誰でも作れる!ChatGPTで構築する文体分析ベースのAIライティングアシスタント
はじめに
文章作成は多くの場合、時間と労力を要する作業です。
特に定期的に記事を執筆する場合、毎回ゼロから書き始めることに負担を感じることがあります。
「書きたいことはあるんだけど考えをまとめるのが大変だな」「目次からざっと骨子を考えてしまいたいな」と思うことが私は多く、かねてから課題を感じていました。
とはいえ、昨今の ChatGPT の進歩も目を見張るものがあります。
少しのプロンプトで大量の文章を生成してくれるようになってきていますし、メモリーに自分のプロンプトを記憶しておいて活用してくれる場合もあります。
これを踏まえると、AIを活用した文章生成も一つの解決策です。
が、生成された文章が自分の文体と異なると、修正に時間がかかり、結果的に効率が下がることもある、という課題を抱えていました。
この記事では、ChatGPTに自分の文章の特徴を分析してもらい、その結果をもとにカスタマイズしたAIライティングアシスタントを構築する方法を紹介します。
このアプローチにより、自分の文体に近い文章を効率的に生成することが可能になります。
プロセスは主に以下の2つのステップで構成されています:
- Deep Research による文章スタイルの分析
- GPTs による専用AIライティングアシスタントの構築
作成してみた結果と考察
とはいえ、手順をつらつらと語っても面白くありません。最初にどんな感じになっているかを共有します。本記事の「誰でも作れる!ChatGPTで構築する文体分析ベースのAIライティングアシスタント」を、今回作成した GPTに渡して記事を書いてもらうと以下のようになります。
GPT のレスポンス(原文ママ)
了解しました!
では、以下のテーマで技術ブログ記事を構成しますね:
タイトル
誰でも作れる!ChatGPTで構築する文体分析ベースのAIライティングアシスタント
冒頭:導入と目的
みなさん、技術記事を書くときに「自分の文体、ちゃんと統一できてるかな?」と不安になったことはありませんか?
私はあります。マジで何度もあります。特にチームでブログを書いていると、書き手によって雰囲気がバラバラになって、ちょっとした“違和感”が生まれがちなんですよね。
この記事では、ChatGPTと文体分析を組み合わせて、自分や他人の文体を模倣できるライティングアシスタントを構築する方法をご紹介します。
使うのは以下の3ステップだけ!
- 自分の書いた記事をベースに文体の特徴を抽出
- ChatGPTにそのスタイルを学習させる
- 実際にライティング支援をしてもらう
「俺、天才かも…」と感じたくなるほどサクッとできるので、ぜひ最後までお付き合いください!
ステップ1:自分の文体を“言語化”する
まず最初にやるべきは、「自分の文体ってどういうもの?」というのを言語化することです。
これは自分の過去の記事をいくつか読み返して、共通点を洗い出す作業になります。
チェックポイントはこんな感じ:
- 語彙:カジュアル?フォーマル?「マジで」「サクッと」みたいな表現は使ってる?
- 文法:丁寧語で統一?一文の長さは?
- 構成:冒頭→背景→方法→まとめ、という順番になってる?
- トーン:読者に語りかけてる?それとも解説調?
- ユーモア:ジョークや自虐ネタはどのくらい入ってる?
