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【保存版:Dify導入済の企業向け】n8n導入するべき?Difyとの使い分けはどうする?

に公開

はじめに


本記事の目的と想定読者

本記事は、既にDifyを導入していて、さらにn8nの導入を検討している方を対象としています。
また、Difyとn8nを組み合わせた開発をするために、ユースケースを参考にしながらワークフローの作成手順を学びたい方に対しても有益かと思います。
上記の対象者が、n8nを導入することをサポートする目的で、できるだけ詳しく記述しました。

さらに、Dify・n8n・Copilot Studio・Zapierの比較も参考にしたい方にも読んでいただければと思います。


前提知識

【 Dify 】
Difyは、オープンソースのAIアプリ開発プラットフォームであり、ノーコード / ローコードでLLMモデルを活用したAIエージェントの開発が可能です。
数百種類のAI言語モデルに対応していて、LLMに特化している点が強みです。RAGの詳細設定も簡単に実装でき、外部ツール連携もプラグインを利用することで可能であるため、汎用性の高い開発できます。
これらの特徴により、Difyは企業のAI導入を加速し、業務効率化や新たな価値創出に有益なAIエージェントです。


【 Copilot Studio 】
Copilot Studio(旧 Power Virtual Agents)は、Microsoftが提供するノーコードのチャットボット開発ツールであり、特にMicrosoft TeamsやPower PlatformなどのMicrosoftサービスと高い親和性を持っています。しかし、マイクロソフト外のサービスとの連携は、Difyやn8nと比較して少し手間がかかります。
Copilot StudioはMicrosoft環境に強く依存する設計で、外部連携やカスタマイズ性ではやや制約があります。また、RAG(情報検索)や多様なAIモデル活用といった面では、Difyの方が汎用性とAI応用力に優れています。社内用途に限定された業務ボットなら有効ですが、高度なAIアプリケーション構築する場合はDifyがより適しています


【 Zapier 】
Zapierは、ノーコードで異なるアプリケーション同士を連携させる自動化ツールです。ユーザーは、トリガーとアクションを定義することで、日常業務を効率化するワークフロー(Zap)を簡単に作成できます。
Zapierは「既存サービスの接続」に特化している一方で、DifyはAIを用いた意思決定や対話処理をノーコードで構築できるため、AIを軸とした業務高度化にはやや限界があります。AIベースの自律的なアプリケーションを求める場面では、Difyやn8nの方が柔軟性・拡張性に優れていると言えます。


結論:各ツールの比較

各ツールを比較する前に結論を書きます。結論としては、一般的な開発には Difyかn8nが良い と考えます。
DifyはLLMに最も特化しているツールであり、さらに汎用性も十分高いです。
n8nはLLMはDifyほど特化していませんが、汎用性は最も高いです。特に外部ツールとの連携は優れています。 
ZapierとCopilot StudioはOSS版の提供がないため、エンジニア視点では開発に大きな制限がかかってしまい、使い勝手が悪いように感じます。
Copilot Studioは「Microsoftサービスとの連携が最も強い」という強みがあるため、Microsoftサービスで完結するシステムを開発する時はCopilot Stduioを選択するのが良いと思います。しかしそれ以外では、より柔軟な開発ができるという観点から、Difyやn8nの方が適しているのではないかと思います。



n8nとは:各ツールとの比較


n8nが注目される理由

n8nは400以上の外部サービスを統合可能なワークフロー自動化ツールです。
n8nは、ワークフローの多様な組み方や自由度の高さ、さらにはセルフホスティングができる点などが人気を博しています。
次に記事も参考になります。

n8nが上級エンジニアに愛される理由:
https://note.com/unikoukokun/n/n671ff76de5e0

では、なぜn8nはビジネス現場で注目されるのでしょうか?
 - オープンソースの柔軟性:企業特有のニーズに合わせたカスタマイズが可能。
 - ローコード設計:専門的な技術者が不足する中小企業やスタートアップでも容易に導入。
 - 豊富な連携機能:400以上のアプリケーションとネイティブに統合可能。
 - セキュリティとコンプライアンス:オンプレミスやVPC展開が可能で、機密情報を安全に保護。


n8nの立ち位置

【各ツールの共通点(Dify・n8n・Copilot Studio・Zapier)】

  1. UIベースで操作し、ワークフロー自動化
      入力 → 処理 → 出力の流れを自動化します。
      また、ノーコード / ローコードを前提とした設計です。

  2. 外部APIとの連携を前提に設計
      WebhookやHTTPリクエストに対応しています。

  3. 条件分岐・変数操作などの処理に対応
      基本的なロジックをUI上で扱えるようになっており、n8n > Dify > Zapier, Copilot Studio の順に汎用性が高いです。


