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Redmine 6.0のデフォルトテーマ改善によって役割を終えつつある farend_basic テーマ

2024/12/02に公開

2024年11月にリリースされたRedmine 6.0.0ではデフォルトテーマが改善されました。デフォルトテーマに大きな変更が加えられたのは2007年にリリースされたRedmine 0.6.0以来17年ぶりです。主な改善内容は以下の通りで、これらの改善によって少しモダンな雰囲気になり、またテキストの読みやすさが大きく向上しました。

その一方で、Redmineのデフォルトテーマが改善されたことで、私が2010年に公開した読みやすさを改善するためのテーマ「farend_basic」は必要性がかなり低くなったと感じています。このことは私自身は決してネガティブには捉えておらず、むしろRedmineの画面が改善された成果であり喜ばしいことだと思っています。

この記事では、Redmine 6.0.0でのデフォルトテーマの改善をfarend_basicテーマと比べながら紹介します。

Redmine 6.0.0の改善されたデフォルトテーマ

Redmine 6.0.0ではデフォルトテーマに対して主に以下の改善が加えられました。これらの変更によりデザインが少しモダンな雰囲気になり、そしてテキストが読みやすくなり、見た目の印象がかなり良くなりました。改善内容の詳しい内容は、私が会社のブログで書いた記事「来るRedmine 6.0でのデフォルトテーマの改善状況:見やすく、読みやすく」で確認いただけます。

  • アイコンをベクターフォント(Tabler Icons)に置き換え (#23980)
  • ヘッダ背景にグラデーションを追加 (#41266)
  • ボックスの背景色・ボーダースタイルを調整 (#41298)
  • フォントサイズ拡大とNoto Sansフォント導入によるリーダビリティ改善 (#41321)
  • テーブルの行にボーダーを追加することによるリーダビリティ改善 (#41475)
  • テーブルの奇数行と偶数行の背景色を入れ替え (#41500)


Redmine 6.0のチケット一覧画面


Redmine 5.1のチケット一覧画面

farend_basicテーマ

farend_basicは私が2010年3月に作成・公開したテーマです。

日本語環境で読みやすいRedmine用テーマ「farend basic」公開

日本語環境での見やすさを改善することを目的に作成しました。作成にあたっては、デフォルトテーマの雰囲気を大きく変えず細かな調整に留めることも意識しました。これは、デフォルトテーマからの置き換えやすさを狙ったものです。雰囲気が大きく変わらないので、利用者に予告なくデフォルトテーマからfarend_basicに切り替えても利用者からの問い合わせが発生する可能性を抑えることができます。

具体的には以下のような改善が行われています。

  • ¥記号を正しく表示
    日本語フォントを優先して使用するよう設定を行いました。これにより、¥記号がバックスラッシュとして表示されていた問題が解決します。
  • 文字色を読みやすく調整
    文字と背景のコントラストを高めて読みやすくするために、文字の色を全体的に見直しました。
  • フォントサイズの調整
    本文と一部メニューの文字の大きさを大きくしました。
  • 優先度に応じたチケットの色分け表示
    チケット一覧画面において優先度に対応した色分け表示を行うための設定をRedmine標準添付のAlternateテーマから取り込みました。
  • 期限が超過したチケットを色付きで表示
    チケット一覧画面において期限が超過したチケットをオレンジ色で表示するよう変更しました。
  • 自分の名前を太字で表示
    チケット一覧画面において担当者・作者欄の自分の名前を太字で表示するよう変更しました。


farend_basicテーマを適用したRedmine 5.1のチケット一覧画面

読みやすさという観点での両テーマの比較

farend_basicの最も重要な機能はテキストの読みやすさを改善するということです。読みやすさという点では、Redmine 6.0.0のデフォルトテーマはfarend_basicよりも読みやすいと感じます。

まず、farend_basicの本文フォントサイズは13pxです。これでも旧デフォルトテーマの12pxよりは大きいのですが、新デフォルトテーマはさらに大きな14pxです。読みやすさについてはこの点だけでデフォルトテーマが大幅に有利です。また、farend_baiscで行われている行間や見出しフォントサイズの調整は、内容は異なるものの新デフォルトテーマでも行われており、旧デフォルトテーマと比較するとかなり見やすくなっています。

読みやすさという点においては、新デフォルトテーマは十分読みやすく、読みやすさの改善だけが目的であればもはやfarend_basicテーマを使う必要性は低いのではないかと思います。

新デフォルトテーマで実現されていないfarend basicの機能

読みやすさという点では大きく改善されたデフォルトテーマですが、farend_basicの以下の機能は実現されていません。これらを重視するのであれば、引き続きfarend_basicは選択肢として検討の余地があります。

  • ¥記号を正しく表示
    ¥記号がバックスラッシュとして表示されるのを防ぐ
  • 優先度に応じたチケットの色分け表示
    Redmine標準添付のAlternateテーマと同様にチケット一覧画面において優先度に対応した色分け表示を行う
  • 期限が超過したチケットを色付きで表示
    チケット一覧画面において期限が超過したチケットをオレンジ色で表示
  • 自分の名前を太字で表示
    チケット一覧画面において担当者・作者欄の自分の名前を太字で表示

これらのうち、「優先度に応じたチケットの色分け表示」と「自分の名前を太字で表示」は今後のデフォルトテーマの改善として検討の余地がありそうです。

今後もデフォルトテーマを改善していきたい

先ごろリリースされたRedmine 6.0.0では長年変化がなかったデフォルトテーマの改善にようやく取り組むことができました。これまでRedmineの画面デザインは残念ながらネガティブな評価を受けることが多く、Redmineの普及に影響が及んでいた可能性があります。

Redmineをより多くの人に使ってもらえるよう、今後画面の見た目やユーザーインターフェイスの改善に力を入れていきたいと思います。

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