDT永久先物のクローズ価格の対数変化率の相関関係をプロットして、ICを確認します。これを1時間足、日足、週足の3つでやります。
- 対象期間は2020-01-01から2022-11-03までです
コード
1時間足用のコードはこちらです。
日足、週足用のコードはこちらです。
結果
1時間足
なんとなくブレークイーブンインフレ率が上がるとBTCUSDTの価格が上がり、下がると下がる…みたいな関係があるようなないような? 散布図を見ないとわかりません。
散布図では…ほとんど相関がありません。おかしいなぁ。
日足
こんどは日足で散布図を作ってみます。IC=0.0513となり、かなり大きな値になってきました。やはり日次のデータは日次のデータと組み合わせて使うのがいいんでしょうか。
週足
こんどはよしそさんおすすめの週足です。外れ値に引っ張られている感じもありますが、ICは0.1296と相当高い値になりました。
おわりに
今回pandas_datareaderを初めて使ったのですが、色々なマクロ指標を取るのに簡単で便利だということが確認できたので、MLモデルを作る時には積極的に使っていきたいと思います。ダウンロードできるデータの種類がかなり多いので、何らかの自動化ができたら良いなと思いました
今回、最初は1時間足で相関を見ていい結果がでなかったのですが、よしそさんに週足だと傾向がはっきりすると言われてやってみた所、日足、週足と観測区間を増やすにつれて傾向がはっきりしてきました。ブレークイーブンインフレ率は1日分ずらして計算いるので、リークはしていないはず…。
この指標は、変化が起こってから効果が発揮されるまで、時間が結構かかる…ということなのかな?
時間間隔が広がることでノイズの影響が減るとかそういう意味もあるのかも。
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