【各ツールの違いの比較】

ツール 特徴 提供方法 コスト
Dify セルフホスト:
可能

LLM:
特化

外部API:
一部対応

Webhook:
プラグインによる実装
OSS:


Cloud:
OSS版:API利用料+サーバー代など
Cloud版:$10/月〜
n8n セルフホスト:
可能

LLM:
柔軟な対応可

外部API:
非常に強力

Webhook:
Webhookブロックあり
OSS:


Cloud:
OSS版:API利用料+サーバー代など
Cloud版:$20/月〜
Copilot Studio セルフホスト:
不可

LLM:
Azure OpenAIに対応 (他のモデルも連携可能だが外部APIとの連携などが必要)

外部API:
Power Automate経由で強力

Webhook:
Power Automate経由で連携可能
OSS:


Cloud:
Microsoft 365 ライセンス+Copilot拡張機能(Copilot Studioライセンス)
Zapier セルフホスト:
不可

LLM:
OpenAIなど一部対応

外部API:
強力

Webhook:
Zapで連携可能
OSS:


Cloud:
LLMなどのAPI利用料金+$19.99/月(Starter)〜

Difyは多くの記事で「LLMに特化している」と評価されています。
著者は、DifyはLLMの活用に特化しているから幅広くなんでも使えるという認識をしています。
以下は、実際に各ツールで利用可能なLLMモデルの比較表です。

Dify n8n Copilot Studio Zapier
OpenAI(GPT-3.5, GPT-4, GPT-4o)
Anthropic(Claude)
Azure OpenAI
Google Gemini / Cloud
NVIDIA API Catalog / NIM / Triton
AWS Bedrock
OpenRouter
Cohere
together.ai
Ollama
Mistral AI
groqcloud
Replicate
Hugging Face
Xorbits inference
Zhipu AI
Baichuan
Spark
Minimax
Tongyi
Wenxin
Moonshot AI
Tencent Cloud
Stepfun
VolcanoEngine
01.AI
360 Zhinao
Azure AI Studio
deepseek
Tencent Hunyuan
SILICONFLOW
Jina AI
ChatGLM
Xinference
OpenLLM
LocalAI
PerfXCloud
Lepton AI
novita.ai
Amazon SageMaker
Text Embedding Inference
GPUStack
OpenAI API-Compatible モデルなど
OpenAI(GPT-3, GPT-4)
Anthropic(Claude)
Google Gemini
Hugging Face
Ollama(LLaMA, Mistral, etc.)
together.ai
LangChain 経由の任意モデル
Azure OpenAI
他のLLMモデル(外部API連携などが必要)
OpenAI(GPT-3.5, GPT-4, GPT-4o)
Anthropic(Claude 3.5)
Google Gemini(Vertex AI)
LLM as a Service 経由で他モデル

LLM連携はDifyが最も適している一方で、外部APIの連携はn8nが最も優れています。
例えばGoogle系サービスと連携する際、DifyではGAS(Google Apps Script)を用いた開発が必要ですが、n8nはGmailやスプレッドシート等のノードが用意されており、ノーコードで連携できます。さらに、Slack、Microsoft各種ツール、LINE、AWSなど主要ツールともシームレスに接続でき、開発効率が非常に高いです。


