条件、目標、制度、三つ揃わないと政治的チートが起きる
イメージ画像はgetimg.aiの画像生成機能で作りました。
mirrorに、「条件、目標、制度、三つ揃わないと政治的チートが起きる」というテキストを投稿しました。
要約すれば、
政治的主張を評価する時には、目標、条件、制度すべて考慮する必要がある。例えば、目標だけを追求すると理想主義に陥る可能性があるし、制度だけを追求しても技術的な新奇さだけで終わってしまう。条件だけがあっても現実的な解決策が見つからない。さらに重要なのはどれかを隠すことでチートが可能になることだ。
という内容なのですが、これだと当たり前のことを言っているだけのようにも思えるので、少し説明します。
VECTIONでは、組織の「最小限の理想」として、「PS3」という提案をしています。
Pain reducing 苦痛最小化
Sustainability 持続可能性
Scalability スケールをまたいだ安定性
Security セキュリティ
ここで理想とは、そこに至るべき「到達点」というより、組織が存続し得るために満たしておくことが望ましい条件(Conditions)として考えられていました。
例えば、組織が「持続可能」であることは重要ですが、そのためにメンバーに「強すぎる苦痛」が強いられるならば存続の意味がない、というようなことです。
その一方で、苦痛トークン、ミラーバジェット、bot議員など、「PS3」に貢献すると思われる様々な制度(Mechanism)の提案もしてきました。
そしてその結果、我々は、この条件(Conditions)と制度(Mechanism)とを繋ぐものとして、さらに目標(Goals)が必要ではないかと思い至りました。
そして、次の四つを挙げ、これをVectionismと名付けました。
Pain reducing 苦痛の総量をできるだけ減らす
Trial handiness トライ&エラーをできるだけ軽くする
Decision making with high quality 情報技術で集合的意思決定をできるだけはやく、高品質にする
Discretion reducing ルール作成者・運営者の裁量をできるだけ減らす
この時、条件(Conditions)目標(Goals)制度(Mechanisms)の関係は、以下のようになります。
条件(Conditions)=PS3
の実装(手段)が、
目標(Goals)=Vectionism
の実装(手段)が、
制度(Mechanisms)=苦痛トークンなどの個別メカニズムの集まり
たとえば、「安定性(条件)」のために「トライ&エラーの軽量化(目標)」が必要であり、そのためには「ミラーバジェット」(制度)が有効だと期待できる、という関係です。
しかしこのテキストの主な目的は、我々の思想の提示というより、多くの政治的問題は、条件(Conditions)、目標(Goals)、制度(Mechanisms)の、どれかを無視することに起因する、という主張の方です。
たとえば、スローガンやマニュフェストがあるだけで、その状態へ至る道筋が全く見えないという状態がしばしば見掛けられますが、この場合、実現可能性やその道筋の言及がないので、いくらでも高い理想を掲げることができます。
しかし、どのようにそれを実装するかについては検討することができず、それはつまり、実際にはやる気がない(あるいは意図的にやらないのに雰囲気だけ作る)ということと同じになってしまいます。
これは、条件・目標・制度(略してCGM)の、どれか一つでも欠けていると、そこを戦略的に利用(悪用)する人が出てくる可能性があるということでもあります。
故に、政治的主張を評価する時に、この三つが揃っている度合いについて、足し算ではなく、掛け算(積算)で評価される必要があると提案しています。
Discussion