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プロトタイプ開発で革新的プロダクトを生み出す!実践的アプローチ

2024/07/05に公開

はじめに:PdMの苦悩とプロトタイプ開発の可能性

viagate株式会社でエモミルリサーチのプロダクトマネージャーをしている新冨です。プロダクトマネージャやエンジニアの皆さん、こんな悩みありませんか?

  • 顧客が本当に欲しがるプロダクトが作れない
  • 顧客インタビューと実際の使用感にギャップがある
  • 開発を進めるうちに角が取れたプロダクトになってしまう


角のとれたプロダクトになる例

これらの課題を解決する強力な武器が「プロトタイプ開発」になると思っています。
本記事では、プロトタイプ開発の魅力と実践方法を紹介します。

プロトタイプ開発とは?

プロトタイプとは、製品の初期バージョンを試作し、アイデアを具体化するモデルです。主な目的は:

  • アイデアの実現可能性を検証する
  • ユーザーからの早期フィードバックを得る

一方、製品版は完成度、保守性、拡張性を重視した最終的なプロダクトです。

プロトタイプvs製品版の違い

プロトタイプ 製品版
目的 概念検証、ユーザーフィードバック収集 完成度の高い製品提供
開発速度 高速 低速
保守性 低い 高い
拡張性 低い 高い
リリース対象 社内・限定ユーザー 全ユーザー

プロトタイプ開発の3つの大きな利点

爆速開発が可能

  • 既存の技術スタックや仕様に縛られない自由な開発
  • 生成AI(ChatGPT、Claude等)を活用し、アイデアを即座に形に
  • 適切なツール選択でさらなる開発速度向上

ユーザーニーズの正確な把握

  • インタラクティブなプロトタイプでリアルな使用感を提供
  • より正確で具体的なフィードバックを獲得

製品版開発の効率化

  • プロトタイプで検証済みの機能に絞り込み
  • 開発リソースを品質向上に集中投下

製品開発とプロトタイプ開発の使い分け

顧客やBiz側の要望が出てきたときに、製品開発として作るかプロトタイプ開発として作るかの判断が発生します。以下の基準で使い分けます。

ポイントは「不確実性の度合い」です。「絶対に売れる!」という確信がある場合は製品開発、「すごそうだけど、どうかな?」というアイデアはプロトタイプ開発が適しています。

プロトタイプ開発を組織に根付かせる4つの方法

プロダクトロードマップにプロトタイプ開発を組み込む

弊社のロードマップでは、開発トピックを以下に分類しています。
このうち1.Discoveryにプロトタイプ開発で開発していく内容を記載しています。

  • 1.Discovery:発見(プロトタイプ開発)
    • プロトタイプ開発を活用し、試してみないとわからないものを簡単に試す
  • 2.Delivery:提供(製品開発)
    • 顧客が試せるようにエモミルアプリ、エモミルリサーチとして提供
  • 3.UX最適化:顧客体験(製品開発
    • 顧客の利用方法に合わせて最適な体験へと作り込む

プロダクトマネージャー自らが開発する

これが肝だと思います。プロトタイプ開発が有効であることについて。色々と理由を並べてもその有効性について疑問を呈されることが多いと思います。そんな時は、PdM自らが開発を行なってプロトタイプの有効性を示していきましょう。私もエンジニア実務経験が0からスタートしました。頑張りましょう💪

1テーマ1人体制を基本とする

走りながら考えるという姿勢が大事です。経験上、関わる人数が増えるほどアイデアは丸くなってしまう可能性が高まると思います。コンセプトレベルでプロトタイプで作るものをBizチームと合意したら、作り切りましょう!!
ただ、全てをフルスクラッチで作るのは非効率なので、プロトタイプチーム内で共通で使えるコンポーネントを作ったりしています。

営業が使いやすい環境を整備

開発者が営業側の依頼を元に動かすという方法もあると思います。私もBiz側の依頼を元にJupyterでコードを動かし、作るといった運用を最初は取っていました。ただ、ニーズが高ければ高いほど運用が大変になってしまい、忙しそうにしてると依頼しづらいといった状況が発生してしまいます。

プロトタイプ開発ツール比較

初心者向けから上級者向けまでのツールを紹介します。以下の比較表は、pythonを主にデータ分析で使ってきた経験を元にしたそれぞれの比較です

Google Colab Gradio Streamlit Flask
営業の使いやすさ × ⚪︎
デザイン × ⚪︎
開発の速度 ⚪︎ ×
デプロイ容易さ ⚪︎ ⚪︎ ×
マルチページ × × ⚪︎
初心者向け ⚪︎ ⚪︎ ×

Google Colab

google colab

データ分析を元々やっていたこともあり、最初に試しましたが、ノートブックの実行形式であるため、Biz側に使い方を説明してもなかなか利用までに至りませんでした。デプロイの必要がない点は利点です。

Gradio

gradio

次に試しました。フロント側のコンポーネントが充実しており、コード一文で72時間パブリックアクセスが可能なURLを生成できます。ただ、72時間毎に実行しないといけないため、AWS上でgradioのサーバーをホストすることで解決したりしています。

Streamlit

streamlit

Gradioだとシングルページしか作れないため、マルチページ作成用に選定しました。
データ分析の可視化の用途に向いています。ただ、データの更新の度に再描画が走るので、動作がもっさりしてしまうというデメリットがあります。
最近だと、(Flet)[https://flet.dev/]というツールも流行っているらしいです。

Flask

flask

柔軟に画面を作ることができます。HTMLやJavaScriptと組み合わせることで、より柔軟なWebデザインが可能です。ただし、FlaskやStreamlitのようにWebコンポーネントがないため、フロント側のコードを書く必要があります。

プロトタイプ開発採用事例

弊社のChat Insightは、プロトタイプ開発から始まり、製品版へと進化中のサービスです。
プロトタイプ開発をしなかったらより時間がかかっていたことでしょう。

スケジュール的には、プロトタイプを2週間で作成し、1月から3月にクローズドβ、4月から現在までオープンβとして実施しました。

プロトタイプ開発から製品開発への移行判断は企業によって異なると思いますが、個人的な目安として、お金を払ってでも使いたいという顧客が二社以上現れるかどうかを基準にしていました。

まとめ

プロトタイプ開発は、顧客が本当に欲しがるプロダクトを効率的に見つけ出す強力な武器です。生成AIの活用で、アイデアを爆速で形にできる今こそ、チャンス。

プロダクトマネージャー自らが手を動かし、1テーマ1人で突っ走ることで、斬新なアイデアを守りつつ、迅速に検証できます。ただし、プロトタイプから製品版への移行タイミングは見極めが重要。思い切ってプロトタイプ開発を始めてみましょう🚀💡

#プロトタイプ開発 #ProductManagement #生成AI #イノベーション

ヴィアゲート株式会社 Techチーム

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