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フロントエンドエンジニアがAIの力を借りてバックエンドの実装を学ぶ

に公開

うぐいすソリューションズ Advent Calendar 12 日目。担当のかぴばらです!

前回の記事は結構みてくださった方がいてとてもドキドキしました 🙃
次もたくさん読んでいただけると嬉しいです!

私はこれまでフロントエンドを主に担当してきたというのもあり、バックエンドの知識がほぼ皆無でした。
AI でアプリケーションが簡単に作れるようになったので、バックエンドの知識が全くないのは如何なものかと思い、簡単な CRUD を使っているアプリを作って、それを解説してもらうという方法で学習してみました!
これから書く内容は私自身が理解した内容の忘備録ではあるのですが、これからバックエンドを学ぼうとしている方の勉強の一助になれば嬉しいです!!
いわゆるレイヤードアーキテクチャ?について学習しました!

🎯 目次

  1. 技術選定について
  2. NestJS アーキテクチャの全体像
  3. リクエスト処理の流れ
  4. 主要コンポーネント
  5. 依存性注入(DI)
  6. データベース操作
  7. まとめ

1. 技術選定について

どうして、バックエンドのスタックで NestJS を選択したかというと以下が当てはまって自分には理解しやすいかなと思ったからです。

  • 私自身が Typescript をよく使うこと
  • NestJS を使ったことがあったこと
  • NestJS の記憶が新しい(つい 2-3 年前に使っていた)こと

Java も遠い昔に経験があるのですが、Java8 の知識で止まっているというのもありました。

2. NestJS アーキテクチャの全体像

レイヤードアーキテクチャ

バックエンドを知る上で、アーキテクチャの話はなんとなく理解できていたのですが再度復習。
NestJS では以下のようなレイヤードアーキテクチャをとることが一般的なようです。
フローで示すと以下のような流れになっており、データの流れがわかりやすいですね。
フロントエンドをしているとなかなかデータの流れを追いにくい部分があったりするので、構成ではっきりわかる形になっているとすごく美しく感じますね!

┌─────────────────────────────────┐
│   Controller                    │
└─────────────────────────────────┘
           ↓
┌─────────────────────────────────┐
│   Service                       │
└─────────────────────────────────┘
           ↓
┌─────────────────────────────────┐
│   Repository                    │
└─────────────────────────────────┘
           ↓
┌─────────────────────────────────┐
│   Database                      │
└─────────────────────────────────┘

主な責任分担

レイヤー 責任
Controller ルーティング HTTP リクエストを受け取る
Service ビジネスロジック メールアドレス重複チェック
Repository データアクセス データベースから取得・保存

3. リクエスト処理の流れ

レイヤードアーキテクチャまでは記憶があったのですが、私の場合はリクエストの流れについての理解があまり正確ではありませんでした。

理解していなかったポイントとしては、

  • Middleware の実行タイミングと実行時に何をするのか
  • Guard って何?
  • Pipe って何?

みたいなところが主に理解できていませんでした。

まずは実行順序から...

実行順序

リクエスト
    ↓
1. Middleware          リクエスト前処理
    ↓
2. Guard               認証・認可
    ↓
3. Interceptor(Before) リクエスト前処理
    ↓
4. Pipe                データ変換・バリデーション
    ↓
5. Controller          ハンドラー実行
    ↓
6. Service             ビジネスロジック
    ↓
7. Repository          データベース操作
    ↓
8. Interceptor(After)  レスポンス後処理
    ↓
レスポンス

「コントローラに行くまでにこんなに処理挟むんだ」と少し驚きました。

各コンポーネントの役割

各コンポーネントの役割については以下の表の通りです。

NestJS で実装すると Guard や Pipe などを使って認証・認可やバリデーションをしているということがわかりました。
実際にソース見るとすごくわかりやすかったです。

コンポーネント タイミング 用途
Middleware 最初 ロギング、CORS、リクエスト ID
Guard Middleware 後 認証・認可
Interceptor Guard 後/Controller 後 レスポンス変換、キャッシュ
Pipe Controller 前 型変換、バリデーション

3. 主要コンポーネント

私が(主に Claude がですが)作った実際のコードを用いてみていきましょう。

3.1 Module (モジュール)

まずはモジュールから。
モジュールとはアプリケーションを構成する基本単位のことを指すようです。
関連する機能を 1 つのまとまりとしてグループ化するための仕組み。
user というモジュールでは UserController を使っていて、サービスは UserService というのを使っているよ!
みたいなのを登録しています。
exports することで、他のモジュールでも UserService を利用可能になっているということです!

