時系列解析初心者が始める時系列解析(3)

2022/12/21に公開

周期性を見る

スペクトラム(spectrum)


周期性の可視化(検出)

  • 周期性とは下記のように表現できる。
    y_t = y_{t-p}が成り立つp周期
  • つまり、ある時系列データをpの間隔で見ると、同じような形が続いているということ。三角関数のグラフを思い浮かべると良い。

時系列の(パワー)スペクトル

  • 時系列の場合は、自己共分散関数C_kを利用して、スペクトルの縦軸を用意する。
  • まず、C_kの絶対値の和が滑らかに収束していくという条件を設定。
    • なぜこういったことを設定するのかというと、次に出てくるフーリエ変換を適応するため。
    • フーリエ変換の条件:区間的に滑らかで、かつ連続で、かつ絶対可積分であること。
      • 絶対可積分:定義域全体において絶対値が積分可能な関数のこと。
    • フーリエ変換:フーリエ級数展開は周期関数にしか適応できない。非周期関数に対してもフーリエ級数展開と同じようなことを実施するための方法。
      • フーリエ級数展開:複雑な周期関数を、三角関数を組み合わせた波の動きとして捉えること。(離散スペクトルというものが出力される。)
        \sum_{k=-\infin}^{\infin}{|C_k| < \infin}
  • 下記がC_kをフーリエ変換したものである。
    • iは複素数である。
      p(f) = \sum_{k=-\infin}^{\infin}{C_k\exp{(-2\pi{i}kf)}},~~~-\frac{1}{2}≤f≤\frac{1}{2}
  • これは偶関数である。
  • また、コサイン変換をすることで、複素数の計算をしなくてもよくなる。

ピリオドグラム


  • 前提として、スペクトルは、母集団の自己共分散関数が把握できた場合に使える。
  • 実際はそんなことはなく、持っているデータから自己共分散関数を推定し、それをフーリエ変換する。\dashrightarrow\hat{C_k}が対象となる。
  • そこで登場するのがピリオドグラムである。
  • 下記は推定した自己共分散関数\hat{C_k}のフーリエ変換
実際のデータ y_1,\cdots,y_N
自己共分散関数 \hat{C_0},\cdots,\hat{C_{N-1}}
フーリエ変換 \hat{p}(f) = \sum_{k=-N+1}^{N-1}{\hat{C_k}\exp{(-2\pi{ikf})}}
fが取りうる範囲 f=0,\frac{1}{N},\frac{2}{N},\cdots,\frac{1}{2}

ピリオドグラムの性質

  1. 漸近的に不偏である。(データ数が増えるとスペクトラムの値に近づくということ。)
    \lim_{n\rightarrow \infin}E[\hat{p}(f)] = p(f)
  2. 一致推定量ではない。(実際は、データ数が増えても一致することはない。)
    \lim_{n\rightarrow \infin}\hat{p}(f) ≠ p(f)

    上記2つの条件が成り立つというのは、サンプル数が多くなった場合、平均値は元のスペクトラムに近づくが、平均周りの実際のデータというのは、一致しないということ。

上記性質に対する解決策

ピリオドグラムの平均

  • アイデアとしては、すべてのデータ点Nを使うのではなく、ラグLを用いて、細切れにして計算し、その平均を取ろうということ。l = \frac{N}{L}
  • 結果として、下記のように表すことができるらしく、これは、分散を\frac{1}{l}に減少させたということになる。つまり、データのばらつきを抑えることができる。
    \hat{p_j}=\frac{1}{l}\sum_{k=1}^{l}{p_j^{(k)}}

ピリオドグラムの平滑化

  • スペクトラムは比較的滑らかという前提のもと、あるフィルターW(Window)をかけて平均化することで、値の変化をなだらかにしてデータの傾向をわかりやすくすること。
    \~{p}_j = \sum_{i=-m}^{m}{W_i\hat{p}_{j-i}}
  • \~{p}_jは不偏推定量を表す

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