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WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップする手順

2024/08/16に公開

WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップしたので、その手順をまとめました。

はじめに

WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップした手順を紹介します。環境は次の通りです。

  • Windows 11 Pro 23H2
  • Ubuntu 22.04.4 / WSL2

セットアップ

はじめにWindows Terminalを起動してUbuntuをアップデートします。[1]

sudo apt update
sudo apt upgrade

TeX Liveのインストール

次にTeX Liveのインストーラーをダウンロードし、圧縮ファイルを展開して出来るディレクトリに移動します。

cd ~/tmp/
wget https://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz
tar xzf install-tl-unx.tar.gz
cd install-tl-20240815/

sudo ありでインストーラーを実行します。

sudo perl ./install-tl

TeX Liveガイド 2024 では perl /path/to/installer/install-tl のように sudo なしで紹介されていますが、私の環境ではパーミッションエラーでインストーラーを実行できませんでした。なので、ここでは sudo ありで実行しています。

環境変数の設定

インストールが終わると次のような表示が出ていると思います。

Add /usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/man to MANPATH.
Add /usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/info to INFOPATH.
Most importantly, add /usr/local/texlive/2024/bin/x86_64-linux
to your PATH for current and future sessions.

指示にしたがって環境変数を設定しましょう。

vim ~/.profile

次の3行を ~/.profile の末尾に追加します。

~/.profile
MANPATH="/usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/man:$MANPATH"
INFOPATH="/usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/info:$INFOPATH"
PATH="/usr/local/texlive/2024/bin/x86_64-linux:$PATH"

追加したらWindows Terminalをいったん閉じて開き直します。

VS Codeの設定

VS Codeの WSL側 に拡張機能 LaTeX Workshop をインストールしましょう。

拡張機能をインストールしたら TeX WiKi を参考にVS Codeの設定ファイル settings.json に設定を追加します。

LuaLaTeXを使う場合は次の設定を

settings.json
    "latex-workshop.latex.tools": [{
        "name": "latexmk",
        "command": "latexmk",
        "args": [
            "-e",
            "$lualatex=q/lualatex %O -synctex=1 -interaction=nonstopmode -file-line-error %S/",
            "-e",
            "$bibtex=q/bibtexu %O %B/",
            "-e",
            "$biber=q/biber %O --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %B/",
            "-e",
            "$makeindex=q/upmendex %O -o %D %S/",
            "-norc",
            "-gg",
            "-pdflua",
            "%DOC%"
        ]
    }]

upLaTeXを使う場合は次の設定を

settings.json
    "latex-workshop.latex.tools": [{
        "name": "latexmk",
        "command": "latexmk",
        "args": [
            "-e",
            "$latex=q/uplatex %O -kanji=utf8 -no-guess-input-enc -synctex=1 -interaction=nonstopmode -file-line-error %S/",
            "-e",
            "$bibtex=q/bibtexu %O %B/",
            "-e",
            "$biber=q/biber %O --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %B/",
            "-e",
            "$makeindex=q/upmendex %O -o %D %S/",
            "-e",
            "$dvipdf=q/dvipdfmx %O -o %D %S/",
            "-norc",
            "-gg",
            "-pdfdvi",
            "%DOC%"
        ]
    }]

追加します。以上でセットアップは終わりです。

動作確認

セットアップが終わったので動作確認を行います。適当なディレクトリを作ってそこへ移動し、VS Codeでディレクトリを開きます。

mkdir -p ~/work/example-tex
cd ~/work/example-tex/
code .

TeXソースファイルの例が TeX WiKi にあるので、これを参考に新しいファイルを作ります。

LuaLaTeXを使う場合は下記の

ex01.tex
\documentclass{ltjsarticle}
\begin{document}

\section{はじめてのLua\TeX-ja}
ちゃんと日本語が出るかな?
\subsection{出たかな?}
長い文章を入力するとちゃんと右端のところで折り返されるかな?
大丈夫そうな気がするけど。ちょっと不安だけど何事も挑戦だよね。

\end{document}

upLaTeXを使う場合は下記の

ex01.tex
\documentclass[uplatex,dvipdfmx]{jlreq}
\begin{document}

①②③④㋐㋑㋒㋓

森鷗外,内田百閒,鄧小平,李承燁

\end{document}

コードを入力し、保存します。VS Codeで Ctrl + Alt + b を押すとコンパイルが実行されてPDFファイルができます。また、以降は保存するたびに自動でコンパイルが実行されます。

ちなみにWindows Terminalで explorer.exe . と実行すると、PDFファイルのある場所でエクスプローラーが開きます。PDFファイルを見たい時は、このようにして開いたエクスプローラーでPDFファイルを右クリックして「SumatraPDF」で開くと良いと思います。

2024年9月24日 追記

LuaLaTeXを使っている場合は次の手順で PlantUML が使えるようになります。

PlantUML関連のインストールと設定

PlantUML Downloads and Source Code から plantuml.jar をダウンロードしてインストールしましょう。コマンドとしては次のような感じです。

wget https://github.com/plantuml/plantuml/releases/download/v1.2024.7/plantuml-1.2024.7.jar
mv plantuml-1.2024.7.jar plantuml.jar
sudo mv plantuml.jar /usr/local/bin/
sudo chown root:root /usr/local/bin/plantuml.jar

jarファイルの実行に必要な openjdk-17-jdk と、ユースケース図を描くとき必要な graphviz をインストールします。[2]

sudo apt update
sudo apt install openjdk-17-jdk
sudo apt install graphviz

次の1行を ~/.profile の末尾に追加します。

~/.profile
export PLANTUML_JAR="/usr/local/bin/plantuml.jar"

追加したらWindows Terminalをいったん閉じて開き直します。

PlantUMLの動作確認

下記のTeXソースファイルを用意します。

ex02.tex
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage{plantuml}
\begin{document}

\begin{plantuml}
@startuml
Alice -> Bob: test
@enduml
\end{plantuml}

\end{document}

次のコマンドを実行するとPDFファイルが生成されます。中にUMLが表示されていれば成功です。

lualatex -shell-escape ex02.tex

おわりに

今回はWSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップした手順について紹介しました。どなたかのお役に立てば幸いです。

脚注
  1. ネットワークにつながってUbuntuがアップデートできるのをはじめに確認するのは結構重要かなと。 ↩︎

  2. 試してはいませんが、JDKは openjdk-21-jdk など新しいものでも大丈夫かも知れません。 ↩︎

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