【n8nとDifyの OSS版 / Cloud版 の比較】

ツール n8n(Cloud) n8n(OSS) Dify(Cloud) Dify(OSS)
ライセンス 商用ライセンス Sustainable Use License / n8n Enterprise License 商用ライセンス MITライセンス
機能制限 starterプランでは一部制限あり
proプランで一部制限解除
コア機能は全て利用可
SSO、LDAP、バージョン管理など未搭載
無料プランではアプリ数10個まで
有料プランで解除可
アプリ数・ユーザー数に制限なし
一部クラウド専用機能は非対応
サポート体制 コミュニティサポート(公式サポートなし) 有料プランで公式サポート提供
EnterpriseではSLA付き
有料プランで優先サポート提供 コミュニティサポートのみ(公式なし)
更新頻度 月1回程度 月4回程度 月1〜2回程度(OSSの反映にタイムラグあり) 月4回程度
デプロイ方法 公式クラウドで提供(設定不要) Docker / npm / AWS, GCP などへセルフホスト可 公式クラウドで提供(設定不要) Docker / AWS, GCP などへセルフホスト可
利用規約 許可されている用途
・営利目的での利用
許可されている用途
・社内運用
・非営利目的でのシステム構築

禁止されている用途
・営利目的でOSS版を導入

営利目的での利用には
Enterpriseプラン契約が必要
許可されている用途
・営利目的での利用
許可されている用途
・営利目的でのOSS利用

禁止されている用途
・Difyロゴの削除・改変
・DifyのままマルチテナントSaaS提供

商用Sass利用するには
Enterpriseプラン契約が必要

Difyとn8nの共通の強み

  1. OSS版が提供されており、セルフホスティングできる。
    ・ データの所有権を得ることができる。
    ・ サーバー代のみで、ランニングコストを抑えることができる。
    ・ サーバーのリージョンを自由に選択することができる。
    ・ 自由にカスタマイズすることができる。
  2. CLI管理が可能で、Gitなどでversionを管理し、本番環境に自動でデプロイできる。

n8nの強み

  1. Cloud版でもソースコードレベルでワークフローの開発が自由

    1. Javascript / Typescript で自由な処理を組めます。
    2. Node.jsのライブラリも利用可能です。(※ 現在Difyは、Pythonの外部ライブラリを利用できない。)
  2. 豊富なサービス(200以上)のノードが用意されていて、SlackやMySQLなどの様々なツールと簡単に連携

  3. ワークフローのカスタム性が高い

    1. 条件分岐・ループ処理などの処理が、ソースコードレベルで実装できます。
    2. Difyは諸々制限がある:
      • ネスト構造は3つまでです。
      • Pythonブロックで外部ライブラリが使えないです。
    3. Cloud版のトリガーのカスタム性が高いです。
      • Webhook・定期実行(cron)・メール受信など多彩なトリガーが用意されています。
      • Difyの実行はUIまたはAPI受信のみ。ワークフロー上にトリガーは定義できないです。

OSS / Cloudの違い

  • Cloud版:UI上で操作し、n8nのクラウドサーバー上でホストされる
  • OSS版:ローカル環境にセルフホスト可能なソースコード(オープンソースではない)
項目 n8n(Cloud版) n8n(OSS版)
ライセンス 商用ライセンス Sustainable Use License と n8n Enterprise License
機能制限 有料プランでエンタープライズ機能を利用可能
無料プランでは一部機能制限あり
コア機能は全て利用可能
ただし、SSO・LDAP・バージョン管理などのエンタープライズ機能は未搭載
サポート体制 コミュニティサポートのみ(公式サポートなし) 有料プランで公式サポート提供
エンタープライズプランではSLA付きサポートあり
更新頻度 月1回程度 月4回程度
デプロイ方法 n8nが提供する公式クラウドサービスを利用(ユーザーは設定不要) Dockerやnpmを用いてセルフホスト可能
AWS・Azure・GCPなどへのクラウドデプロイにも対応
利用規約 許可されている用途
・営利目的での利用
許可されている用途
・社内システムとしての利用
・非営利目的で他社システムを構築すること

