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【最新】Difyのメタデータ徹底解説

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🤖 Difyの「メタデータ」を徹底解説!AIの回答精度を向上させる方法

この記事では、AIアプリケーション構築プラットフォームDifyの「メタデータ」機能について、その意味から具体的な活用方法までを分かりやすく解説します。

🎯 対象読者

  • メタデータの意味やメリットを知りたい方
  • Difyでのメタデータの実践的な使い方を知りたい方

🚗 メタデータを使用できるバージョン


1. そもそも「メタデータ」とは?

「メタデータ」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、考え方は非常にシンプルです。
メタデータとは、一言でいうと「データに関するデータ」のことです。

身近な例として、スマートフォンの写真で考えてみましょう。

📱 写真の例

  • データ:画像そのもの
  • メタデータ:撮影日時、位置情報、使用したカメラの機種名など

このように、メタデータはそのデータが「何であるか」を説明するための「ラベル」や「タグ」のような情報だと考えてください。

Difyにおけるメタデータ

では、Difyの場合はどうでしょうか。例えば、社内規定のPDFファイルをナレッジベースに追加するシーンを想像してください。このとき、次のようなメタデータを設定できます。

📄 ドキュメントの例

  • データ社内規定_2025年版.pdf の文章
  • メタデータ
    • document_name (ドキュメント名)
    • uploader (アップロードしたユーザー名)
    • upload_date (アップロード日)
    • last_update_date (最終更新日)
    • source (ファイルソース)

さらに、これら以外にも独自のカスタムメタデータを自由に追加することができます。


2. 🚀 メタデータを使う最大のメリット:検索精度の向上

メタデータを活用する最大のメリットは、AIが参照する情報の範囲を正確に絞り込める点にあります。これにより、AIの回答精度が向上します。

具体例:複数バージョンのマニュアルが存在する場合

【前提】
ナレッジベースに、バージョンの違う「社内システム操作マニュアル」が複数保管されているとします。

  • 操作マニュアル_v1.pdf (2023年版)
  • 操作マニュアル_v2.pdf (2024年版)
  • 操作マニュアル_v3.pdf (2025年版)

この状況で、ユーザーが「最新版のファイル保存手順を教えて」と質問したとします。

【❌ メタデータがない場合】
AIはナレッジベース内の全てのファイルから「ファイル保存」「手順」といったキーワードを含む情報を探します。しかし、どのファイルが最新(2025年版)なのかを判断できないため、古いマニュアルを参照してしまい、間違った回答をしてしまう可能性があります。

【✅ メタデータがある場合】
各ファイルに version というカスタムメタデータ(例: version: 3)を設定しておけば、Difyのワークフローで「version3のメタデータを持つファイルの中から探してください」と設定ができます。

これにより、AIは該当するファイルだけをピンポイントで参照し、正確な回答を素早く生成できるようになります。


3. 🛠️【実践】メタデータの使い方

実際に、バージョンの違う操作マニュアルに version というカスタムメタデータを設定し、検索精度を向上させる手順を見ていきましょう。

【シナリオ】
バージョンごとにファイル保存の推奨場所が異なる3つの操作マニュアルが1つのフォルダーにあります。メタデータを使わずに「ファイル保存方法は?」と質問すると、v1の古い情報である「共有サーバーAに保存」が回答されてしまいました。

これを、v3の正しい情報(v3からクラウドストレージBへの保存に変更)が回答されるように修正します。

手順1. カスタムメタデータの作成

1.  Difyのナレッジベースで、対象のファイル群が含まれるフォルダーを開きます。
2.  画面左上にある「メタデータ」ボタンをクリックします。

3.  表示された画面で「+ メタデータを追加」をクリックします。
4.  「新規メタデータ」の作成画面で、以下のように設定します。
    -   タイプ: Number を選択(今回はバージョンという数値を扱うため)
    -   名称: version と入力
5.  「保存」をクリックします。

手順2. ファイルへのメタデータ付与(ラベリング)

