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アジャイルプロジェクトの始まりにプロジェクト憲章を活用しよう

2023/06/16に公開

初めに

こんにちは、バックエンドエンジニアのミックです。前職ではXPでコーチのような事をしていました。
私たちの会社では、約1年前からアジャイル開発を導入し、今年も大規模なプロジェクトに取り組んでいます。
プロジェクト開始するにあたってに利用するインセプションデッキと言う手法、アジャイルサムライにも登場しているので知ってる人も多いと思いますが、最近のプロジェクトで使う機会があったので、今回はプロジェクト憲章について紹介してみます。

プロジェクト憲章

プロジェクト憲章は、PMBOKなどに記載されていますが、プロジェクトの目的や目標、チームのルールや役割など、基本的な取り決めををまとめた文書です。
端的に言えば企画書ですが、まとめる内容としては、大きく分類すると以下のように分けられます

Why:どうしてこのプロジェクトをやらなければいけないのか
What:このプロジェクトでは何をやるのか
How:どうやってこのプロジェクトを進めるのか

プロジェクト憲章を作成する際は、細かな違いやどこまで書くのかについての違いはありますが、大体以下のような情報を記載します。
1.目的や目標
2.スコープの定義
3.条件
4.スケジュール
5.予算
6.リスク
7.関係者

このプロジェクト憲章は、本来は、PMが決まる前段階くらいで作成するので上級の管理者によって作成されるものであり、承認者の承認を持ってプロジェクトを開始する流れなります。
これは言うなれば、マグナ=カルタのようなもので、こう言ったプロセスを挟むことによって、プロジェクト開始前後の意思疎通のスムーズにし、後から出てくるプロジェクトの進行を妨げるような横槍を防ぐ事ができると言うような効果もあったりします。

チームでどう使う?

責任範囲が分割され、曖昧さがあるアジャイル体制においては、承認に関してどこまで厳格さを適用するかは場合によりますが、特に速さを重視するアジャイルやスタートアップでは、プロジェクト開始後にこう言った意思疎通を図るための情報を都度、現場レベルでまとめる必要がある場合もあり、ある程度固まっているWhy・What・Howを整理し、まとめるためのフォーマットとしてプロジェクト憲章は役立ちます。

一方、プロジェクト憲章をまとめる中で、項目が空欄になるような部分が出てくることがあります。
Whyが抜けていたり、Howが抜けていたり、と言うような具合です。そう言った場合には、インセプションデッキのようなワークを使うと関係者間でのコミュニケーションによって認識を合わせる手助けになります。

インセプションデッキ

インセプションデッキは10個の質問と答えから構成されます。

我われはなぜここにいるのか(Why1)
エレベーターピッチを作る(Why2)
パッケージデザインを作る(Why3)
やらないことリストを作る(Why4)
「ご近所さん」を探せ(Why5)
解決案を描く(How1)
夜も眠れなくなるような問題は何だろう(How2)
期間を見極める(How3)
何を諦めるのかをはっきりさせる(How4)
何がどれだけ必要なのか(How5)

インセプションデッキの大きな特徴は、1つの質問が1枚のカードで構成されていることと、コミュニケーションを重視していることです。ワークショップで10個の質問に答えるだけで、メンバーと顧客がプロジェクトの方針と概要を理解し、また関係者それぞれの期待値のすり合わせができます。

プロジェクト憲章に書かれる内容とインセプションデッキの質問を比較すると、2つはほぼ対応しますが、プロジェクト憲章は、責任や調整についての情報が少し多く、インセプションデッキは、技術的な解決策にフォーカスしている部分があったりもします。

インセプションデッキは基本的にプロジェクトの開始後に関係者での認識を合わせるためのものであるのがより明確に見えてきますね。

終わりに

プロジェクト憲章は、PM視点寄り、インセプションデッキは開発メンバー視点寄りとも捉えられますが、アジャイル色が強く、特有のラフさがあるインセプションデッキは、アジャイル開発経験に大きく馴染みがない関係者に見せるには抵抗がある場合もあります。

こう言った場合にもプロジェクト憲章は活用できるので、2つを組み合わせて、プロジェクトの概要や進め方の認識を合わせ、目的に向き直るための情報整理にぜひ活用してみてください!

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