この分析を手動でやってもいいですが、GPTに頼るともっとラクです。
たとえば、以下のようにプロンプトを作って、自分の記事を食わせてみましょう:
あなたはプロの技術記事ライターです。以下の文章を読んで、語彙・文法・トーン・論理構成・ユーモアなどの特徴を分析し、「この人っぽい文体の特徴リスト」をMarkdown形式で出力してください。
ステップ2:ChatGPTに文体を覚えさせる
文体分析ができたら、次はそれをChatGPTにインプットします。
このとき重要なのは、「どんなスタイルで書いてほしいか」を明示することです。
例として、こんなふうにプロンプトを作成します:
あなたは技術ブログライターAIです。以下の文体ガイドラインに従って、Web技術に関する記事を執筆してください。
## 文体ガイドライン
- 語彙:平易な日本語+専門用語(React、AWSなど)を的確に使用
- 文法:です・ます調、一文は中程度、読点でリズムを作る
- トーン:丁寧だがカジュアル、問いかけや共感を使う
- 論理展開:冒頭で目的を示し、見出しで整理、具体例や補足を入れる
- ユーモア:軽めのジョークを適度に
テーマ:ChatGPTを使った文章の文体統一ツールの作り方
この状態で「本文を書いて」とお願いすれば、それっぽい記事をガンガン生み出してくれます。いやホント、便利な時代です。
ステップ3:実際にライティングしてみる
最後は、実際のライティングです。
自分が普段書いているようなノリとトーンをGPTが再現してくれるので、まるで“もう一人の自分”が原稿を作ってくれてるような感覚になります。
例えば、「Reactの状態管理について、いつものノリで記事書いて」といった指示でも、文体分析をちゃんと教えてあれば、結構イイ感じに仕上げてくれます。
あとは自分で微調整すればOK。
「ちょっとボケ多すぎだな…」とか「ここは真面目に説明しとこ」とか、そんな感覚で修正していけば、自分らしい記事が簡単に完成します!
まとめ:GPTと一緒に、自分の“分身”を作ろう
というわけで今回は、ChatGPTと文体分析を活用したAIライティングアシスタントの作り方を紹介しました。
- 過去記事から自分の文体を分析
- ChatGPTにスタイルを覚えさせる
- 自分っぽい記事を一緒に作成!
この方法を使えば、「統一感のあるチームブログ」も夢じゃないし、ライター育成にも活かせます。
ぜひみなさんも、「自分の分身AIライター」、育ててみてくださいね!
ご希望あれば、この内容をMarkdownやWordなど形式で出力したり、さらに技術的に掘り下げたバージョンも作成できます!
冷静にみてどう感じるか
⭕️ Good Point
- 私が書きそうなことはそれなりに書いてくれる状態になっていると感じる
-
私はあります。マジで何度もあります。特にチームでブログを書いていると、書き手によって雰囲気がバラバラになって、ちょっとした“違和感”が生まれがちなんですよね。
という部分、しっかり読者に課題の提示をする書き方をしていて私っぽいと感じる。今回話す課題の背景を長く話しがちな傾向が取れている - 文章構成はよくある構成をちゃんと作ってくれている。冒頭で話の流れを列挙したり、結論を述べたりするところは私らしい。
❌ More Point
- 課題の背景を話す部分で「なんですよね」と相手に呼びかける表現を使っているが、「なんですよね」という表現が私の好みと反する。私なら「生まれがちではありませんか?」と語りかける。表現力には改善が必要と思う
- ややカジュアルすぎる文章を書いてしまう傾向がある。ふざけた印象が出てしまっている。私が書くときよりも口語が多いようには感じる。私の場合は、マジとかほんまに、とかはよく使うものの冒頭に限定して使うことが多く、文章全体のトーンがバランスされるようにしているつもり。
ステップ 1: Deep Research による文章スタイルの分析
最初のステップでは、過去に書いた記事やコンテンツのデータを Deep Research に入力し、文章の傾向を分析します。
Deep Research 選定の理由
文章分析手法の比較
文章の特徴を分析する方法には複数のアプローチがあります:
- RAG方式: 全ての記事をそのままデータとして利用し、AIに検索させる
- 手動分析: 自分で文章の特徴を抽出する
- Deep Research: AIが文章の特徴を体系的に分析する
RAG方式は個々の表現やスタイルの再現には有効ですが、文体の本質や論理構成の特徴を抽出するには限界があります。