要するにこの機能に関連するもの(コントローラとかサービス)はこれだよ!みたいなのを見えやすくしているということですね!
あとは、DRY 原則に基づいて同じ実装している箇所をまとめられるということでした。

あとはカプセル化して他の機能がその機能の詳細を知らなくても IF だけわかればいい状態にできるというメリットもあります。
きゃー!素敵ー!

役割: 機能をグループ化

@Module({
  imports: [TypeOrmModule.forFeature([User])],
  controllers: [UserController],
  providers: [UserService],
  exports: [UserService],
})
export class UserModule {}

ポイント:

  • imports: 他のモジュールをインポート
  • controllers: コントローラーを登録
  • providers: サービスを登録
  • exports: 他のモジュールで使えるようにする

3.2 Controller (コントローラー)

そしてコントローラです。
リクエストを受け取ってどのサービス(業務ロジック?)を実行するかを振り分ける役割があります。

そしてここで @UseGuardsというアノテーションを使って利用されるのが Guard というものになります。
他にも DTO に定義された通りの型になっているかを検証する Pipe というものもあります。
NestJS では RequestBody の DTO に定義された通りに型チェックが走るようになっているようでした。便利すぎる。。。

Guard や Pipe についての説明は後ほどします。

役割: HTTP リクエストを受け取る

@Controller("users")
@UseGuards(JwtAuthGuard)
export class UserController {
  constructor(private readonly userService: UserService) {}

  @Get()
  async findAll(): Promise<SuccessResponseDto<UserResponseDto[]>> {
    const users = await this.userService.findAll();
    return new SuccessResponseDto(users, "Users retrieved successfully");
  }

  @Get("profile")
  async getProfile(@Request() req: AuthenticatedRequest) {
    const user = await this.userService.findById(req.user.id);
    return new SuccessResponseDto(user, "Profile retrieved successfully");
  }

  @Patch("password")
  async changePassword(
    @Request() req: AuthenticatedRequest,
    @Body() changePasswordDto: ChangePasswordDto
  ) {
    await this.userService.changePassword(req.user.id, changePasswordDto);
    return new SuccessResponseDto(null, "Password changed successfully");
  }
}

ポイント:

  • @Controller('users'): /usersのルートを処理
  • @Get(), @Post(), @Patch(): HTTP メソッド
  • @UseGuards(): ガードを適用
  • @Body(), @Request(): リクエストデータを取得

3.3 Service (サービス)

そしてサービスになります。
ここでは主に業務ロジックを書いていくことになり書いていくことになります。
あとは、その検証ですかね。
検証というのは「存在しているユーザかどうかをチェックして存在していなければエラーを出す」みたいなことです。
簡単にいうと、業務的に正しいかをチェックしています。
あとは、ここであまり DB の操作の実装をすることはなく、TypeORM などの機能をつかって DB アクセスしたりカスタマイズで Repository という層を作ったりして DB アクセス部分を外に出したりします。
ここで重要なのは「UserService という機能が DB アクセスの時の詳細を知らないこと」です。
IF だけ知っていて、どの値を渡すかだけ知っていればいいみたいなことですね。

@Injectable() について

@Injectable()アノテーションは、ざっくり言うと「Nest さん!このクラスを管理してぇ!」ってことです。
このアノテーションを使うことで、DI コンテナに登録され、必要な時に自動的にインスタンス化されて注入されます。
つまり、new UserService()のように自分でインスタンスを作る必要がなくなります。

また、@Injectable()を付けたクラスは、デフォルトでシングルトン(アプリケーション全体で 1 つのインスタンスのみ)として管理されるため、不要にインスタンスが重複するのを防いでくれます。

DI って便利だなぁと感動しました(KONAMI)

役割: ビジネスロジック

@Injectable()
export class UserService {
  constructor(
    @InjectRepository(User)
    private userRepository: Repository<User>
  ) {}

  async create(registerDto: RegisterDto): Promise<UserResponseDto> {
    // ビジネスロジック: メールアドレスの重複チェック
    const existingUser = await this.userRepository.findOne({
      where: { email: registerDto.email },
    });

    if (existingUser) {
      throw new ConflictException("Email already registered");
    }

