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IPv6基礎検定合格体験記

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はじめに

2025年4月末にIPv6基礎検定を受験し,無事合格しましたので合格体験記を書いていきます.
IPv6基礎検定を受けるまでの経緯や受験のきっかけ,自分が行った勉強方法などをまとめていきます.

目次

IPv6

IPv6(Internet Protocol version 6)はIPv4アドレスの在庫枯渇問題の解決策として開発されました.
IPv4アドレスは32ビット(約42億個)のアドレス空間を持ちますが,IPv6は128ビット(約340澗個)のアドレス空間を持ち,膨大な数のIPアドレスを提供します.
IPv4ヘッダは可変調にあるのに対して,IPv6ヘッダは固定長でありIPv拡張6オプションによって様々な拡張機能を提供します.
IPv6に関するRFCが様々あるため,IPv6の仕様を理解するためにはRFCを読むことが重要です.

IPv6基礎検定

IPv6基礎検定は一般社団法人日本ネットワーク技術者協会が実施している資格試験で,IPv6に関する基礎的な知識を問う検定です.
IPv6が普及していく中で,IPv6がわかるネットワークエンジニアの育成のために設立されました.

IPv6基礎検定公式サイト

試験概要

  • 試験名称:IPv6基礎検定(英名:IPv6 Engineer Qualifying Basic Examination)
  • 対象:初級ネットワークエンジニアとネットワークの運用管理を行う方
    • ※初級ネットワークエンジニアとは:インフラエンジニアとしてネットワークの基礎知識がある方
  • 概要:IPv6の基礎的な知識を問う試験
  • 主教材での想定学習時間:約40時間を想定
  • 設問数: 40問
  • 受験時間: 60分
  • 合格基準: 70%正解
  • 受験期間: 通年
  • 受験料金: 7,000円(税抜き)
  • 試験会場: 全国350か所のCBT-Solutionsテストセンター

受験のきっかけ

受験のきっかけはこの後述べる勉強会に参加したことです.
勉強会の参加者はIPv6基礎検定の受験料を負担してくれるということで,受験を決意しました.
また,過去に勉強会に参加していた方たちも受験しておりそれに続く形で受験を決めました.

勉強方法

勉強会

広島地域IPv6推進委員会が約1年間かけて開催しているIPv6勉強会に参加しました.
参加者は大学生だけではなく実際にIPv6に携わっている・これから導入を検討している会社で働いている社会人の方も多く参加しており,勉強の刺激になりました.
勉強会ではプロフェッショナルIPv6第二版を中心に学習を進めました.毎回決められた範囲を読み進めて,その範囲に関する内容を発表し合う形式で進められました.勉強会が一通り終わると,それぞれが担当した範囲の内容から2~3問の問題を作成し,これからIPv6基礎検定を受験する人たちに向けて問題集を作成しました.

参考書

勉強にあたって2種類の参考書を使用しました.

  1. マスタリングTCP/IP入門編
  2. プロフェッショナルIPv6第二版

一つ目の「マスタリングTCP/IP入門編」は,ネットワークを学ぶ上での基礎的な知識を身につけるために使用しました.IPv6はIPv4の知識や理解があるとよりスムーズに学ぶことができるので,IPv4の基礎的な知識を身につけるためにこの参考書を選びました.また,IPv6の基礎的な知識も網羅されているので,IPv6の入門書としても適しています.

二つ目の「プロフェッショナルIPv6第二版」は,IPv6の詳細な知識を身につけるために使用しました.参加しました勉強会では,この参考書を中心に学習を進めました.この参考書は,IPv6の基本的な概念から,アドレスの割り当て方法,ルーティング,セキュリティなど,幅広内容が網羅されており,IPv6の専門的な知識を深めるのに非常に役立ちました.また,電子版が無料で公開されているため,手軽に入手できる点も魅力的でした.ただし,内容が専門的であるため,初学者には少し難しいかもしれませんが,IPv6の基礎を理解した上で学習を進めると良いでしょう.

参考動画(重要!)

一般社団法人日本ネットワーク技術者協会のIPv6基礎検定ページで推奨されている「IPv6の有識者 小川晃通さんからIPv6を学ぼう【セミナー動画】」から入門し,小川さんが解説している動画を見漁りました.特に,IPv6解説シリーズがプレイリストにまとめられているのでこれを一通り見ておくとかなり効果的でした.また,IPv6概論シリーズIPv6アドレスの自動設定IPv6のセキュリティといった少し踏み込んだ内容のプレイリストがあり,試験に出てくる頻度は低いですが理解しておくことでより深い知識を得ることができました.

オリジナル問題集

IPv6基礎検定は公式に問題集というものを提供していないため,対策のために独自に問題集を作成しました.検定は基本的に4択問題になっているので作問はそれほど難しくありませんでした.作成方法は,プロフェッショナルIPv6第二版の電子版が無料で公開されているので,これをChat-GPTに読み込ませて章ごとに5から10問ずつ作問してもらいました.しかし,Chat-GPTは正確な情報を出力するとは限らないので,出力された問題の正誤を確認する必要がありました.ここで確認をする作業をすることによって参考書の読み直しと自分での理解に努めることができました.

おわりに

普段はセキュリティのことをやっているのですが,研究室がネットワークとセキュリティ系ということで,ネットワークに興味をもって積極的に学ぶことができました.
今後,IPv6はますます普及していき,セキュリティにおいても考慮する必要が出てきくると思うのでアンテナを張って情報収集を続けていきたいと思います.
また,IPv6基礎検定を実施している一般社団法人日本ネットワーク技術者協会では,合格体験記を募集しており「IPv6マグカップ」をいただきました.

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