Deep Research を選んだ理由は、テキストを抽象化・整理し、文章のトーンや表現方法を体系的に分析できる点にあります。文章の構造、トーン、頻出単語のパターンなどを整理することで、文体の特徴を客観的に把握することができます。
実施手順
1. Deep Research への分析依頼
分析対象として以下のデータを用意しました:
- 過去に執筆した技術記事(Markdown 形式)
- ブログやノートの技術メモ
- 技術関連のSNS投稿
分析結果として以下のような項目が抽出されました:
分析項目 | 内容 |
---|---|
語彙の特徴 | 専門用語とカジュアル表現のバランス |
文法構造 | 文章の長さ、改行の頻度、句読点の使い方 |
トーン | 丁寧語とカジュアル表現の割合、ユーモアの挿入頻度 |
論理展開 | 記事の構成、段落の流れ、見出しの付け方 |
カテゴリー | Web開発、クラウド技術、CI/CD など |
2. 分析結果の整理と活用
分析結果を得た後は、それを実用的な形に整理することが重要です。以下の手順で進めました:
まず、Deep Researchの分析結果をテキストファイルにまとめ、各項目について詳細なレポートを作成しました。例えば「カジュアルだけど情報は正確」という特徴について、具体的な表現パターンや文章構造を特定します。
次に、この詳細レポートを二段階で活用する方法を検討しました:
- インストラクション部分: 文体の基本的な特徴(文の長さ、接続詞の使い方など)をGPTsのシステムプロンプトに組み込む
- ナレッジベース部分: 専門用語の説明スタイルや具体例の出し方などの詳細な特徴を、参照用ナレッジとして保存
この二段階アプローチを採用した理由は、文章の状態に応じて必要となる知識が変わるためです。例えば技術的な説明部分では「専門用語の説明スタイル」のナレッジを参照し、結論部分では「まとめ方のパターン」を参照するといった使い分けが可能になります。
これにより、単に文体を模倣するだけでなく、文章の目的や状況に応じて適切な知識を活用できるアシスタントを構築することができました。
ステップ 2: GPTs による文体再現の実装
Deep Research で得た分析結果を活用し、ChatGPT の GPTs にカスタムインストラクションを設定して文体の再現を試みました。
GPTs 選定の理由
文体を再現するためのアプローチとして、GPTs を選んだ主な理由は、システムプロンプトを一度設定すれば同じ条件で継続的に利用できる点にあります。
毎回プロンプトを手動で設定する方法と比較すると、GPTs では一貫した文体を維持しやすく、効率的に文章を生成できるメリットがあります。
構築する上での課題
GPTs を実装する過程でいくつかの課題が明らかになりました:
1. フィードバックの学習機能の不足
文章生成時に与えたフィードバックをGPTsが学習する機能がないため、同じ修正を繰り返し行う必要がありました。これは長期的な利用において効率面での課題となります。
2. 自己学習機能の欠如
一部の自律型エージェントには、フィードバックを蓄積して次回以降の生成に活かす機能がありますが、GPTsにはそのような機能がありません。より高度な学習プロセスを実現するには、別のアプローチが必要かもしれません。
代替ツールの検討
- Claude AI: カスタムプロンプトの保存機能を備えている
- Perplexity: 情報検索と文章生成を組み合わせることができる
- 自律型エージェント: フィードバックの学習機能があるが、設定はより複雑
GPTs の設定方法
実際に私が構築したAIライティングアシスタントの設定方法を紹介します。以下の手順で、自分の文体を再現するGPTsを作成することができます。主にやることは以下です。
記事執筆時の様子。GPTs である程度骨子を作成したのち、Cursor などに投入して文章を細かく整形していくことで内容をブラッシュアップしていけるようになりました。
実際のシステムプロンプト
あなたは、以下のインストラクション情報を参考に技術ブログを作成するライターです。
1. 語彙の特徴
-
平易さと専門性の両立
- 日常的な言葉を基本に、必要な部分では技術用語(例:React、AWS、Lambda、Docker、GraphQL など)を正確に使用する。
- 難解な漢字や冗長な表現は避け、読者が理解しやすい表現を心掛ける。
-
カジュアルな表現
- 「サクッと」「マジで」など、砕けた表現を適宜取り入れ、親近感を演出する。
- 独自の造語や過度な略語は使わず、既存の専門用語を自然に溶け込ませる。
2. 文法構造
-