1.  メタデータを付けたいドキュメント(例: 操作マニュアル_v3.pdf)をクリックします。
2.  ドキュメント詳細画面の右側にあるメタデータセクションで、「ラベリングを開始」をクリックします。
   
3.  「+ メタデータを追加」をクリックし、先ほど作成した version を選択します。
4.  入力欄に、そのマニュアルに対応するバージョン(例: 3)を入力し、「保存」をクリックします。
   
5.  他のバージョンのファイル(v1, v2)にも同様に、それぞれのバージョン(1, 2)を設定します。

手順3. ワークフローでのフィルタ設定

1.  Difyの「スタジオ」で、対象のAIアプリケーションのワークフローを開きます。
2.  「知識検索」ノード(ブロック)をクリックし、設定パネルを開きます。
3.  「メタデータフィルタ」の項目を有効にします。
4.  フィルタの条件を設定します。今回は「手動設定」を選択し、#versionConstant 3 となるように設定します。


4. ⚖️ メタデータフィルタの使い分け:自動作成 vs 手動設定

メタデータフィルタには2つの設定方法があり、用途によって使い分けるのがおすすめです。

機能 🤖 自動作成 (Automatic) 🔧 手動設定 (Manual)
概要 LLMがユーザーの質問文から判断し、自動でフィルタ条件を生成します。 version = 3」のように、開発者がフィルタ条件を固定で設定します。
長所 「"最新"のマニュアルで教えて」のような自然な質問にも、柔軟に対応が期待できます。 常に特定の条件で検索されるため、動作が安定しており、確実な情報検索が可能です。
短所 LLMの解釈に依存するため、意図通りにフィルタがかからない場合があります(結果に揺れが生じる)。 柔軟性には欠け、設定した条件以外の検索はできません。

5. ✨ フィルタ設定後の結果

上記の手順でフィルタを「version = 3」に手動設定した状態で、再度「ファイル保存方法は?」と質問すると、AIはv3のマニュアルのみを参照し、正しく回答するようになりました!


6. 🎶 基本タグ(ビルトインメタデータ)の活用法

今回の実践ではカスタムメタデータを使用しましたが、last_update_dateupload_dateといった基本的なタグ(ビルトインメタデータ)は、特に保守・運用の場面で活躍します。以下例です。

シナリオ:AIが古い情報に基づいて誤った回答をしてしまった。

このような問題が発生した際、メタデータを使って以下のようにスムーズな原因究明と対策が可能です。

1.  問題の特定
    AIの回答の根拠となったソースドキュメント(例: セキュリティポリシー_旧版.pdf)を特定します。

2.  メタデータ確認
    そのドキュメントに付与されたメタデータを確認します。
    -   last_update_date: 2022-03-15 (⚠️ 2年以上更新されていない)
    -   uploader: 情シス部Cさん (⚠️ Cさんは既に退職済み)

3.  原因分析
    メタ情報から「情報が古いまま放置され、更新責任者も不在だった」ことが根本原因だと判明します。

4.  対策の実行
    原因が分かれば、具体的な対策を迅速に行えます。
    -   システム管理者は、この古いドキュメントをナレッジベースから一時的に非公開にする。
    -   現在の情報システム部に連絡し、最新のポリシーをアップロードしてもらうよう依頼する。
    -   再発防止策として、今後のuploaderは個人名ではなく「情報システム部」のような部署名で登録するようルールを周知する。

このように、ビルトインメタデータはナレッジベースの鮮度と信頼性を維持するための重要な手がかりとなり、問題の原因究明から恒久対策までをスムーズに導いてくれます。


7. まとめ

Difyのメタデータ機能は、特にナレッジベースのフォルダー内に多くのファイルが存在する際に、非常に強力な機能であることが分かりました。また保守運用の場面でも活躍します。

メタデータを適切に設定し、ワークフローでフィルタをかけることで、AIは膨大な情報の中から必要な情報だけを正確に見つけ出せるようになります。これにより、ナレッジベース全体の質が向上し、AIアプリケーションの回答精度を大きく高めることができます。ぜひ活用してみてください。

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