ローカルのOverleafでLaTeX執筆環境をセットアップする手順
この記事では、ローカルのOverleafでLaTeX執筆環境をセットアップする手順について紹介します。
はじめに
何かしらドキュメントを書く時、大抵の場合は Markdown で間に合うでしょうけれど、まだまだ LaTeX も便利で良いものです。
また、最近はWebブラウザで使えるオンラインLaTeXエディターサービスのOverleafに登録して、それを使うケースも増えてきたように思います。[1]
今回は(あえて Overleaf に登録せずに)、Ubuntu 20.04 DesktopのローカルでOverleafを動かしてLaTeXの執筆環境を構築する、ということをしてみます。
セットアップ
Overleafの official wiki for install guides にある Quick-Start Guide が参考になります。
こちらを見ながらステップバイステップで進めましょう。
準備
あらかじめ次のものが必要です。
- bash
- docker
- docker-compose
まずは次のコマンドを実行して、問題なくバージョンが表示されることを確認します。[2]
bash --version
docker version
docker compose version
リポジトリのクローン
それから適当な場所でリポジトリをクローンして、そのリポジトリのディレクトリへ移動します。
git clone https://github.com/overleaf/toolkit.git ./overleaf
cd overleaf/
設定ファイルの生成
設定ファイルを生成するために次のコマンドを実行しましょう。
bin/init
カレントディレクトリの config/
の中に、次の3つの設定ファイルができていると思います。
- overleaf.rc
- variables.env
- version
コンテナの起動
最後に次のコマンドでコンテナを起動すれば、ひとまずセットアップは完了です。
bin/up
コンテナの起動後にWebブラウザで http://localhost/launchpad
にアクセスすると、Overleafの管理者アカウント作成画面が表示されると思います。
Overleafの管理者アカウント作成画面
エラーが起きた時は
bin/docker-compose
中の docker-compose
を docker compose
に修正しましょう。[3]
+ exec docker compose -p "$project_name" ${compose_file_flags[@]} "$@"
- exec docker-compose -p "$project_name" ${compose_file_flags[@]} "$@"
修正後にもう一度 bin/up
すると、今度はエラーなくコンテナが起動します。
動作確認
はじめにOverleafの管理者アカウント作成画面で、適当にアカウントを作ります。
次にログイン画面が表示されますから、入力したメールアドレスとパスワードでログインします。
ログインできたら【Start Using Our Overleaf Instance】と進み、【Create First Project】でプロジェクトを作りましょう。プロジェクトは次の3種類から選ぶことができます。
- Blank Project
- Example Project
- Upload Project
Example Project
を選んでプロジェクト名を入力すれば、次にようにソースファイルとコンパイル結果のプレビューがブラウザに表示されます。
Example Projectがコンパイルできた
お疲れ様でした。
日本語対応
と言いたいところですが、実は、上記までだと日本語に対応できていません。
日本語に対応できるように、コンテナのTeX Live環境をフルインストール版に更新しましょう。
コンテナのTeX Live環境の更新
まず、次のコマンドでコンテナの中に入ります。
docker exec -it sharelatex bash
コンテナの中で次のコマンドを実行し、TeX Liveをフルインストール版に更新します。更新できたらコンテナを exit
で抜けましょう。
tlmgr update --self
tlmgr install scheme-full
exit
続いて、次のコマンドでコンテナに加えた変更を新しいイメージとしてコミットします。
docker commit sharelatex sharelatex/sharelatex:with-texlive-full
また、新しいイメージでコンテナが起動するように bin/docker-compose
を修正しておきます。
+ local full_image_spec="$image_name:with-texlive-full"
- local full_image_spec="$image_name:$SHARELATEX_IMAGE_VERSION"
最後に bin/stop
を実行してから bin/up
して、コンテナを起動し直しましょう。
日本語対応の動作確認
改めて http://localhost
へアクセスし、日本語を含むソースファイルがコンパイルできることを確認して完了です。
日本語を含むLuaLaTeXソースファイルをコンパイルしている様子を次に示します。[4]
日本語を含むLuaLaTeXソースファイルがコンパイルできた
LaTeX執筆環境が整い、ドキュメントを書いていけるようになりました。お疲れ様でした。
おわりに
今回はローカルのOverleafでLaTeX執筆環境をセットアップする手順について紹介しました。どなたかのお役に立てば幸いです。
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