AWS Certified Solutions Architect - Professional (SAP-C02) 合格記
AWS Solutions Architect - Professional(SAP-C02)に合格しましたので、合格記としてまとめました。AWS認定試験を受けるのはこれが初めてです。
AWS Solutions Architect - Professional(SAP-C02)とは
AWS Certified Solutions Architect - Professionalは、12つあるAWS認定の中で、組織や開発における課題に対し、総合的なソリューション設計スキルを認定する資格です。
同じSolutions Architect試験のAssociateよりも高度な認定という位置付けになります。
本試験に合格するには、AWSのアーキテクチャ設計原則とサービスを深く理解し、複雑なソリューションを設計、展開、および最適化する能力が必要と言われています。
試験は180分で75問の単一選択、もしくは複数選択問題形式で、シナリオベースの問題に対する最適なソリューションを選択する能力を確認されます。
合格のための学習と準備にはそれなりの時間と労力が必要です。私の場合は後述。
筆者について
本試験を受ける前提知識の参考として、筆者について。
IoTベンチャーで2年半、Webエンジニアをしています。
AWS歴も2年半で、以前は組み込みエンジニアやってたので開発の経歴はもっと長いですが、AWSはWebエンジニアになってから関わることになったのでそれほど長くないです。
所持資格は学生時代に取った基本情報、ソフトウェア開発技術者(現 応用情報)のみで、他のAWS認定は持っていません。
なぜ受けたのか
- スキルアップ
業務で利用するAWSのサービスについては都度勉強していましたが、体系的な学びはあまりやっていませんでした。AWSのサービスは膨大なので知らないサービスも多いです。それらのサービスを知っておくことで、業務でのよりよい提案やエンジニアリングに繋がるかなと考えました。 - 証明
スキルアップしたいと言っても、業務でそれなりに利用してるので、そこそこのスキルは身についてきたかなと思っています。ただ、それを人に説明して分かってもらえるモノがないなと思い、分かりやすく手っ取り早い手段としてAWS認定に挑戦してみることにしました。
AWS認定の中でもSAP-C02を受けたのは、AWSのサービスを網羅的に習得したかったというのがあります。より深い専門知識を問うSpecialty認定もありますが、まずは全体把握からかなと。
加えて、段階を踏んでAssociateを先に受けたほうがいいかとも考えましたが、私の場合Associateの問題サンプルを見たところ分からない問題は少なかったので、よりスキルアップに繋がりそうなProfessionalに挑戦し、自分にプレッシャーをかけることにしました。
試験対策
勉強時間
あせらずゆっくり進めていたので(だらだらとも言う)、期間としては半年と長くなりましたが、勉強時間は50時間程度です。参考書から取り組みましたが、膨大な範囲をカバーする書をなかなか読み進められず、期間が長くなってしまいました。受験1ヶ月前ごろから問題集に取り組んで集中したため、勉強時間の大半はこのあたりかなと思います。
学習に利用したもの
-
AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル
数少ないProfessionalの日本語参考書。
試験レベルにフォーカスしてるためか、端的で分かりやすい。
Kindle版を購入したけど、ページの行き来が面倒だったので紙版を買えば良かった。 -
Udemy - AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル模擬試験問題
数少ないProfessionalの日本語問題集。
本番試験より難易度が高い。というのは、本番試験の設問は「こういう課題や要件に対し、どのサービスを使ってどういうアーキテクチャを組めば良いか」といったものだが、Udemyはそれに加えてどういった設定にしておく必要があるか等、かなり細かく聞かれる。試験突破だけ考えた場合、ちょっとオーバースペックかも。もちろんやって悪いことはない。解説は丁寧だし、変な問題は少ないのでスキルアップにも良い。
難点としては全問解かないと解説が読めないところ。一気に進められることは少なく、複数日に渡って解くことが多かったので、解説を読む頃には問題自体を忘れてしまっていることも多々。 -
TechStock
Web問題集。
Udemyに比べ、1問1答で解説が読めて、間違った問題だけピックアップしたり、気になる設問をお気に入りして後で見返せるので学習しやすかった。
難易度は本番に非常に近い。 -
ChatGPT(GPT4)
すっかり手放せなくなったGPT4さん。