禁止されている用途
・営利目的でOSS版を導入・利用すること

営利目的での利用には
Enterpriseプランの契約が必要



Difyとn8nの比較


両者の共通点

  1. ワークフロー自動化に対応
    入力 → 処理 → 出力の流れを自動化しています。

  2. 外部APIとの連携に対応
    WebhookやHTTPリクエストに対応しており、外部サービスとの連携が容易です。

  3. UIベースの操作設計
    ノーコード / ローコードを前提とした設計で、直感的にワークフローを構築できます。

  4. 条件分岐や変数操作に対応
    複雑な処理ロジックもUI上で設定可能です。

  5. OSS版とCloud版の両方を提供
    セルフホストとマネージドサービスの両方に対応しています。


両者の利点の違いと、それに応じた用途の違い

  1. Dify:LLMに特化した設計
    LLMを活用するユースケースに強く、RAGやプロンプト設計を中心としたワークフローに適しています。

  2. n8n:トリガーと外部APIの柔軟性に優れる
    Cloud版のDifyでは、ワークフロー内でトリガーを設定することができません。
    一方、Cloud版のn8nでは、200種類以上の外部APIと連携でき、それらを使ったトリガーの定義も可能です。

  3. Enterprise契約(OSS版)による違い

    • n8nのOSS無料版(Community版)の制限

      • SaaS型でn8nを再販すること。(ホワイトラベル利用も禁止)
      • n8nへのアクセス自体に課金を設定すること。
        (ex. n8n上で構築したUIや自動化機能を提供し、利用料を徴収する)
      • ユーザーの認証情報を取得して外部サービスと連携すること。
        (ex. 顧客のGoogleアカウントを接続させて、n8nで裏側の連携処理をする)
      • n8nをパッケージ化して販売すること。
    • n8nのEnterprise契約のメリット

      • マルチテナント利用が可能になる。
      • 企業内のSSO(シングルサインオン)システムと統合できる。
      • ホワイトラベル利用が可能になる。
      • ...

▶︎ セキュリティが向上し、n8nプラットフォームを利用した商用利用が可能となります。

  • DifyのOSS無料版(Community版)の制限

    • ホワイトラベル利用をすること。
    • マルチテナント利用をすること。
      (n8nと違い、バックエンドAPIとして商用利用することは可能。)
  • DifyのEnterprise契約(OSS版)のメリット

    • Sass形式でDifyを商用利用できるようになる。
    • Difyのフロントエンドを使って、収益化ができるようになる。
    • 企業内のSSO(シングルサインオン)システムと統合できる。
    • マルチテナント利用が可能になる。

▶︎ セキュリティが向上し、Sass形式などの商用利用が可能となります。


Difyはn8nに代替されるのか?

用途によっては代替される可能性があります。

先述の通り、DifyはLLMに特化しています。そのためシステムが単純なLLMを利用する構成であったり、複雑なワークフローでない場合は、n8nに変更するメリットはほとんどないです。

しかし、複雑なワークフローであったり、Difyに連携されていない外部APIやトリガーを利用したい場合は、n8nへ変更することも視野に入れると良いと考えられます。

既存のDifyのワークフローをn8nに代替させるとき、そのDifyのワークフローの一部を残してAPIとして利用し、システム本体をn8nにするという選択肢も考えると良いと思います。



ユースケース


概要

ある企業で、複数人が共通で利用しているメールアドレスがあるとします。

そのメールに問い合わせた来たとき、誰が対応すべきかということをRAGを用いて判断し、Slackに担当者宛のメンションをつけて通知する仕組みを作りました。

下の動画は、完成像です。

https://youtu.be/y9qemoqohxI


処理の流れ

  1. メール受信をトリガー (n8nで実装)

    このトリガーは、Difyで実装しようとするとGASのコーディングが必要です。

    n8nなら、簡単にメール受信をトリガーすることができました。

  2. LLMで誰宛のメールか分類 (Difyで実装)

    RAGに、対象のメールアドレスを利用している人の名前と、担当している業務・役割などを登録しておきます。

    メールの内容から、最も適切な人をLLMで選択することがDifyの役割です。

    ナレッジの登録や、LLMの利用など、Difyだと非常に簡単に実装できました。

  3. その人をメンションしたslackを投稿 (n8nで実装)

    n8nにSlack専用のノードが用意されています。

    これを使って、簡単にSlack APIと連携することができます。


n8n のワークフローの簡単な機能説明

  1. Gmail ノード

    役割:メール受信をトリガーすること。

    作業ログ

    1. 今回のメールアドレスはGmailとしたので、n8nのワークフローで、Gmailノードを選択した。
    2. Credentialタブで、「Gmail OAuth2 API」を選択し、全ての権限を付与し、保存した。
    3. 対象のメールアドレスのGoogle Cloud Consoleにアクセスし、「Gmail API」を有効にした。
  2. Code ノード