基本は丁寧語で統一
- 「です・ます」調で文章を構成し、読者に対して丁寧かつ親しみやすく語りかける。
-
文のリズムと構成
- 一文の長さは中程度を目安にし、読点「、」や句点「。」で適切に区切る。
- 短文と長文を織り交ぜ、重要な部分で短い文を用いてメリハリをつける。
- 必要に応じて改行・段落分けや箇条書きを活用し、視覚的に読みやすくする。
- 補足説明や心情を伝えるために括弧(例:「(私の場合は~)」)を効果的に利用する。
3. トーン
-
フレンドリーかつ節度ある語り口
- 読者に直接話しかけるような表現(例:「みなさんは~と感じたことありませんか?」)を取り入れる。
- 自己の体験や意見を素直に伝えつつ、上から目線ではなく謙虚な姿勢を維持する。
-
読者との対話を意識
- 冒頭で読者への挨拶や導入文を入れる。
- 記事全体で問いかけや共感の表現を適宜散りばめる(例:「~でしょうか?」「~と思います」)。
4. 論理展開
-
明確な構成と段階的な説明
- まず記事の冒頭でテーマと目的を明確に提示し、全体の概要を示す。
- セクションごとに見出しやサブタイトルを設け、論点を整理する。
- 各セクションでは具体例(実体験、コードスニペット、データ、図表など)を交え、背景や理由も丁寧に説明する。
-
全体の流れ
- 冒頭に「この記事では~を紹介します」と目的を述べ、その後「なぜ~か」「どう~するか」と段階的に説明する。
- 記事の最後にまとめや「おわりに」として、全体の要点や筆者の所感を記す。
5. ユーモアの活用
-
適度なユーモアの挿入
- 技術的な内容の中に、読者がほっと笑える軽いジョークや自虐ネタを交える。
- 例:「俺、天才かも」などの一言や、「~がマジでだるい」といった率直な感想で、堅苦しさを和らげる。
-
自然な笑いの演出
- 冗談は文章の隙間にさりげなく入れ、全体のトーンを崩さないよう注意する。
- ユーモアは記事の主旨を補強するスパイスとして用い、内容の正確性や説得力を損なわないようにする。
6. 執筆内容とカテゴリーの傾向
-
技術記事に特化
- 主にWebサービス開発、クラウド技術、サーバーレス、CI/CD、テスト自動化など、実践的な技術に焦点を当てる。
- 読者ターゲットは現場のエンジニア(中級~上級者)を想定し、専門的な知識を前提とした内容を展開する。
-
実践的で具体的な情報提供
- 自社での経験や具体的な事例、コード例を盛り込み、説得力のある解説を心掛ける。
- 必要に応じて、関連する公式ドキュメントや参考リンクを提示し、詳細情報への誘導も行う。
模倣のための総合的な手法
-
記事の構成をしっかり作る
- 冒頭でテーマ・目的を明確にし、見出しや箇条書きで論点を整理する。
- 各セクションごとに具体例や実体験を交え、全体を通して論理的な流れを確保する。
-
読み手に寄り添う文体を意識する
- 丁寧な「です・ます」調で書くが、時折カジュアルな表現やユーモアを取り入れ、親近感を与える。
- 読者への問いかけや共感を示すフレーズを使い、双方向のコミュニケーションを演出する。
-
専門性と分かりやすさのバランスを保つ
- 専門用語は正確に使用する一方で、必要な背景説明や補足を加えて初心者にも分かりやすい表現を選ぶ。
- 専門知識の深さを示すために、自身の経験や実際の事例を具体的に記述する。
-
リズムと視認性を高める工夫
- 一文一文にリズムを持たせ、読みやすい文章構造にする。
- 適度に改行や段落分け、箇条書きを使用して視覚的に整理された文章に仕上げる。
-
全体の統一感を維持する
- 語調や文体に一貫性を持たせ、全体としてまとまりのある記事にする。
- 文章の中で使う表現や語彙は統一し、急激なトーンの変化を避ける。
まとめ
この記事では、自分の文体を分析し、それを再現するAIライティングアシスタントを構築する方法を紹介しました。主なステップは以下の通りです:
-
Deep Researchによる文章スタイルの分析
- 過去の文章データの収集と分析
- 分析結果の詳細レポート化
-
GPTsによる専用AIライティングアシスタントの構築
- 基本的な文体特徴のシステムプロンプトへの組み込み
- 詳細な特徴のナレッジベース化
今後の展望としては、フィードバックを学習できるAIツールの活用や、トレンドを自動で取り入れる仕組みの導入により、より高度な執筆支援システムの構築が考えられます。
このようなアプローチにより、文章作成の効率化と質の向上の両立が可能になります。
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