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A2Aプロトコルとは?MCPとの違い

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A2Aプロトコルとは何か?


A2A(Agent2Agent)プロトコルは、異なるAIエージェント同士が互いに通信し、協力できるようにする「共通言語」のようなものです。GoogleとAnthropicを中心に、50社以上の技術パートナーが共同で開発した新しいオープンプロトコルです。
簡単に言えば、A2Aは「AIエージェント同士が会話するための共通ルール」と考えると分かりやすいでしょう。

なぜA2Aが必要なのか?

現在、企業ではさまざまな自動化タスクを処理するためのAIエージェントが導入されています。
しかし、これらのAIエージェントは異なる会社や異なる技術で作られているため、互いに「会話」することができません。それぞれが独立して動いているため、協力して複雑な作業をこなすことができないのです。
A2Aプロトコルはこの問題を解決し、異なるベンダーや異なるフレームワークで構築されたAIエージェント同士が、スムーズに協力できるようにします。

A2AとMCPの違い


A2Aプロトコルを理解する上で重要なのが、MCPとの違いです。MCP(Model Context Protocol)はAnthropicが開発したプロトコルで、A2Aとは異なる役割を持っています。

MCPとは何か?

MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントに「ツールや情報」を提供するためのプロトコルです。簡単に言えば、MCPは「AIエージェントが外部の情報源やツールにアクセスするための方法」を提供します。

A2AとMCPの主な違い

  1. 目的の違い
    • A2A:異なるAIエージェント同士が互いに通信し、協力するためのプロトコル
    • MCP:単一のAIエージェントが外部ツールや情報源にアクセスするためのプロトコル
  2. 関係性
    • A2AとMCPは競合するものではなく、互いに補完し合う関係です
    • MCPはエージェントに有用なツールや情報を提供し、A2Aはエージェント同士のコミュニケーションを可能にします
  3. 例えで理解する
    • MCPは「AIエージェントが使える道具箱」のようなもの
    • A2Aは「AIエージェント同士が会話するための共通言語」のようなもの
      A2AとMCPを組み合わせることで、AIエージェントはより多くの情報やツールを活用しながら、他のエージェントと協力して複雑なタスクを解決できるようになります。これにより、AIエージェントの能力が大きく向上し、より多くの業務を自動化できるようになるでしょう。

A2Aの仕組み

A2Aプロトコルでは、「クライアント」エージェントと「リモート」エージェントの間でコミュニケーションが行われます。以下はA2Aプロトコルを使用したコミュニケーションの流れです。

  1. 能力の発見:エージェントは「エージェントカード」というJSONファイルで自分の能力を公開します。これにより、他のエージェントへどんなタスクを依頼できるかを知ることができます。
  2. タスク管理:エージェント間のコミュニケーションはタスク完了を目的としています。タスクはすぐに完了する場合もありますが、長時間実行される場合は、エージェント同士が最新の状況を確認し合います。
  3. コラボレーション:エージェントは互いにメッセージを送り合い、情報やユーザーからの指示を共有します。
  4. ユーザー体験の交渉:エージェントは、テキスト、画像、音声、動画など、さまざまな形式のコンテンツをやり取りできます。

A2Aを使う具体的な例:採用候補者の探索

実際の例として、ソフトウェアエンジニアの採用プロセスを考えてみましょう:

  1. 採用マネージャーが自分のAIエージェントに「特定のスキルと場所に合った候補者を見つけて」と依頼します。
  2. そのエージェントは、A2Aプロトコルを使って他の専門エージェント(例:求人サイトのエージェント)と連携し、適切な候補者を探します。
  3. 候補者リストを受け取ったら、A2Aプロトコルを使って別のエージェントに身元調査を依頼することもできます。
    こうして、複数のシステムをまたいで協力し合うことで、採用プロセス全体をスムーズに進めることができます。

A2Aの設計原則

A2Aプロトコルは、次の5つの原則に基づいて設計されています:

  1. エージェント能力の活用:エージェントが自然な方法で協力できるようにします。各エージェントの記憶や道具、状況が違っていても協力できます。
  2. 既存の標準規格の活用:HTTP、SSE、JSON-RPCなど、すでに広く使われている標準に基づいて構築されているため、企業の既存システムと統合しやすくなっています。
  3. セキュリティ重視:企業レベルの認証と承認をサポートするように設計されています。
  4. 長時間タスクのサポート:短時間のタスクから、何時間も、あるいは人間が関与する場合は何日もかかる深い調査まで、さまざまなシナリオに対応できます。
  5. 形式に依存しない:テキストだけでなく、音声やビデオストリーミングなど、さまざまな形式をサポートしています。

支援企業

A2Aプロトコルは、多くの主要企業によってサポートされています:

  • 技術パートナー:Atlassian、Box、Cohere、Intuit、Langchain、MongoDB、PayPal、Salesforce、SAP、ServiceNow、UKGとWorkdayなど
  • サービスプロバイダー:Accenture、BCG、Capgemini、Cognizant、Deloitte、HCLTech、Infosys、KPMG、McKinsey、PwC、TCS、Wiproなど
    これらの企業が協力することで、AIエージェントがベンダーやフレームワークの壁を越えて、シームレスに協力できる未来を目指しています。

A2Aの今後

A2Aプロトコルは、エージェント間の相互運用性の新時代を切り開く可能性を秘めています。異なるシステムのエージェントが協力し合うことで、より複雑な問題を解決し、私たちの生活を向上させることができるでしょう。
Googleは、パートナー企業やコミュニティと協力して、オープンソースとしてこのプロトコルを公開し、誰でも貢献できる明確な道筋を設定しています。
完全な仕様書やコードサンプル、実例シナリオは、A2Aのウェブサイトで確認できます。Googleはパートナー企業と協力して、2025年後半に本番対応版のプロトコルをリリースする予定です。

参考文献

https://developers.googleblog.com/en/a2a-a-new-era-of-agent-interoperability/
https://github.com/google/A2A

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