Windows10でフォーマットしたHDDをSynology NASでマウントするとリードオンリーになる
始めに
NTFSでフォーマットしたSeagate BaraCuda 24TB HDDをUSB接続の外付けHDDケースに入れてSynology DS920+で使用しようとしたところ、この問題に遭いましたのでティップスとして残します。
検証環境
- Windows 10 Pro 22H2
- ASUS TUF GAMING B550-PLUS(メインボード)
- Seagate ST24000DM001
- Synology DS920+(DSM 7.2.2)
- QNAP TS-464(QTS 5.2.6)
- センチュリー 裸族のテラスハウス RAID USB3.2 Gen2 Type-C (CRTS35U32C)
- センチュリー 裸族のカプセルマンション 5Bay V2 (CRCM535U32CIS)
症状
- Windows 10からB550-PLUSのSATAポートに接続されたST24000DM001をNTFSでクイックまたは標準フォーマットします。フォーマット時の設定は規定値のままです。
- フォーマットしたST24000DM001をCRTS35U32CまたはCRCM535U32CISに搭載し、DS920+のUSBポートに接続します。
- DS920+が外付けHDDを認識した後、「DS920Plus 上の外部デバイス USB Disk が読み取り専用になりました。」というエラーになってNTFSボリュームの読み込みに失敗し、リードオンリーでしかマウントできません。
- Windows 10からMiniTool Partition Wizard無償版を使ってST24000DM001をフォーマットをしてみましたが、同様に失敗します。
- DS920+は、USB接続されているストレージのフォーマットにはEXT4かFAT32しか選べません。
- TS-464でNTFSフォーマットしたHDDをDS920+に接続すると、正常にマウントして読み書きできます。
- しかし、以前この方法でNTFSフォーマットしたHDDをDS920+にマウントしようとしたところ、マウントに失敗してしまいました。
検証
- Win10でNTFSフォーマットしたHDDをDS920+に接続して、DS920+でEXT4でフォーマットし、再度HDDをWin10に接続したところ、HDDはNTFSフォーマットとして認識されました。Win10とDS920+ではMFT(マスターファイルテーブル)の扱いが異なる可能性があります。
- そこでWin10でNTFSフォーマットでボリュームを作成してからそのボリュームを削除した状態で、DS920+でHDDをEXT4でフォーマットし、次にTS-464でHDDをNTFSフォーマットして、Win10に戻してNTFSフォーマットボリュームとして認識できる事を確認しました。
- WindowsのPowerShellを使い、HDDのNTFSアロケーションユニットサイズの確認をしました。
- Win10でデータを書き込み、DS920+でマウントできるか確認しました。この結果、同一手順でフォーマットを行い、同一のデータを書きこんだにも関わらず、マウントできるものとできないものが発生しました。
検証結果
- Win10でNTFSフォーマットした直後
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsInfo f:
NTFS ボリューム シリアル番号 : 0xaa02364602361831
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 1.1
総セクター数 : 46,875,504,639 (21.8 TB)
総クラスター数 : 2,929,719,039 (21.8 TB)
空きクラスター数 : 2,929,661,560 (21.8 TB)
予約済み総クラスター数 : 512 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 8192
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 256.00 KB
MFT 開始 LCN : 0x0000000000060000
MFT2 開始 LCN : 0x0000000000000001
MFT ゾーン開始 : 0x0000000000060000
MFT ゾーン終了 : 0x0000000000066420
MFT ゾーン サイズ : 200.25 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: 01ED41DC-77EB-11F0-98DC-C475AB552A93
PS C:\Windows\system32>
- TS-464でNTFSフォーマットした後、Win10で認識させた直後
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsInfo f:
NTFS ボリューム シリアル番号 : 0xd4b009b5b0099f5c
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 1.1
総セクター数 : 46,875,504,639 (21.8 TB)
総クラスター数 : 2,929,719,039 (21.8 TB)
空きクラスター数 : 2,927,366,220 (21.8 TB)
予約済み総クラスター数 : 512 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 8192
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 256.00 KB
MFT 開始 LCN : 0x0000000000000080
MFT2 開始 LCN : 0x00000000574ffb80
MFT ゾーン開始 : 0x00000000000000a0
MFT ゾーン終了 : 0x00000000000064a0