    // データベースに保存
    const user = this.userRepository.create(registerDto);
    const savedUser = await this.userRepository.save(user);

    return new UserResponseDto(savedUser);
  }

  async findById(id: number): Promise<UserResponseDto> {
    const user = await this.userRepository.findOne({ where: { id } });

    if (!user) {
      throw new NotFoundException("User not found");
    }

    return new UserResponseDto(user);
  }
}

ポイント:

  • @Injectable(): DI コンテナに登録
  • ビジネスロジックの検証
  • Repository を使ってデータベース操作

3.4 Guard (ガード)

続いて Guard です。
Guard は基本的には認証認可などのチェックの役割があります。
ここで検証した内容で通らなかったら Controller に入る前に弾かれます。
私はこの Guard = 型チェックをする だと思っていたので、改めて意味を知って衝撃を受けました。

意味的には「このリクエストは処理してもいいか?」を判別するためのものです。

用途の例としては以下のものがあるようです。

用途 説明
認証・認可 ログインしているか、権限があるか
レート制限 リクエストが多すぎないか
メンテナンスモード サービスが利用可能か
機能フラグ この機能を使えるユーザーか
営業時間 今アクセスして良い時間帯か
地域制限 アクセス可能な地域からか
所有権チェック 自分のリソースにアクセスしているか
API バージョン サポートされているバージョンか

役割: 認証・認可のチェックなど

@Injectable()
export class JwtAuthGuard extends AuthGuard("jwt") {
  canActivate(context: ExecutionContext) {
    // JWTトークンを検証
    return super.canActivate(context);
  }
}

// 使用例
@Controller("users")
@UseGuards(JwtAuthGuard) // ← ログイン必須
export class UserController {}

ポイント:

  • コントローラー実行前にチェック
  • trueを返すと処理続行、falseで拒否

3.5 DTO (Data Transfer Object)

DTO は基本的には IF の設定になります。
その中で、 @IsEmail といったアノテーションを使ってチェックを行います。
私はここで大きな勘違いをしていて、「DTO に定義さえしておけば勝手にチェックされる」と思っていたのですが実際には
「ここで定義した上で、Validation Pipe がそれを見てチェックを実行すると言うことでした。
なので、DTO のアノテーション = Pipe という認識は間違っていることを学びました。
global に DTO の定義を用いたバリデーションを行うには、main.ts にて以下のような実装をする必要があります。

app.useGlobalPipes(new ValidationPipe());

設定が必要とはいえ、これだけで勝手に DTO 定義を見てバリデーションかけてくれるの嬉しいですね!

役割: 入力データの形式定義とバリデーションの定義(バリデーションの実行は Pipe)

export class CreateUserDto {
  @IsEmail()
  @Transform(({ value }) => value.toLowerCase().trim())
  email: string;

  @IsString()
  @MinLength(2)
  @MaxLength(50)
  name: string;

  @IsString()
  @MinLength(8)
  @Matches(/^(?=.*[a-z])(?=.*[A-Z])(?=.*\d)/)
  password: string;
}

ポイント:

  • class-validatorでバリデーション
  • class-transformerでデータ変換
  • ValidationPipe が自動的に検証

3.6 Pipe (パイプ)

そして、バリデーションの実行をしてくれる Pipe さんです。
平易なチェックは基本 DTO の定義を見て勝手に ValidationPipe さんが実行してくれるものでなんとかなりそうです。
どういう場合にカスタマイズが必要なのかは、特に調べていないので気になった方は調べてみてください 🙇

役割: データ変換・バリデーション

// グローバル設定
app.useGlobalPipes(
  new ValidationPipe({
    whitelist: true,
    transform: true,
  }),
);

// 個別使用
@Get(':id')
async findOne(@Param('id', ParseIntPipe) id: number) {
  // "123" → 123 (文字列から数値に自動変換)
}

ポイント:

  • ValidationPipe: DTO のバリデーション
  • ParseIntPipe: 文字列 → 数値変換

3.7 Entity (エンティティ)

私自身、昔は DTO と Entity の違いがわかっていませんでした。
DTO は Request や Response の方を決めるもので、Entity はテーブルの項目定義そのものだったんですね。
要するに該当のテーブルではどういう項目を持っているか、プライマリキーは何か、ユニークかどうかみたいな情報を持っているものが Entity になります。
この情報を使って Repository が DB を操作するということですね。

