JSTQB FL合格への道
JSTQBって?
正式名称は「Japan Software Testing Qualifications Board」
その名の通り、ソフトウェアテストに関する資格試験です。
大きく分けて、Foundation Level(FL)、Advanced Level(AL)があり、今回取得したのは前者です。
合格率
70%台です。以下のページで公開されています。
システムエンジニアの登竜門と言われる基本情報技術者が2024年秋期で39.2%なので、比較してもかなり高め。
受けてみた実感も難易度はかなり易しく取りやすい試験です。IPAの試験は複数回受験することもありましたが、JSTQB FLは一発で合格できました。
ただし、次のレベルとなるAdvanced Levelの合格率は30%台まで落ち、難易度が上がることが分かります。
なぜ取ろうと思ったのか
品質保証をメインとする企業に転職したこともあり、上司からJSTQBの存在を教えてもらいました。
日々業務をこなす中で、自身にまだまだテスト/品質保証面の基礎知識が足りないことを実感し、受験に至りました。報奨金と受験料出るし。
テストって資格試験にするほど?
QAという概念やそういった機関/チームがあることは理解していましたが、前職の感覚では正直なところソフトウェアテストだけで切り出して試験にするほどの重要性やその需要が理解できませんでした。
現にIPAにもそのような試験区分はありません。システム監査が近いかもしれませんが。
この認識は、1社目である前職での経験にも原因があると思っています。
ほかの開発現場は分かりませんが、前職ではリソースの関係から「開発期間確保のためにレビューやテスト期間とボリューム削るぞ!」と品質を犠牲に納期に間に合わせる判断になることも多く、私もそれに染まっていました。
これが航空システムや金融システムなど1つの欠陥が社会に多大な影響を及ぼすシステムならあり得ない判断ですが、そういった業種向けのシステムではなかったので、自然とそういう意識になっていたんですね。
JSTQBはそういった意味でもとてもいい意識改革になったと思っています。
勉強方法
結論から書くとテス友を繰り返し解き、間違えた箇所や分からない箇所を公式シラバスで補うが個人的な最適解です。
公式から過去問が公開されていないため、参考書や下記のテス友の収録されている問題は、全て"本番っぽい問題"というだけで、実際の問題には本試験で触れることになります。
以下、それぞれの説明です。
公式シラバス
試験範囲は公式に掲載されているシラバスになります。それ以上でも以下でもありません。
問題点はテキストの言い回しが独特なこと。すんなりと頭に入ってこない表現が多いです。繰り返し読み、自分なりに解釈する必要があり、IT業界経験者であっても1周読むにもかなりのカロリーを消費します。
JSTQBは国際資格ISTQBの日本版なので、母体のシラバスを翻訳した結果、独特な言い回しになっているのだと思います。もちろん、直訳ではなくそれなりの調整をかけて読みやすくしたものと思いますが。
テス友
IPAの試験では過去問道場にお世話になった方も多いと思いますが、それのJSTQB版。
過去問道場ほどリッチな作りではありませんが、以下の点が優れています。
- テス友上での過去の正答率が閲覧できる
- アプリ上から公式シラバスが閲覧できる
- 1問毎に解説と公式シラバス内の該当章への導線がある
- 動作が軽い
ソフトウェアテスト技法 練習帳
公式シラバスは概念の説明のみで、いまいち入ってこなかったので買いました。
ただ、JSTQBに合格という目的を達成するのであれば、公式シラバスとテス友で十分でした。
本番の問題でも、実際に境界値分析やデシジョンテーブルが必要になってくる場面があるので、さらに補強したい方にはお勧め。
本試験を受けた感想
シラバスは読みにくかったですが、問題文にはその読みにくさを感じませんでした。
ただ、テス友の問題文と雰囲気は違っているので、テス友を信用しすぎると1問目から焦ってしまうかもしれません。
テス友の問題の暗記を目的にしてしまうと、テス友の問題文の初めの数文字から答えを導き出せてしまうクイズ王的な覚え方になってしまい、問題文を理解しないままになります。テス友で勉強する際は、問題全文を通して何を問うているのかを意識し、しっかりと理解して覚えるようにしましょう。
計算問題が数問出題されましたが、三点見積り((悲観値+4×最頻値+楽観値)÷6)のようなシラバス記載の公式を使用するものではなく、一般的な数学の知識で解答可能でした。
試験後、3,4日ほどで合否が分かります。数ヶ月単位で待たされる試験もある中で心理的負担が少なく良心的です。
さいごに
何かと軽視されがちなテストですが、JSTQBを受けたことやそこまでに至る学習の中で改めて重要性を認識しました。
受験料が22,000円とそれなりのお値段がしますが、会社から補助がもらえるようであればぜひ受験してみてはいかがでしょうか。
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