サービス単体で分からないことは公式解説なり読めばいいんだけど、似た機能やサービス名があって何が違うの?と思ったときChatGPTに聞くと「なるほどー」となれる。例えばこんな感じ。
-
実際にAWSで触る
使ったことないサービスは自分のAWSアカウントで触ってみた。Direct Connectなどは個人で使うのは難しいけど、コンソールから画面を確認してポチポチしてみるだけでも記憶の定着に役立ったと思う。
いざ受験
本試験は問題文も選択肢も非常に長いので時間配分が重要です。
1問にかけられる時間は2~3分。事前に問題集で慣れておき、時間配分ができるようにしておきましょう。
本番特有の緊張というのもあります。私の場合、問題集では2時間程度で回答できていたので結構余裕ふかしていたのですが、いざ本番では2時間50分で制限時間ギリギリ。間違えてはいけないという緊張で問題を丁寧に読みすぎたり、後半になると疲れて何度も文を読み返すことが多かったです。ペース配分には気をつけましょう。
そんな感じだったもので、自信のない問題は「後で見返すチェック」を入れてましたが、全ては見直しできませんでした。
試験中トイレには行けるようですが、時間がもったいないので必ず事前に行きましょう。
また、Professional試験は2022年11月で形式が変更になっています。それまでのSAP-C01から SAP-C02 に変わっていますが、問題集と特に差は感じませんでした。2023年5月現在、SAP-C02対応と銘打った本はありませんが、大きく気にしなくても大丈夫そうです。
追記) SAP-C02対応本が出ました!
AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル 改訂第2版 (AWS認定資格試験テキスト)
結果
スコア809で合格です。
そこそこ自信があったのでもうちょっと高得点を期待したんですが、まだまだでした。
間違ってた問題を教えてくれないのが残念。まぁコンピテンシーは全部満たしてるみたいなので遠慮なくプロフェッショナルを名乗らせてもらいます(^^;
苦労したこと
やはり普段触らないサービスの習得は苦労します。
頻出のDirect Connect、VPCピア、Transit Gateway、SystemsManager、Storage Gateway、DataSyncあたりは業務で使ったことがなかったので、サービス提供内容や利用する目的、ユースケースを結びつけるのに苦労しました。
これについては参考書を読むだけでは到底頭に入ってこないので、問題集でたくさんアウトプット、Blackbeltを見る、実際にAWS上で触ってみるなどしました。
反面、
- Lambda,DynamoDB,RDS,AutoScaling,Cloudfront,API Gateway,ECSといったアプリ開発に関わるもの
- IAM、Cognitoなど認証認可
- Organizationsやクロスアカウントアクセスなど組織運用
- CodePipelineやCodeBuildなどCI/CD周り
は普段から使ってるのであまり苦労せず、かつ頻出問題なのでありがたかったです。
AWS未経験の場合、この辺りもイチから勉強する必要があることを考えると、Professional試験はやはり難易度が高いのかなと思います。
実務への活用
認定が実務に活きるかですが、活きるところは多いと思います。やりたいことに対してアーキテクチャパターンをパッと引き出せたり、そのままハマらなくても「そういえばこんなサービスあったな、使えるかな」というきっかけになるだけでも随分違います。
一方で試験では、やりたいこと(=アーキテクチャ要件)がはっきりしているところが実務に比べ異なるかなとも思います。たとえば設問では「リージョンをまたぐ可用性を意識する必要があります」や、「RTOは3分で、RPOは5分です」といった感じで要件がはっきりしてます。
しかし現実ではこれらが最初から決まっていることは少ないです。実際には関係者にお伺い立てて、まとめて、みんな気持ちよく合意するということが必要で、かつ大変で難しいところになります。多くのエンジニアが苦手とするところです。
なので、「勉強したんだ、これがベストプラクティスなんだ」といった感じで実務に挑むと思い通りにはいかず歯がゆい思いをすることもあるかもしれません。
まとめ
AWS認定試験を受けるのは初めてでしたが、1回で合格することができて良かったです。いつでも試験は受けられるとは言え、もう1度復習して3時間の試験を受けるのは辛い。
今後は興味のある認定については新たに試験を受けてみるかもしれません。業務で関連することが多そうな、Database Specialty、Adevanced Network Specialty、Security Specialtyあたりは挑戦してみるかも。またその時は記事にまとめます。
Discussion