技術記事を書く前に知っておきたい法律
エンジニアに関連がありそうな法律の事についてでも触れようと思います。
いきなりですが、
英語のネット記事を翻訳し、それをQiitaに投稿した事はありませんか?
それは、著作権違反に該当する可能性がとても高いです。
具体的には翻訳権の侵害に該当する可能性があります。
翻訳権とは
著作権法第二十七条に規定されている著作財産権の一種です。
第二十七条
「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する」
簡単に述べると、著作権の中には、その対象物を翻訳する権利であったり、要約する権利が含まれています。ですので、無許可で翻訳することは著作権の侵害にあたります。
⇒「でも元の記事リンク載せているし引用だから大丈夫だよ」とよく言われますが、本当に大丈夫なのでしょうか?
引用とは
引用に該当する場合は、著作者に許可を取らずとも利用が可能な場合があります。
ですが、引用とは何でしょうか?ここでは簡単に説明します、詳しくは文化庁 著作物が自由に使える場合や、著作権法の原文をご覧ください。
①他人の著作物を引用しなければ、自身のオリジナルの著作物が発信・表現不可能な場合
②引用部分であると、ハッキリと識別出来るようにする事
③自分のコンテンツが主で、引用部分が従(補助)である事
④引用元が明示されている事、出先を明記すること
つまり、リンクを張るは④に該当しますが、それ以外にも①~③を満たさなければ引用にあたりません。
よく、記事全文を日本語訳するQiita記事がありますが、③に違反している可能性が非常に高いです。
主と従の比率というのは非常に難しいのですが、原文を日本語訳してリンクを張るだけは自身のコンテンツが主であるとはとても言えません(例外もあります)
引用以外でも許可を得ずに他人の著作物を利用できる場合がある。
見出しにある通りです。
例えば、私的利用などが代表的ですね。他には教育機関における複製や情報解析のための複製などがあります。他にもたくさんありますので詳しくはお調べください。
ちなみに...ソースコードの著作権ってどうなるの?
ソースコードの著作権は引用規定に基づいて、記事を書くために使用する事はもちろんOKです。
ですが、プロジェクトで他者のソースコードを使用する事は?
ソースコードの著作権が適応されるのは何%?一般的(公的)に使用されているコードは?
結論
わかりません。著作権に詳しい弁護士さんにお聞きする事をお勧めします。
例えば、契約書の文言には著作権が適応されません。
DBの構想・構成でも、オリジナル性があれば権利が発生します。
他にも「吾輩」「は」「猫」「である」のような個々の単語に著作権は存在しませんが、繋げると権利が発生する可能性があります。ソースコードもこれらに該当する可能性があります。ちなみにこれらにグーグルとオラクルが最近まで裁判をしていた事はご存じの方も多いでしょう。
まとめ
少しでも不安ならば、権利保持者に問い合わせる事が、最も簡単かつ最も重要な事です。
著作権は難しいです。この記事を含めて、ネットに書いてある情報を鵜呑みにして間違った解釈をしないよう気を付けましょう。
作成した時点で発生する権利なので、権利保持者ですらその権利の内容を知らないなんてザラです。
そして、
『法の不知はこれを許さず』という、ことわざがあります。
刑法ですが、以下の内容が記述されています。
刑法第38条第3項「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」
法律は知らなかったでは済まされないので、自分に関係がありそうな法律についてはIT技術を追うのと同様に、情報収集をしていきましょう。
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