    役割:メール受信後、メールタイトルと送信者、メール本文を後続のノードで利用できるように整理すること。

    コード

    const subject = $json.Subject || 'No Subject';
    const body = $json.snippet || 'No Body';
    const fromRaw = $json.From || '';
    const fromEmailMatch = fromRaw.match(/<(.+?)>/);
    const fromEmail = fromEmailMatch ? fromEmailMatch[1] : 'No Email';
    
    return {
      json: {
        subject,
        body,
        from: fromEmail
      }
    };
    
  3. Dify ノード (HTTP Request ノード)

    役割:Dify APIへメール内容を渡し、担当者を返却してもらうこと。

    作業ログ

    1. 次のように設定した。
      1. Method:POST

      2. URL:https://api.dify.ai/v1/workflows/run

      3. Authentication:None

      4. Send Query Parameters:OFF

      5. Header:”Authorization”: “Bearer app-~~~”

        {
          "Authorization": “Bearer app-~~~”,  # Dify API Key
          "Content-Type": "application/json"
        }
        
      6. Body:

        {
          "inputs": {
            "subject": "{{ $node.Code.json.subject }}",
            "body": "{{ $node.Code.json.body }}"
          },
          "response_mode": "blocking",
          "user": "{{ $node.Code.json.from }}"
        }
        
  4. Prepare_Slack_Postノード (Codeノード)

    役割:Slackに送信するメールの本文を作成すること。

    コード(例)

    const mapping = {
      "山田太郎": "U1234567",
      "佐藤花子": "U1234568",
      "鈴木一郎": "U1234569",
      "高橋美咲": "U1234570",
      "中村健": "U1234571"
    };
    
    const name = $json["charge"];
    const userId = mapping[name];
    
    if (!userId) {
      throw new Error(`Slack ID not found for 担当者名: ${name}`);
    }
    
    const subject = $node["Code"].json["subject"] || "(件名なし)";
    const clientMail = $node["Code"].json["from"] || "(差出人不明)";
    const body = $node["Code"].json["body"] || "(本文なし)";
    
    const message = `<@${userId}> さん宛に問い合わせメールが来ています。:
    
    【タイトル】
    ${subject}
    
    【差出人】
    ${clientMail}
    
    【本文】
    ${body}
    `;
    
    return {
      json: {
        message: message
      }
    };
    
    
  5. Slackノード

役割:特定のSlackのルームに、担当者をメンションしてメッセージを送信すること。

作業ログ

  1. Slack APIで、対象のワークスペースを選択して、ボットを作成した。

  2. 付与した権限は、

    1. chat: write (チャット送信権限)
    2. users: read (ユーザーID読み込み権限)
  3. SlackのワークスペースにBOTをインストールした。

    1. インストール後、Bot Tokenを取得できる。
    2. このBot Tokenを、n8nのアクセストークンに入力する。
  4. Slackの対象チャンネルに、下記コマンドでボットを追加した。

    /invite @yourbotname
    
  5. n8nで「Slack」ブロックを追加し、「Send a message」を選択した。

  6. 認証はAPI Key連携を選択し、Bot Tokenを入力した。


Dify のワークフローの簡単な機能説明

  1. 開始ノード

    役割:n8nのリクエストを受け取り、ワークフローを開始すること。

    設定

    n8nからリクエストのパラメータとしてユーザー発話を受け取りために、

    ”subject”: str

    “body”: str

    を必須項目として指定します。

  2. LLM (Intent抽出) ノード

    役割:メールの内容を要約し、RAGで検索しやすいように整えること。

    モデル:OpenAI の ”gpt-4o”

