Tree Shaking に対応してないライブラリを使っている場合は re-export はやめたほうがいいかも
結論
Tree Shaking に対応してないライブラリを使っているソースコードで re-export
を使用していると、不用意にファイルサイズを大きくしてしまう可能性があります。そのため、対応してないライブラリを使用している状況下である場合 ( またはそのような状況になりそうな場合 ) には、re-export
などを使用せずに 信頼できる唯一の情報源 に従った方が良いと思います。
どうしても re-export
使用したい場合、副作用があるファイルが分かっているのであれば、sideEffects
オプションを使用することで影響を最小限に抑えることができます 👇
{
/* -- 省略 -- */
// 全ての副作用を無効にする
"sideEffects": false
/* -- 省略 -- */
}
{
/* -- 省略 -- */
// 特定のファイル、ライブラリの副作用を指定します
// これにより、指定されたファイルの副作用は含まれるようになります
"sideEffects": [
"./src/side-effects.ts",
"./src/side-effects/**",
],
/* -- 省略 -- */
}
re-export とは?
ここでいう re-export
とは、export されている値を再度別のファイルで export することを言います。例としては以下のようになります 👇
export const hoge = "Hoge"
// hoge.ts 内の全ての値を export する場合
export * from "./hoge";
// 一部の値だけを export する場合
export { hoge } from "./hoge";
この re-export
ですが、ライブラリなどでは良く使用されていて、使ったことが無くても意外と身近で使われていたります。
とくに有名な書き方として Collect パターン( 私が勝手に名付けた 😇 )というものがあります 👇
.
├── utils
│ ├── a.ts
│ ├── b.ts
│ └── index.ts
└── hoge.ts
export { a } from "./a";
export { b } from "./b";
import { a } from "./utils";
a(); // utils で import できる!
上記のように、./utils
内のソースコードを index.ts
のようなファイルにまとめて re-export
することによって、import する側では一つのパスで、そのディレクトリ内のファイルにアクセスすることができます。
この Collect パターンは個別にファイルを import するよりも変更に強いため、非常に便利な構成となっています。
なぜ re-export はやめたほうがいいのか?
冒頭でも記述しましたが、Tree Shaking に対応してないライブラリを使っているソースコードで、re-export
を使用していると、意図せず使っていないソースコードをビルド結果に含めてしまう可能性があります。
これは、 re-export
が複数のファイルを一つにまとめている関係上、記述したファイル全てに参照している( import している )状態となるためです 👇
import { a } from './utils'
// 👇 以下と同義
import { a } from './utils/a'
import {} from './utils/b'
そのため、仮に ./utils/b.ts
で副作用があるライブラリを読み込んでいる場合は、import した時点で副作用が読み込まれてしまうため、import している値が無くても副作用自体は含まれてしまいます 👇
// グローバルな処理(副作用)があるライブラリ
// b.ts を import したファイルは、b.ts のソースコードを使用してなくても、
// import した時点で "side-effects-library" の副作用を含めてしまいます
import { printText } from "side-effects-library"
// 明示的に import しないとビルドに含まれません
export const b = () => printText("b");
対処法
対処法として package.json に sideEffects
というフィールドを設定することで、副作用があるファイルを webpack などのバンドラーに知らせることができます 👇
{
/* -- 省略 -- */
// 副作用がないということをバンドラーに知らせる
"sideEffects": false,
/* -- 省略 -- */
}
{
/* -- 省略 -- */
// 副作用があるファイルが分かる場合は指定する事もできます。
// これによって、ここで指定していないファイルの副作用は無視されます。
"sideEffects": [
"./src/side-effects.ts",
"./src/side-effects/**",
],
/* -- 省略 -- */
}
上記の設定によって副作用があるファイルを設定できるので、自分たちが把握できる副作用に関しては Tree Shaking を有効にすることができます。
しかし、どのライブラリに副作用があるかを把握するのは至難の業であるため、対処ができると言っても限界があります。
なので、筆者個人の考えとしては re-export
をむやみやたらに使うのではなく、副作用が把握できる範囲で使用したほうがいいと考えています。
参考
この記事を書くにあたって、以下の記事を参考にさせて頂きました!
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました!
あとがき
この記事では re-export
を使わない方が良いと言っていますが、ビルドサイズを気にしないのであれば気にせず使っても良いと思います。実際、Collect パターンは便利ですし、Tree Shaking に対応したライブラリのみ使用している場合は、特に気にする必要のない話題です。ただ私の環境では対応してないライブラリを使用しており、致命的な問題だったので、この場を借りて共有した次第です。
また、記事の内容に対してご指摘頂いた @smikitky さんには、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました 🙇♂️🙇♀️
これが誰かの参考になれば幸いです。
記事に間違いなどがあれば、コメントなどで教えて頂けると嬉しいです。
それではまた 👋
Discussion
個人的には re-exports の有無は関係なく、「ロードされるだけで(使われもしない)副作用があるモジュール」は、行儀が悪いのでそもそも書くべきではないと思います。そのファイルを直接 import したときには結局使われないコードがバンドルに含まれる原因になります。逆に、行儀良く書かれたモジュールは re-export されても tree-shaking されませんか? 上記の例なら読み込むだけで外部世界に要らぬ影響を与えている
utils/b
の設計を先に見直すべきだと思います。(まあ行儀の悪い tree-shaking 未対応の外部ライブラリは、むやみに import しない以外どうしようもないですが)なお、package.json に
sideEffects: false
を書くという方法もあります。こちらの記事の中盤の「副作用」のあたりが参考になると思います。その通りだと思います!
仮に副作用があっても、ちゃんと行儀よく書いていれば re-export 自体は問題ではないですよね!
私の環境では古いライブラリを使う必要があり、私の安易なコード設計( これはある種、行儀の悪い設計だったかもしれません )によって、それらのライブラリに対して Tree Shaking を行うことが難しい状況にありました。そのため、慈恵の念も込めて記事を書いた次第ですが、タイトル含め誤解を招くような表現だっかもしれませんね。ここら辺は、後で見直したいと思います!
コメントありがとうございます💪
ご指摘感謝です🙏
先日、私も知人に教えてもらって「あちゃ~やっちまったな」って感じになってます😇
正しい情報をお伝えできず申し訳ないです🙇♂️🙇♀️
今週末に
sideEffects: false
の話を絡めるように記事を編集しようと思ってます!( トレンドに載っているから早く対処しろ!って感じではありますが... まぁ、ね?仕事っていう辛い現実があるのですよ...orz )