また、単体のテーブルの情報だけでなくテーブル間のリレーションの情報も Entity には記載されていたりします。
ライフサイクルフックを用いて保存前後の処理も定義したりできるようです。ライフサイクルフックについては私は使ったことがないです。

役割: データベーステーブルの定義

@Entity("users")
export class User {
  @PrimaryGeneratedColumn()
  id: number;

  @Column({ unique: true })
  email: string;

  @Column()
  name: string;

  @Column({ select: false })
  password: string;

  @CreateDateColumn()
  createdAt: Date;

  @UpdateDateColumn()
  updatedAt: Date;

  @OneToMany(() => Task, (task) => task.user)
  tasks: Task[];

  @BeforeInsert()
  @BeforeUpdate()
  async hashPassword() {
    if (this.password && !this.password.startsWith("$2b")) {
      this.password = await bcrypt.hash(this.password, 12);
    }
  }
}

ポイント:

  • TypeORM がテーブルとマッピング
  • リレーションシップを定義
  • ライフサイクルフックで自動処理

3.10 Repository (リポジトリ)

そして最後に Repository です。
データベース操作を基本的に担当します。
今回私が作ったツールでは基本的な実装しかしなかったので typeorm にある機能で DB 操作をしていました。
とても簡単でした!
より複雑なクエリを実行したい場合は、カスタマイズした Repository を定義することも可能です。

役割: データベース操作

@Injectable()
export class UserService {
  constructor(
    @InjectRepository(User)
    private userRepository: Repository<User>
  ) {}

  async findAll(): Promise<User[]> {
    return this.userRepository.find();
  }

  async findOne(id: number): Promise<User> {
    return this.userRepository.findOne({ where: { id } });
  }

  async create(data: CreateUserDto): Promise<User> {
    const user = this.userRepository.create(data);
    return this.userRepository.save(user);
  }

  async update(id: number, data: UpdateUserDto): Promise<User> {
    await this.userRepository.update(id, data);
    return this.findOne(id);
  }

  async delete(id: number): Promise<void> {
    await this.userRepository.delete(id);
  }
}

主要メソッド:

  • find(): 複数件取得
  • findOne(): 1 件取得
  • create(): インスタンス作成
  • save(): 保存
  • update(): 更新
  • delete(): 削除

4. まとめ

4.1 アーキテクチャの全体像

全体的な処理の流れは以下の通りでした!
今回、Middleware と Interceptor については触れませんでしたが、実際にはこんな感じで処理に含まれています。

Middleware → Guard → Interceptor → Pipe → Controller → Service → Repository → Database

4.2 各コンポーネントの責務

触れなかったところも含めた処理の流れの中で各コンポーネントの責務としては以下のようにまとめます。

コンポーネント 責任
Module 機能のグループ化
Controller ルーティング
Service ビジネスロジック
Repository データベース操作
Guard 認証・認可
DTO 入力バリデーション
Pipe データ変換
Interceptor レスポンス加工
Middleware リクエスト前処理
Entity テーブル定義

4.3 学習した感想

具体的な処理の流れだったり各コンポーネントの責務が明確にわかるようになって、バックエンドの処理でエラーになった時にここら辺かなぁという当てかんがつきやすくなりました。
今はタスク管理とは違うアプリを作ってみているのですが、今回学んだ内容に当てはめて知識をアップデートできているのでとても楽しいです!
Next.js(App router)のベストプラクティスで実装してもらって解説してもらうのもいいなと思ったので、今後やってみたいなと思いました!

個人的に良かったなと思った点は、実装完了後に「⚫︎⚫︎ について学習したいのでカリキュラムを組んでください」と言ったら結構いい感じに章立てて説明を作ってくれたことです。
あとはカリキュラム通りに学べば基本的なことを教えてくれるし、質問もたくさんして理解を深められました!

皆さんも是非 AI を活用して新しい分野の知識を取り入れていきましょう!

長々と読んでいただきありがとうございました!

うぐいすソリューションズ Advent Calendar 次回は PM などのロールで活躍されているOsada さんになります!
お楽しみに!

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