    プロンプト例

    あなたは、問い合わせメールの要件を1文で要約するAIです。
    メールのタイトルと本文を受け取り、送信者が何を問い合わせたいか1文でまとめてください。
    
    ## 要件
    ・1文でまとめること。
    ・文章は5〜30文字で生成すること。
    ・敬語や文構成は意識しなくて良いです。単語だけでも内容がわかれば良いです。
    
    ## メールタイトル
    {{ 開始/subject }}
    
    ## メール本文
    {{ 開始/body }}
    
  3. 担当者検索ノード (知識検索ノード)

    役割:要約したメールの内容をキーに、ナレッジに登録されている担当者の候補を何人かピックアップすること。

    作業ログ

    1. ナレッジ(knowledge)に担当者名と普段行っている業務内容などが書かれたテキストファイルを登録した。
    2. 知識検索ノードのキーとして要約したメール内容を指定し、作成したナレッジから検索するように設定した。
  4. RAGノード (LLMノード)

    役割:検索した担当者候補から最も適切な人を選び、その人の名前を出力すること。

    モデル:OpenAI の ”gpt-4o”

    プロンプト例

    あなたはメールの内容に対して、適切な担当者をナレッジから選択し、そのナレッジ情報を出力するAIです。
    
    ## メールタイトル:
    {{ 開始/subject }}
    
    ## メール本文:
    {{ 開始/body }}
    
    ## ナレッジ:
    {{ context }}
    
    ## 出力要件:
    ・担当者名のみを出力すること。
    ・苗字と名前の間には、余計なスペースなどは含めないこと。
    ・ナレッジ以外の情報は利用しないこと。
    
    ## 出力例:
    佐藤真紀子
    

    補足

    1. コンテキストには、知識検索の結果を指定した。
  5. 終了ノード

    役割:ワークフローを終了し、n8nにRAGで検索した担当者名を返却すること。

    補足

    レスポンスには、

    “charge”:担当者名

    “summary”:メール内容の要約 (※ 念の為)

    を指定しました。



n8nの懸念と将来性


日本語UI対応への今後の展望

2025年4月1日 公式フォーラムにて、「UIの多言語対応は、現在のロードマップに含まれていない。」と明言されています。
暫くは、UIが日本語対応されることはなさそうです。

https://community.n8n.io/t/are-there-plans-to-support-multi-language-switching-for-the-interface/95411


ガイドライン変更リスクとその対策

2022年3月17日に、ライセンスが変更されました。

Apache 2.0 + Commons Clause」から独自の「Sustainable Use License(SUL)」

【過去の変更内容の要約】

  • 商用SaaS提供:曖昧 → 禁止
  • ホワイトラベル提供:不可能 → 専用契約により許可
  • カスタマイズ配布:曖昧 → 社内利用のみ可能

【考察】
現在、ガイドラインやライセンスが変更されるなどの情報はありませんでした。
n8nはEnterprise契約での売り上げを目指すビジネスプランとなっています。そのため、今後はEnterpriseプランのみで利用できるサービスが増えていく可能性が考えられます。それに伴い、ガイドラインやライセンスが変更される可能性は考えられます。



まとめ と 今後の展望


Difyとn8nの棲み分け

現在は、「DIfyはLLM」「n8nはLLM以外」というのがざっくりとした棲み分けだと思います。

しかし、今後n8nのLLM機能がDifyと同じくらい多様になれば、完全にn8nに切り替わる時代が来る可能性もあります。

逆に、Difyが現在よりもさらに柔軟な開発をできる様になれば、元々のサービス連携数もあり、Difyがn8nよりも優位に立つことになると考えられます。


今後、どのようにn8nを使っていくのが良いか

GoogleサービスやMicrosoftサービス、SlackやLINEなど、n8nで簡単に連携ができるような簡単な開発は、n8nのワークフローで実装すれば、工数を大幅に削減できます。

また、現在GASなどでトリガーしているDifyのワークフローも、n8nで管理するようにすれば、何か修正するときにコードをいちいち触らなくてもUI上で視覚的に運用できるようになります。今回n8nを触ってみて、Difyからn8nにメイン処理を変更するだけなら非常に簡単にできると感じました。

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