MFT ゾーン サイズ : 200.00 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: 01ED417A-77EB-11F0-98DC-C475AB552A93
PS C:\Windows\system32>
- TS-464でNTFSフォーマットした後、HDDにWin10でデータを書き込むとDS920+でマウントできなくなった
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsInfo h:
NTFS ボリューム シリアル番号 : 0xb0f40fd0f40f97ac
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 2.0
総セクター数 : 46,875,533,098 (21.8 TB)
総クラスター数 : 2,929,720,818 (21.8 TB)
空きクラスター数 : 259,229,488 ( 1.9 TB)
予約済み総クラスター数 : 512 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 8192
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 13.75 MB
MFT 開始 LCN : 0x0000000000000080
MFT2 開始 LCN : 0x00000000574fff00
MFT ゾーン開始 : 0x0000000000000760
MFT ゾーン終了 : 0x00000000000064a0
MFT ゾーン サイズ : 186.50 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: 1797A2FC-7C2E-11F0-84BE-806E6F6E6963
PS C:\Windows\system32>
- TS-464でNTFSフォーマットした後、HDDにWin10でデータを書き込んでもDS920+でマウントできる
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsInfo i:
NTFS ボリューム シリアル番号 : 0x3224476c244731e1
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 2.0
総セクター数 : 46,875,533,098 (21.8 TB)
総クラスター数 : 2,929,720,818 (21.8 TB)
空きクラスター数 : 259,229,488 ( 1.9 TB)
予約済み総クラスター数 : 512 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 8192
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 13.75 MB
MFT 開始 LCN : 0x0000000000000080
MFT2 開始 LCN : 0x00000000574fff00
MFT ゾーン開始 : 0x0000000000000760
MFT ゾーン終了 : 0x00000000000064a0
MFT ゾーン サイズ : 186.50 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: A1BC0D02-798E-11F0-84BC-806E6F6E6963
PS C:\Windows\system32>
- (参考)MiniTool Partition WizardでNTFSフォーマットした場合
PS C:\Windows\system32> fsutil fsinfo ntfsInfo f:
NTFS ボリューム シリアル番号 : 0x01dc0c05bea3ae00
NTFS バージョン : 3.1
LFS バージョン : 2.0
総セクター数 : 46,875,504,608 (21.8 TB)
総クラスター数 : 1,464,859,519 (21.8 TB)
空きクラスター数 : 1,464,841,939 (21.8 TB)
予約済み総クラスター数 : 256 ( 4.0 MB)
記憶域予約用に予約済み : 0 ( 0.0 KB)
セクターあたりのバイト数 : 512
物理セクターあたりのバイト数 : 4096
クラスターあたりのバイト数 : 16384
FileRecord セグメントあたりのバイト数 : 1024
FileRecord セグメントあたりのクラスター数 : 0
MFT の有効なデータ長 : 256.00 KB
MFT 開始 LCN : 0x0000000000002c68
MFT2 開始 LCN : 0x0000000000000001
MFT ゾーン開始 : 0x0000000000003c80
MFT ゾーン終了 : 0x0000000000006ea0
MFT ゾーン サイズ : 200.50 MB
デバイスの最大トリム エクステント数 : 0
デバイスの最大トリム バイト数 : 0
ボリュームの最大トリム エクステント数 : 62
ボリュームの最大トリム バイト数 : 0x40000000
リソース マネージャー識別子: E4F7FCBE-76A2-11F0-84B1-08BFB8142552
PS C:\Windows\system32>
終わりに
- Win10でNTFSフォーマットするのと、QNAPでNTFSフォーマットするのでは、MFT開始LCNに違いがあり、ハンドリングが異なっているのは間違いないようです。
- しかし、マウントできるものとできないHDDの差異は不明です。結局、DS920+にNTFSのHDDを確実にマウントさせる方法は見つかりませんでした。
- NTFSでフォーマットしたHDDをDS920+でマウントできる事を確認してから、ネットワーク経由でWin10から書き込めば問題ないかもしれませんが、その場合でもHDDをWin10にマウントして書き込みするのは避けた方が良さそうです。
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