WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップする手順
WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップしたので、その手順をまとめました。
はじめに
WSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップした手順を紹介します。環境は次の通りです。
- Windows 11 Pro 23H2
- Ubuntu 22.04.4 / WSL2
セットアップ
はじめにWindows Terminalを起動してUbuntuをアップデートします。[1]
sudo apt update
sudo apt upgrade
TeX Liveのインストール
次にTeX Liveのインストーラーをダウンロードし、圧縮ファイルを展開して出来るディレクトリに移動します。
cd ~/tmp/
wget https://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz
tar xzf install-tl-unx.tar.gz
cd install-tl-20240815/
sudo
ありでインストーラーを実行します。
sudo perl ./install-tl
TeX Liveガイド 2024 では perl /path/to/installer/install-tl
のように sudo
なしで紹介されていますが、私の環境ではパーミッションエラーでインストーラーを実行できませんでした。なので、ここでは sudo
ありで実行しています。
環境変数の設定
インストールが終わると次のような表示が出ていると思います。
Add /usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/man to MANPATH.
Add /usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/info to INFOPATH.
Most importantly, add /usr/local/texlive/2024/bin/x86_64-linux
to your PATH for current and future sessions.
指示にしたがって環境変数を設定しましょう。
vim ~/.profile
次の3行を ~/.profile
の末尾に追加します。
MANPATH="/usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/man:$MANPATH"
INFOPATH="/usr/local/texlive/2024/texmf-dist/doc/info:$INFOPATH"
PATH="/usr/local/texlive/2024/bin/x86_64-linux:$PATH"
追加したらWindows Terminalをいったん閉じて開き直します。
VS Codeの設定
VS Codeの WSL側 に拡張機能 LaTeX Workshop をインストールしましょう。
拡張機能をインストールしたら TeX WiKi を参考にVS Codeの設定ファイル settings.json
に設定を追加します。
LuaLaTeXを使う場合は次の設定を
"latex-workshop.latex.tools": [{
"name": "latexmk",
"command": "latexmk",
"args": [
"-e",
"$lualatex=q/lualatex %O -synctex=1 -interaction=nonstopmode -file-line-error %S/",
"-e",
"$bibtex=q/bibtexu %O %B/",
"-e",
"$biber=q/biber %O --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %B/",
"-e",
"$makeindex=q/upmendex %O -o %D %S/",
"-norc",
"-gg",
"-pdflua",
"%DOC%"
]
}]
upLaTeXを使う場合は次の設定を
"latex-workshop.latex.tools": [{
"name": "latexmk",
"command": "latexmk",
"args": [
"-e",
"$latex=q/uplatex %O -kanji=utf8 -no-guess-input-enc -synctex=1 -interaction=nonstopmode -file-line-error %S/",
"-e",
"$bibtex=q/bibtexu %O %B/",
"-e",
"$biber=q/biber %O --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %B/",
"-e",
"$makeindex=q/upmendex %O -o %D %S/",
"-e",
"$dvipdf=q/dvipdfmx %O -o %D %S/",
"-norc",
"-gg",
"-pdfdvi",
"%DOC%"
]
}]
追加します。以上でセットアップは終わりです。
動作確認
セットアップが終わったので動作確認を行います。適当なディレクトリを作ってそこへ移動し、VS Codeでディレクトリを開きます。
mkdir -p ~/work/example-tex
cd ~/work/example-tex/
code .
TeXソースファイルの例が TeX WiKi にあるので、これを参考に新しいファイルを作ります。
LuaLaTeXを使う場合は下記の
\documentclass{ltjsarticle}
\begin{document}
\section{はじめてのLua\TeX-ja}
ちゃんと日本語が出るかな?
\subsection{出たかな?}
長い文章を入力するとちゃんと右端のところで折り返されるかな?
大丈夫そうな気がするけど。ちょっと不安だけど何事も挑戦だよね。
\end{document}
upLaTeXを使う場合は下記の
\documentclass[uplatex,dvipdfmx]{jlreq}
\begin{document}
①②③④㋐㋑㋒㋓
森鷗外,内田百閒,鄧小平,李承燁
\end{document}
コードを入力し、保存します。VS Codeで Ctrl + Alt + b
を押すとコンパイルが実行されてPDFファイルができます。また、以降は保存するたびに自動でコンパイルが実行されます。
ちなみにWindows Terminalで explorer.exe .
と実行すると、PDFファイルのある場所でエクスプローラーが開きます。PDFファイルを見たい時は、このようにして開いたエクスプローラーでPDFファイルを右クリックして「SumatraPDF」で開くと良いと思います。
2024年9月24日 追記
LuaLaTeXを使っている場合は次の手順で PlantUML が使えるようになります。
PlantUML関連のインストールと設定
PlantUML Downloads and Source Code から plantuml.jar
をダウンロードしてインストールしましょう。コマンドとしては次のような感じです。
wget https://github.com/plantuml/plantuml/releases/download/v1.2024.7/plantuml-1.2024.7.jar
mv plantuml-1.2024.7.jar plantuml.jar
sudo mv plantuml.jar /usr/local/bin/
sudo chown root:root /usr/local/bin/plantuml.jar
jarファイルの実行に必要な openjdk-17-jdk
と、ユースケース図を描くとき必要な graphviz
をインストールします。[2]
sudo apt update
sudo apt install openjdk-17-jdk
sudo apt install graphviz
次の1行を ~/.profile
の末尾に追加します。
export PLANTUML_JAR="/usr/local/bin/plantuml.jar"
追加したらWindows Terminalをいったん閉じて開き直します。
PlantUMLの動作確認
下記のTeXソースファイルを用意します。
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage{plantuml}
\begin{document}
\begin{plantuml}
@startuml
Alice -> Bob: test
@enduml
\end{plantuml}
\end{document}
次のコマンドを実行するとPDFファイルが生成されます。中にUMLが表示されていれば成功です。
lualatex -shell-escape ex02.tex
おわりに
今回はWSLとVS Codeを使ってTeX Liveをセットアップした手順について紹介しました。どなたかのお役に立てば幸いです。
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